JULY 6, 1985 | The Extended

The Extended

2013年にリリースされた80's 12インチ・シングル・ディスク・ガイド「The extended」。そのブログ版。以前は洋楽中心でしたが今回は邦楽を中心に、各アーティストの初12インチ・シングルを紹介していきます。何卒、よろしくお願い致します。

This week in 1985/Billboard Dance club chart No.1


「ナナナナイティーン」。

子供の頃に聴いたこのフレーズは、
MVの戦争映像と共にトラウマに近い形で刺さっている。
だって、曲調は明るいのに映像は暗い。
今見てもギャップが凄い。
しかも、小林完吾の日本語ナレーション・ヴァージョンで
聴いたもんだから国内のアーティストだと勘違いしていた。



米国のテレビ局、ABCでベトナム戦争を題材に
制作されたドキュメンタリー「ヴェトナム・レクイエム」を
観たPaul Hardcastleは、ヴェトナム戦争へ出兵した兵士の
平均年齢が19歳だったことに衝撃を受け
この楽曲のアイデアを思いつく。

Afrika Bambaataa から影響を受けたエレクトロ・ビートに、
番組内のナレーションや若い兵士のインタビューを
エディットしサンプリングしたものをのせたシンプルな構成。
あの有名なフレーズ「ナナナナイティーン」は
サンプリング・マシン、E-mu Emulatorを使って制作された。



85年にリリースされると、イギリスを皮切りに
13カ国でリリースされFrench, Spanish, German and Japanese
ヴァージョンが作られるほどのメガヒットとなった。
しかも、各国ヴァージョンごとに微妙にビートが違っている。







また、ヴァージョンもextended version、Destruction mix、
Fainal Story、ptsd mixなど無数に存在している。




発売25周年記念ヴァージョンもある。



19 Chill Version featuring Marvin Gaye。



2015年に、19発売30周年記念盤としてこれらのヴァージョンを
全て集めたアルバムがリリースされた。




それにしても、なぜ、この曲がこれほどまでに売れたのか?
(19が収録されたアルバムはそんなに売れなかった)
ここからは個人的な想像。

1984年前後、この頃のイギリスは、
下降していく経済を立て直すために、鉄の拳を振りかざし
強行姿勢で英国をリードしたマーガレット・サッチャー首相が
彼女の政権下における組合弱小化政策の一部である炭鉱閉鎖に
反対する大ストライキが国中に広がり戦争状態だった。

世界を見れば80年に勃発したイラン・イラク戦争が長期化し
84年にはアメリカ大使館が爆破されるなど、世界中で連日
この戦争の模様が放送されていた。

そんな社会背景とこの楽曲のベトナム戦争批判=反戦という
題材が合致したのではないか?と。



Sampled:DJ Jazzy Jeff & the Fresh Prince
The Magnificent Jazzy Jeff
Rock the House/Jive 1987




DJ Revolution feat. Evidence
Evolution
In 12s We Trust/Ground Control 2000