私は生のトマトはカプレーゼ以外食べない。加熱したものは好きだ。

生用のものは自分で作ったほうが好みの味になるのでときどき栽培する。

アンデスの高地が原産なので強い直射日光と乾燥を好む。太陽の輝きがそのまま味になると思っていい。昔家族が職場の庭園でトマトを作っていて、そこは周りに建物が無く強烈な日差しと強い風が吹く場所だった。

そこで作ったトマトは味が非常に濃くて、私が食べてきたトマトの中で一番美味しいものだった。

 

誘引はこまめに行わないとだらんと垂れてしまって、後からやり直すハメになることもある。生育後半に背が高くなったのを降ろす作業もそうだがこれは二人がかりでないとかなりしんどい。

他にも生長点が多いと栄養成長に傾くのでこまめに脇芽取りしたり、1番果を着果させないとこれも栄養成長に傾くなど完璧を目指すとかなり手間のかかる野菜だ。

私がよく作るホーム桃太郎系は訪花昆虫だけでも着果しやすいが、着果しにくい品種の場合人工授粉したりトマトトーンを使う必要がある。

鶏糞堆肥とは相性が悪いようで、元肥に使う分には問題ないが追肥でほかの野菜と同じ感覚で与えると肥料焼けを起こしやすい。なるべく根から離して与えるか、追肥は化成肥料で行うこともある。

 

2010年ごろに育てていたときトマト黄化葉巻病(黄化萎縮病かも)が発生したことがある。当時日本では新顔の病気で盛んに注意喚起されていて、私の興味を引いた。私が植物の品種とか病害虫耐性を意識するようになったきっかけかもしれない。

あとトマトの思い出といえば、幼稚園児の頃友達の家に遊びに行って、そこにミニトマトが植えてあった。私は当時から生トマトは嫌いだったが食べてもいいよと言われたので真っ赤な実を選んで食べてみるとこれがとても美味しくて感激して、バクバク大量に食べてしまった。後で食べ過ぎたと気まずくなるほどの数だった。今でも生のトマトは好んで食べないが、あの時のミニトマトがそんなに特別美味しかったかどうかはっきりとは覚えていない。

枝豆が大好物なので毎年栽培している。

家庭菜園でも簡単に作れる方で、プランターでも栽培しやすい。発芽の様子。

種は鳥に食べられやすいので不織布掛けが推奨される。我が家を縄張りにしている鳥は枝豆を狙わないのでそれはいいが、カブラヤガ(ネキリムシ)にやられることが多い。ダンゴムシも数が多いと結構齧られるので注意が必要。

 

元肥は少な目か、無施肥で苦土石灰のみ施す。マメ科植物は根粒菌と共生していて窒素を自給できるのだが、このため肥料の窒素が多いと容易に葉ボケを起こして収量が激減する。ただこの性質のおかげでプランターでもそれなりの収量が得られる。

クローバーの根についている根粒菌。

なので窒素肥料は追肥で与えることになる。花が咲いてから着果が確認できた頃にやるが、葉色を見て量を加減する。濃い緑なら窒素量が十分なので少量にするか追肥しない。黄緑色なら窒素不足なので普通量を追肥する。

無農薬有機肥料栽培の枝豆。

通常枝豆にはカメムシとかシロイチモジマダラメイガの幼虫がついて食害される。養父が作っていたときもずいぶんカメムシが多くて苦労していたのを覚えている。

私が育てると無農薬でもあまり虫が寄ってこない。工夫して栽培しているのもあるが、こういう仕事とか趣味で色々なものを育てたり料理したりするものは手に馴染むというかどうやっても上手くできる品目というのがあって、私にとってのそれが枝豆なのかもしれない。波長が合うってやつかな?

「工夫」の話をすると、無農薬で害虫を減らすには益虫を増やすことと、植物の植え方を考えること。

・採光、風通し、水はけをよくすること。虫は直射日光と低湿度が苦手だ。日当たりのいい場所で畝を高く作り、株間を広くとる、1列植えにするなど。

・窒素肥料を控えめにする。窒素が多いと植物は大きくなるが、水気が多くなって締まりがないのと虫が好む栄養素が多くなるのか、害虫や病気が増える。枝豆の場合窒素を自給できるのでなおさらである。

・住んでいる地域の環境に合った種類の植物を植える。夏猛暑になるなら熱帯原産の野菜を植えるなど。カメムシは7月下旬から多くなるのでそれまでに収穫できる早生品種の枝豆を早播きする。

 

枝豆は乾燥が苦手なので土寄せとマルチングして、お楽しみの収穫だ。

全体的に豆が膨らんだら株ごと引き抜くか、ハサミでひとつづつ収穫する。

私はハサミで収穫するが、実に近い部分で切っておくと茹でる前に塩味を回りやすくする処理の手間が省ける。

湯あがり娘とオクラ。

害虫を減らすために窒素肥料を少なめにしろと書いておいてなんだが、枝豆は窒素肥料が適度に多い方が味がいい。私は手癖で作ると全ての野菜が窒素不足気味になる。

枝豆とオクラの緑色が薄いのは恐らくそのためだろう。いまいち甘味が乗ってこないので病害虫の少なさとどちらを取るか痛し痒しである。

 

おまけ

一部の猫はなぜか枝豆を好む。養父が株ごと収穫した枝豆を切り離す作業をしていたとき、いつも飼っている猫が寄ってきて、葉を与えるとムシャムシャと食べていた。

ネットを見ると実の皮を食べる猫もいるという。こういうときに無農薬だと安心して与えることができるのもいいところだろう。

母がスイカ好きなので毎年夏にスイカを作っている。

アフリカ原産で、今の日本の夏でも平気で育つ耐暑性があるので抑制栽培にも向いている。暖地の家庭菜園なら梅雨~初夏の収穫を目指さずに盛夏~中秋ごろの収穫にすると自然の天候で無理なく作れる。私も挑戦し始めのころはビニールトンネルを準備して初夏に収穫していたがなかなか大変なものだった。

大玉の栽培難易度は高めなのでまず同じウリ科で形態が似ているカボチャとか小玉スイカで練習してみてもいいだろう。

スイカはほとんどF1品種なので食べたものの種から育てても大きい実にならない。

栽培するときは苗か種を種苗店で買おう。また種なしの黒玉スイカなどは受粉に普通のスイカの花粉を必要としたりするのでよく確認しておこう。

スイカ自身の根で育てた方が味が良いと言われるが根が繊細で耐病性も劣る。私の感想では実生の方が甘味がひんやりしている気がするが、品種も違うので何とも言えない。

だいぶ昔に作ったスイカ。

ホットキャップは裾を開けておかないとコナジラミが発生する。

鶏糞とは相性がいいのでやや多めに施肥してあとは教科書通りで作れる。

栄養状態がいいときに現れる両性花。2節が融合して1節になっている。

 

一株から大玉を多数採る場合のコツは、株を十全に育てておくことと全ての雌花に同時に人工授粉して着果させること。このタイミングがずれるとあとから着果した実は大きくならない。

低節位で実をつけた方が味が良いとされるが大きさでは劣る。また1番果は奇形になりやすいので摘果する。

実は尻の花落ち部分から成熟して大きくなっていく。また成熟すると水分が抜けてくる。なので完熟しているか見分けるときには下部、胴、肩を叩いたときの音の響きと感触をみる。肩の部分の水が抜けているようであれば完熟しているということだ。ペットボトルは水が詰まっているか空かで叩いた時の音と感触が違うが、あれと同じである。軽い力で十分なので強く叩いて実を傷めないようにしよう。

実生のスイカ(縞紅)。

実の生育後半に雨が降るとバックリ実が割れることがあるが、これは実を大きく育てることで多少予防できる。その品種の目安になる重量、例えば8kgならしっかり8kg以上の大きさに育てておくと割れにくい。おそらく中途半端な大きさだと実をまだ成長させようとして水分を無理に送り込むので割れてしまうのだと思われる。

 

病害虫で有名なのはつる割れ病とウリハムシだろう。つる割れ病は接ぎ木苗で輪作しておけばまず発生しない。

ウリハムシは少し出るがうちでは防除が必要なほどの被害はない。メロンを一緒に植えているとメロンの方は丸裸にされる勢いで集ってくるが、スイカは後回しなあたりあまり好んではいないようである。

我が家では必ずカラスの攻撃を受けるので実の上に寒冷紗などを置いて防御するのが必須だ。

 

こうして毎年スイカを作っているのだが、問題になるのは大玉だと切っても冷蔵庫に入りきらないことである。一気に全部食い切ることもできないので、去年は切ったもの半分を部屋に置いていたら2日で傷んでしまった。

キャベツと芽キャベツを作ったときにも思ったことだが、家庭菜園ではこういう大玉を一発で収穫するものは使いづらいところがある。大玉のロマンは捨てがたいが、小玉のものを少しづつ収穫して使える方が便利だ。

私はときどき生ハムとかブレザオラを作るのだが、同じ要領でカラスミも作れないかと思い立ってチャレンジしてみたことがある。その時はボラ以外の適当な魚卵を使ったがそこそこのものができた。

 

カラスミの作り方

 

・ボラの魚卵、あるいは適当な魚卵を買う。血管が少なく大きいもののほうがいい。ただし小さいものの方が失敗はしにくい(塩が回りやすいのと乾燥が早いため)。

・通常血管を針とスプーンでいじって血抜きの作業を行う。このときは実験的に作ったので自分は行わなかった。

・魚卵に対して重量の6%以上の塩と少量の砂糖をまぶし、ビニール袋に入れて冷蔵庫で1週間漬けておく。

・1週間経ったら魚卵を水に漬け、半日~1日置いて塩抜きする。

・魚卵の水気をふき取り、キッチンペーパーで挟み潰れない程度の重しをして冷蔵庫に1日置いて成型する。

・網など風通しのいいものの上に魚卵を置き、冷蔵庫内で日本酒を刷毛で塗りながら少しずつ乾かす。水気が多すぎると腐るが、乾燥が早すぎると冷蔵焼けの臭いがつく。

・全体がしっとりした程度に乾いたら完成。

 

腐らないように塩分多めで適当に作っても意外とおいしい。ゆっくり乾燥で熟成させればねっとりした上質なカラスミができる。

この雑魚卵カラスミは血抜きをしなかったので写真でも血管が見えるが変な臭みはなかったように思う。魚種によって血の臭みも変わるのだろうか?

 

元々私はタラの芽が好きで、昔はよく山菜取りに行っていた。

ただ、山菜というのは取ってはいけない場所があったり他の人と競争になったりして、そういうのが面倒になったので私は自分で育てることにした。

タラの芽はタラノキの新芽だが、正直木を育てるのは難しそうだったので同じウコギ科のウドを育てることにした。

林の縁などに自生しているので秋に種を採取する。花火のような花と種は独特なので判別はしやすい方だ。

種は冷蔵庫にそのまま保管して、春になったら液果を洗い流して水に漬けておく。

温度によるが2日~1か月くらいで根が出てくるので、発根したら土に植え替える。

ギボウシなどもそうだがこの方が土に直接種まきするより確実なので、私は失敗したくない種はこうする。

または店で食用として売っているものの根部をカットして土に埋めるだけでも増やせる。

根から容易に発芽するので根を切って株分けすれば大量に増やせる。

これは実生の株を掘り上げたもの。

ウドは乾燥に弱いので鉢植えの場合は注意する。野生の株は半日陰になる林の縁に自生していることが多い。地植えの場合土地が低くなる方の壁際か元水田のような粘土地に植えるといい。夏の直射日光で地上部が枯れることがあるが、秋になるとまた生えてくる。

右の写真の株は食用品の根から増やしたもの。

 

春に芽が出る前の株の上に枠を置いてその中にもみ殻などを入れ、軟白ウドを作る。

ウドの酢味噌和え。清涼感ある味わい。

切った茎は酢水に晒してあく抜きし変色を防ぐ。皮はきんぴらにする。先端の穂の部分は天ぷらなどにするとタラの芽に似た味でおいしい。