漁師達を襲う悪天候
高波
鉄のカゴ
すべて一攫千金を狙うためです
シーズン中は週に1人 ベーリング海で命を落とします
今年も変わらないでしょう
カニ漁の犠牲者が出るはずです
アラスカのカニ漁は死と隣り合わせです


記念すべき第一回目の冒頭はこのナレーションから始まる。
始まりは2005年10月のタラバガニシーズンから。
長い長いドキュメンタリーの始まりである。








冒頭シーンでは臨時甲板員の職を求める人たちの様子を紹介。
スコット・ギブ「あと2日以内に仕事を見つけないと・・・」

とある船の船長「遅かったな 5分前に他のヤツを採用したよ」
スコット「本当に?」
船長「ああ」
スコット「仕事はあっという間になくなる 今日あと数個所あたってみるよ」
このシーズンまではいわゆるヨーイドンの漁で、解禁と同時に各漁船が一斉に漁場へ向かい、水揚げも全漁船規定の漁獲量に達するまで早い者勝ちというスタイル。
利点は
・カニのありかを見つけられたらボロ儲け。わずか数日で数万ドル(数百万円)を稼ぐことが出来る。
デメリットは
・自分の船がカニを獲れていなくても漁が締め切られる可能性がある。
・上記の理由から、作業を急ぐために数日不眠不休。このような状況ゆえに事故や怪我の可能性が非常に高くなる。
シーズン2よりそれまでの実績から各漁船にそれぞれ割当量が定められ、絶対的な時間の制約がなくなったため多少の余裕はできたが、漁が長引けば長引くほど
・クルーの肉体的/精神的苦痛の増加
・燃料代や食事代等、経費の負担増
・獲ったカニが魚倉で死ぬ恐れ
等の問題も出てくる。



これらはカニ加工船の様子。
新人のブラッドフォードが登場。南カリフォルニアの19歳の大学生。
冒険を求めてやってきたとのこと。
シーズン1のタラバガニ漁は彼の奮闘ぶりがテーマの一つ。
意外にも、ネームテロップが一番最初に着いたのが彼。

「僕が一番下っ端だから とにかく一生懸命やるしかない
危険な仕事だというのは分かっている
でもベストを尽くせば 無事に帰ってこられると思う」
彼が乗る船こそ、シグのNW号。

今見ると、さすがに7年前は若い(笑)。
そしてシグは自分の家系が代々漁師であることとそれが誇りであることを述べ、ブラッドフォードが求めてきた挨拶の握手を拒否。



「握手は仕事を見てからだ」

キツい一言である。だが真理でもある。
いくら出港前に調子がいいことを言っていても、荒れ狂うベーリング海で数十時間におよぶ過酷な作業をやり抜かなければ信頼は得られない。実際、出港数時間であきらめて辞めてしまう者もいるのだから。
そしてもう一人の新人、フィアス・アリジェンス号に参加するエリック。

通常、新人として参加するのは体力のある10代から20代の若者。
しかし彼は42歳。
11年間、海軍の深海ダイバーとして活躍、シール部隊を指導したという経歴の持ち主。


「自分の才能を試すチャンスなんだ
俺は海や船には慣れてるし いいチームプレイヤーだと思う」
それに対し、他のクルーは陰口。
「泣かないといいが・・・」

後のシーズンにも共通して言えることだが、大口をたたくヤツでシーズンをこなせた新人を見たことが無い。
いや、無かったはず(笑)。
彼が乗る船はフィアス・アリジェンス号。船長はトニー・ラルッサ。カニ漁船団でも大きさも漁獲量もトップクラスの船である。
「俺のクルーがみっちりしごけば一人目の漁師になれるだろう」


カニ漁は過酷で危険であるがゆえに、多くの漁師は縁起をかつぐ。
そのエピソードを紹介。

・左の靴から履く
・缶の底は開けない
・植木鉢
・スーツケースは不吉
・船は女人禁制
・ネコもダメ
・右足から船に乗る
・木曜の午後11時59分や土曜の午前o時1分なら構わないが金曜の出港だけはダメ
・アクタン島に寄ってから漁に出かける(シグ、これを20年続けている)


そして出港の時間が迫る。
漁師は家族・恋人に分かれの電話をする。
NW号のニックは出港12時間前に娘が生まれたとのこと。

「俺の代わりに抱きしめて・・・無事を祈ってくれ じゃあな 愛してる」
妻への電話で生まれたばかりの娘の声を聞き、涙するニック。
手は届かないがせめて思いを。
出港直前には牧師による祈りが無線を通じて聞こえてくる。

皆さんに祈りを捧げます
神の魂が深い海に広がり
すべての生命が誕生しました
イエスが宣教を始めたときに
最初に選んだ弟子は 漁師のシモンでした
アンデレ ヤコブ ヨハネも 漁師です
同じ名前の人もいることでしょう
深い海に神の存在を 感じる人も・・・
皆さんが神に守られ
無事に帰ってくることを 祈っています

いざ出港。
1200人以上の漁師を乗せた251隻の船団。



翌日16時の解禁に向けて一斉に走り出す。
この年の漁獲割当量は6350トン。
25年前は4万5400トンだったらしい。


売値は約11ドル/kg。(約¥1,000/kg)
70億円の争奪戦。
昨年ベーリング海で犠牲になった船は45隻。
ベーリング海でのカニ漁が世界で1、2を争う過酷な職業である所以。
あらゆる事故の可能性がそこにはある。

・カゴをクレーンで上げるときが一番危険なんだ
・クレーンに関するルールは2つ
1つは下に行かないこと
2つめも下に行かないこと
・ロープで足を引っ張られるのが一番怖い(NW号 エドガー)
・船で一番危険なのは火事だ(SS号 ラリー)
・(エサとなる魚の粉砕器を指して)この機械は魚だろうと手足だろうと巻き込む(NW号 エドガー)
・カゴの上は危ない(NW号 アダム)
・手すり付近にいるときが一番危険だ

ラッキーレディー号のケビン・デイビスは2004年の新人当時、落水を経験したことがある。


当時23歳の彼はサガ号での作業中、カゴを掴もうとして足を滑らせ落水。
クルーの迅速な救助により、九死に一生を得た。


当時の映像を振り返るケビン。
漁師達は各々に危険なものを列挙するが、もっとも、口にさえしない一番の危険は「沈没」。
そしてついに2005年10月15日16:00、漁の開始が告げられた。

フィアス・アリジェンス号(以下FA号) トニー船長

「この4年でカニは西へ移動した 目指すは西だ」
その80キロ東
ノースウエスタン号(以下NW号) シグ船長

漁場の最東端にて
「何個かで様子を見てみる たくさん仕掛けても カニがいなけりゃ移動も大変だ だからここぞという場所に仕掛ける 読みが当たるといいんだが・・・」
ラッキーレディー号(以下LL号) ヴィンス船長


漁船団最小(全長18m)のこの船は、船体を安定させるためのスタビライザーが着いているが、そのポールを引き上げることができない。スタビライザーを動かさないとカゴが下ろせないのだ。
「漁は始まったぞ! フックを付けてさっさと引き揚げろ! どつかれたいか? 早く引き揚げろ もたもたするな!」


ようやく引き揚げたが、スタビライザーの翼部分をロスト。
「スタビライザーが壊れるのは時々あることだ 船の揺れが大きくなるが 交換してる時間はないからこのまま進む」
FA号 トニー船長
大型船なので245個ものカゴを積載可能。


全長30メートルの小型船と違って すべてのカゴを一度に積める その点は有利だ」
シースター号(以下SS号) ラリー船長
昨年知りあいの漁師、テリーが目の前で落水、助けられなかった過去がある。


またSS号はクルーの平均年齢が高い(多くが50歳以上!)ため、“急がば回れ”の精神で慎重に漁を行う。
また、高齢のクルーのためにスイングアーム式クレーンを導入している。




「腰を曲げてカゴを押したり引っ張ったりしないで済む」
「この船に合わせてスイングアーム式クレーンを設置し カゴをテーブルに運べるようにした 肉体を酷使せずに済む」
漁開始から1時間。42歳の新人エリックが奮闘中。

「まるでベテランのランナーたちと 一緒に走る新人の気分だ 最初からペースが速すぎて全然ついていけないよ」
「エサをカゴに入れて固定するのが俺の仕事だ 素早くやらないと中に閉じ込められる」
「鉄製のカゴに入るのは難しい 素早く中に入り 網にエサを固定して急いで出る ヒジ ヒザ 尻とあちこちにアザができる」


「この仕事を例えるなら カモメに飲み込まれて胃の中で4日間過ごすようなものだ」
「船上にハンモックをつるして寝ようかと思っていたが (エサの)タラが寝床だよ」
北西240キロ先
SS号 ラリー船長
ラリーは6隻の協力船(姉妹船)と無線で情報交換をしながら漁を進めている。ただし無線は他の船も傍受出来るため、彼らは暗号を使う。


「このまま北西へ進み 様子を見る」
「ここがスタート位置だ オリーはここ ジミーはここだ モーゼズはここ スタッドリーとモンキーはこの辺りだ」
「情報を交換して漁況を推測する それをもとに針路を決める」
南西80キロ
NW号 シグ船長

「他の船が周りにいない もしかしたら 読みを外したかな でも結果はどう出るか分からない 他の船がいないことは構わないが やはり不安になる しばらくこの針路を行くよ」
LL号 ヴィンス船長
「海図をポンと指さして針路を決める」
「小型船だし漁期も短い 一か八かでやるしかない」


船長の数だけ戦略がある。
実績から推測する者。
姉妹船と協力する者。
我が道を行く者。
運を天に任せ、賭けに出る者・・・。
そしてFA号の新人エリックに対するクルーのここまでの評価は、
「よくやってるよ バテてるけどね」
「作業が遅すぎる」
と様々。

当の本人は
「無理な姿勢のせいで腰は痛いし カゴにエサを入れるときにヒザとすねを痛めた 家に帰りたいよ」
と既に泣き言オンパレード。
船長のトニーも
「自信過剰で何もできないヤツを何人も見てきた」
と突き放し気味。

東130キロ、
一方のNW号の新人、ブラッドフォードの評価は・・・
「よく頑張ってるよ 口答えもしない 働き者だよ」(エドガー)

漁師の一日の消費カロリーは4000~5000キロカロリー。




暖かい船内での食事は楽しみのひとときである。
またたくさん食べておかないと体力がもたない。
「漁船での食事は質より量だ」(NW号 エドガー)
「毎日たくさん食べても体重が減る」
兎に角食って食って食いまくる。
FA号の新人エリックはダウン寸前。
「漁が始まってから8時間だ 最後まで持つか心配になってきた」

他のクルーは
「エリックはやる気がないのかもしれない 戦う前からあきらめている 年のせいか?」

生レバーを食べて元気を出そうとするが、余計にクルーの顰蹙を買うことに。

「海に捨てるぞ」
「生のステーキか?」

「・・・(軽蔑の眼でじっとエリックを見る)」
まだカゴ1つも上げていないというのにこの有様。
これから夜通しで引き上げ作業が始まるのに・・・

以下、シーズン1-2に続く。