FEBRUARY 1, 1986  | The Extended

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2013年にリリースされた80's 12インチ・シングル・ディスク・ガイド「The extended」。そのブログ版。以前は洋楽中心でしたが今回は邦楽を中心に、各アーティストの初12インチ・シングルを紹介していきます。何卒、よろしくお願い致します。

FEBRUARY 1, 1986 

 

This Week No.1 Grace Jones/Slave To The Rhythm (Blooded)

 

グレース・ジョーンズをはじめて見たのは映画『007~美しき獲物達』。内容は忘れたけど、男を持ち上げてぶん投げるシーンが忘れられない。ヴィジュアルのインパクトが凄かった。それが本来のグレース・ジョーンズだってことを知るのはずっと後のこと。

 

 

 

 

85年にリリースされた通算7枚目のアルバム『Slave to the Rhythm』は、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったZTTレーベルのトレヴァー・ホーンとバングルスのブルース・ウーリィ他がプロデュースを担当、アート・ディレクションを、夫でありデザイナーのジャン・ポール・グードが担当するという鉄壁の布陣。

 

アルバム全曲が「Slave to the Rhythm」のヴァージョン違いというコンセプト・アルバムで、曲中に関係者や本人へのインタビュー、朗読などの声ネタをエディットし収録するという自伝的な構成。当時の音楽ソフトをレコード・アルバムと言っていたが、その本来の意味(レコード(=記録)・アルバム(=写真帳))をそのまま具現化しようとしたんじゃないか?と思わせる。

 

写真を切って貼り(=edit)、その写真自体を拡張(=extended)してしまうという秀逸なアートワークは、extended mixを作る過程と同じ。つまり、アートと12インチ文化、ポップスを繋いだまさにポップ・アートと言うべき作品だし、もっと言うとedit、sampling、remix文化をも取り込んだ傑作と言える。

 

85年にシングル・カットされたタイトル・ソングは、当時人気だったGo-Goバンド、E.U.のメンバーであるTimothy "Shorty Tim" GloverやWilliam "Ju Ju" Houseらも参加した本格的なGo-Goで、イントロや間奏をたっぷり収録した8分強の12インチ・シングルがリリースされた。恐らくこれがオリジナル・ヴァージョンで、LPに収録されたヴァージョンはRadio Edit的なものではないかと推測する。ちなみに、1986 MTV Video Music Awardsにもノミネートされたジャン・ポール・グードが手掛けたポップなMVも傑作。

 

 
 
 
 
 
 
 
Sampled:A Tribe Called Quest/Bonita Applebum (12" Slave Edit)

Jive 1990