平南ホテルや、その他、いろいろ考察 -4ページ目

平南ホテルや、その他、いろいろ考察

平南ホテルや、その他、いろいろ考察

併しプロレタリヤ文学の台頭と新しい文芸批評の台頭とは、世界各国に於て全く同時期であった。フランス唯物論時代は過去の最もいい例である。フランス文芸批評の伝統が打出されたのは古典作家達の盛大時と同時代であった。ドイツ・ロマン派の時代は批評と創作とが一致した時代だったと考えていい。なるほど批評は近代に至って次第に著しくなって来た文化現象なので、例えば古代ギリシアのプラスティック作品の時代には批評はなかったとも云われる。がその反証は容易に挙げることが出来よう(例えば井島勉氏「批評の芸術史的意味」――『哲学研究』二六八―九)。クリティシズムを創作活動の衰えのように見るのは、クリティシズムを創作活動と全く共通性のない本質から発するものと見るからであり、従って之を創作活動の最も卑屈な奴隷と見るか、又は逆に最も苛烈な刑執行人と見るか、する、からである。だが言葉は凡ゆる人間活動に伴っている。それは最も普遍的な表現形式だ。だから制作活動が旺盛であればあるほど、言語活動としてのクリティシズムも隆盛になる、と考えた方がはるかに自然で公平だとも云える筈ではないか。




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