私は大学の麻酔科にいるときに 総合病院の救急外来とI集中治療室を管理している麻酔科で半年ほど

研修しました。

その麻酔科での研修は私の医療に体するベースをつくっています。

心臓病 心不全 とう疾患では一般的に強心剤というものが使われます。

そのICUでは強心剤は使用禁止でした。

強心剤とは字のとおり心臓の働きを強くするものです。

心臓が弱っているから強くする 収縮力をアップする 当たり前といえば当たり前なんですけど

心臓を鞭打つ薬なんですね。

心臓が収縮するためには 心臓が静脈血に満たされて膨らまなければなりません。

膨らむ圧が中心静脈圧といって 心臓に流れ込む圧なんです。

心不全の場合 心臓が血液を送り込むことができないため 静脈がたまりがちになり

中心静脈圧(CVP)が高くなってしまいます。

それをコントロールするのに 一般的には利尿剤を使います。水を抜いてしまうのです。

これもそのICUでは使用禁止でした。

さらに血圧を下げる薬 カルシウム拮抗薬も使用禁止でした。



ICUでありながら ほとんど全ての薬を使うことを禁止していました。

なんとかなるもんです。


圧は物理的なことですよね。物理は物理で対応できるんです。


まずCVPに対応できるのは肺の持続的陽圧です。

心臓の周りに肺が取り囲んでいるため  呼気終末圧(息を吐ききったときの圧)がCVPに拮抗します。

CVPの標準値が3~10cm水柱 ですから 

心不全で15cm水柱になっている場合は5~6cmのPEEP(持続的陽圧)をかけることによって

心臓が拡張しすぎないようにします。

それだけ(インプットを正常化すること)で確実に心臓のアウトプットが増えます。

PEEPといっても人工換気をするわけではなく 自発呼吸を大切にします。

CPAPといって自発呼吸だけで

自発呼吸では足りない場合は少なめのプレッシャーサポート(呼吸にあわせて人工換気をする)

を少なめに設定します。酸素は足りているので換気量が少々足りなくても

細胞は呼吸性アシドーシス(酸性に傾く)がおこりますが

これによって 呼吸中枢が刺激されます。

換気量が多すぎると呼吸性アルカローシスになってしまい。自発呼吸が無くなってしまいます。



PEEPはCVPを補正するだけではなく 肺胞をひろげ 酸素化を良くしていきます。。


もっとも重要なのは心拍数H.Rです。

心拍が適正であれば心臓は無理していない状態です。

体液のボリューム(体積)をコントロールし心臓にかかる圧を適正化し

動脈や静脈 肺の圧をコントロールしていきます。



この圧のコントロールを理解できる医師は殆どいませんでした。


教科書にはPEEPをかければ泊出量(アウトプット)は減ると書いてあります。
心不全の治療は強心剤と利尿剤と書いてあります。


それを体験しない人はそのままだし 知っても 今迄通りにしか人は動けないし
本当の意味で理解はできない。