聖子と肇<恋の後始末>その5・最終話
聖子と肇<恋の後始末>
ー その1 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169104598.html
ー その2 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169107100.html
ー その3 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169446968.html
ー その4 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169824949.html
ー その5・最終話 ー
2011年 聖子 65歳の12月
自宅近くの宝石店で、アンティークジュエリーの展示会があった。
興味があるという肇を誘った。
接待のコーヒーを手に気軽に話す二人を見て、その店の常連客が言った。
「まあ、、、仲の良いご夫婦だこと。」
「いいえ、違うんです。 私達、学生時代の同級生なんです。
実はね私、、、悲しいことに、その頃にフラれちゃってるんです。」
聖子が、冗談交じりに軽く答えた。
え
、、、一瞬、肇の眼が驚いた。
その夜、夕食の途中にスマホが鳴った。
「あのさ、、、俺たち付き合っていた頃、、、君のコト、、、抱いていた、、、よね。
それでさ、、、君が、、、聖子が一番良かった。」
電話を切ったあと、肇流の 『恋の後始末』 に、聖子は大笑いをした。
それから数ヵ月して、肇のお袋さんが他界したとの知らせがあった。
聖子は近所の花屋から、 1万円分の白いバラを送った。
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、、、完。
聖子と肇<恋の後始末>その4
聖子と肇<恋の後始末>
ー その1 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169104598.html
ー その2 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169107100.html
ー その3 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169446968.html
ー その4 ー
2003年 聖子 57歳の 10月
自宅から歩いて数分のところに、ピッツァの専門店がオープンした。
オーナーシェフは、本場イタリアでのピッツァ大会で準優勝したらしい日本人。
京町屋をリノベーションしたその店は、女性客に大いに気に入られていた。
イケメンシェフ、しかも 30歳代というので話題になったのだ。
美味しかったらいいのにな、、、と期待しながら、聖子はその店に向かった。
『お一人様』 の聖子が案内されたのは、カウンター席。
6席しかないカウンターの左端に、先客がいた。
ひとつ離れた椅子に座ろうと、聖子はその先客に会釈をした。
不思議そうに、聖子の顔をマジマジと見た先客、、、
「、、、聖子
」
え、、、誰![]()
聖子はメガネをかけた中年男性の顔を見直した。
聖子と肇のパリでの再会デートから、30年以上が経っていた。
お互いに連絡先も交わさず、日本に帰って来ていた二人だった。
「去年、仕事でミラノに行った時に知り合ったんだよ。イケメンだろう、彼。
自分の店をオープンしたって聞いたから、お祝いに来たんだよ。
でも、まさか、、、ここで聖子に出会うなんて、予想もしていなかったよ。」
父親の会社を継いだ肇は、書籍の他に絵画やインテリア用品も扱っていた。
26歳で、母親のメガネに叶った小柄の可愛い系のお嬢様と結婚。
2人の男児をもうけたが、彼らが幼児のうちに離婚。
母親に子供たちを預け、ヨーロッパ・中近東・東南アジア・日本、、、を行き来して仕事に励んだという。
聖子が結婚をしたのは 33歳の夏、、、肇が離婚して数年後になる。
当時にしては、かなりの晩婚。
そして今、夫が他界し、、、既に 6年が過ぎている。
たった 18年間の結婚生活だった。
夫の急死はショックだったが、、、実は、楽天家の性格の方が勝っていた。
京都の中心地での、娘との二人暮らしは快適そのもの。
「肇がサウスポーなのを思い出した。 一番左の椅子に座っているんだもの。」
「そういえば俺たち、いつも二人の座る位置でもめてたよな。」
「人って、変わらないのね、、、歳とっても。 シワと白髪以外はね。」
お互いの顔を見て笑った。
『4種類のチーズのピッツァ』 と 『アンチョビのピッツァ』 を二人でシェアした。
聖子は、遠慮なく肇に勘定を任せた。
「今度はさ、大阪で食事しようよ。 中央市場にね、旨い寿司屋があるんだよ。」
二人は、30年前には無かった携帯電話の番号を交わした。
肇の住居は新築されていた。
兵庫県A市、、、その中でも高級住宅地にあって、TV番組の 『、、、の建物探訪』 に出て来るような粋なデザインの家。
「おふくろさ~ん
聖子さんだよ、、、覚えているかな
」
「まぁ、ようこそいらっしゃいました。何のお構いも出来ませんが、ごゆっくりなさいませ。」
84歳になるというお袋さんは、昔と変わらずお上品そのもの。
『ウズラのゆで卵』 をむいたような白い小顔も、そのままだった。
肇の息子 2人はそれぞれ自立。
お袋さんと肇の二人暮らしもまた、快適そうだった。
大阪中央市場の寿司・ホテルのバイキング・老舗のうな重・神戸の中華街、、、
京都のフレンチ・イタリアン・人気のカフェ・蕎麦、、、
半年に 1度ペースの熟年ランチデートが続いた。
因みに、あのイケメンのピッツァ専門店は、既に無くなっている。
年に 3~4ヵ月は、仕事と遊びを兼ねて海外で過ごす肇。
趣味は、バイク・車・水中ダイヴィング・カメラ・プロ級のクラシックギター、、、料理も。
レース場でバイクで転倒し、約束の日に足を引きずって京都に来た時もあった。
「もう歳なんだから、トライクにすればいいのに、、、」
いかにもトライクの似合いそうな肇に、聖子が言った。
「嫌だよ
そんなに老いぼれてる訳じゃなし、、、まだまだ、 2輪で飛ばしたいもの。」
イヤイヤのジェスチャーを付けて答える肇は、まるで、年下の幼馴染のよう。
20歳で付き合い始め、21歳で止め、3年後のパリでの再開デート、、、
還暦を迎える頃に、またまた再会、、、
その間、お互いに恨みも未練もなく、それぞれの恋愛や結婚、離別を経験した。
一人っ子育ちの 『素直なぼんぼん気質』 の肇と 『未来>過去』 の価値観を持つ聖子。
人生は面白い、、、聖子は思った。
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、、、つづく、、、![]()
聖子と肇<恋の後始末>その3
聖子と肇<恋の後始末>
ー その1 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169104598.html
ー その2 ー
http://ameblo.jp/dcvs227/entry-12169107100.html
ー その3 ー
「俺、、、子供だったよな、、、ホントに、、、」
ベッドに座り込んだまま、照れくさそうに肇が言った。
「俺、こっちに来て半年間、大変だったんだ。フランス語には自信あったのだけど
相手の顔を見ないで電話で営業が出来るようになるのに半年もかかったんだ。
俺のアパート、エレベータ無しの 5階なんだよ。
毎日階段を上り下りしてるから、こっちに来てから 5キロほど痩せたし、、、
節約の為に靴下とパンツ履いたまま石鹸付けて、体と一緒に洗ったりね、、、
ねえ、このアイデア、ちょっとイケてるだろう
」
一人で話続ける肇。
きっと日本語に飢えているのだと、聖子は思った。
「でさ、、、まさか、今日で終わりにしよう、、、なんて言われるとは思わなかったよ。
あれから暫くの間、俺の中からポカンと何かが抜けたみたいで、、、
俺、子供だったよな、、、ホントに。」
聖子と肇は、この 3年間、1度も顔を会すことが無かった。
同じ大学でも、学部が違ったからだ。
大学卒業後、肇は彼の父の会社に入り、その年の 9月からパリに移り、取引先の大手出版社に勤めている。
このアパルトマンの持ち主である同級生とは、つい最近、通勤途中に偶然に出会ったらしい。
狭い町だ。
今日は、彼女がヴァカンスでパリを出ているのを知らずに訪ねてきたという。
「聖子は何日までパリに居るの
」
「私
来月の末までだけど、1週間先にロンドンに行くの。
そこで日本人ツアーに 3週間合流して、何ヵ所か回って、最後にローマ。
それからね、もう 1度パリに戻って来るの。」
「じゃあ、ロンドンに発つ前にボーリングとか行こうよ![]()
俺、既に休暇に入っているんだけど、パリを出るまで丁度 1週間あるから。」
そういえば肇は、ボーリングが得意だった。
翌日、ブーローニュのボーリング場で、聖子は 183点を出した![]()
レストランでは、肇のフランス語が頼もしかった。
買い物にも付き合ってくれた。
サンジェルマンのフランソワビヨンで、探していたブーツを買った。
肇がパリで知り合った日本人夫妻宅に招かれて、冷麺をご馳走になった。
彼らは、チャウチャウを飼っていた。
フランス人宅では、トマトソースのカッペリーニを、、、意外と美味しかった。
そこで同居するフランス人男性 2人は兄弟だというのだが、聖子にはカップルに見えた。
クリニャンクールの蚤の市で、アンティークの銀のペンダントトップを買った。
それは、2㎝ほどの大きさの子供靴のミニチュア。
肇が 3フラン値切ってくれた。
食材を買ってきて、夕食は 2人で自炊した。
学生時代に中断された付き合いを取り戻すかのように過ごした、濃密な 1週間だった。
「俺、、、子供だったよな、、、」
「何度も言わなくてもいいよ。もう、二人とも大人になったんだから。」
翌朝、それぞれの夏の旅に発ち、パリでの再会デートが終わった。
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、、、つづく、、、![]()
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聖子と肇<恋の後始末>その2
聖子と肇<恋の後始末>
ー その 1 ー
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ー その 2 ー
1970年 聖子 24歳 7月の初め
パリ 17区にあるアパルトマンの前で、タクシーから降りた。
通常のチップにスーツケース分の 1フランを足して、料金を支払った。
当時は未だ珍しいオートロックのエントランス。
コンセルジュから鍵を受け取り、3階の部屋に入る。
洒落た造りのこのワンルームは、聖子の高校からの同級生友人女性の部屋。
ソルボンヌ大学に留学中の友人は、夏のヴァカンスで部屋を留守にしていた。
やはり 2ヶ月の休暇をとってパリ入りした聖子に、その部屋を使わせてくれるのだ。
パリに来たのは、3年ぶり。
21歳の 5月、ボーイフレンドの肇と 『オトコ前な別れ』 をした年に、ソルボンヌのフランス語夏期講座に参加していた。
初めてのパリ生活は、オトコ前な失恋の傷を癒すのに大いに役立った。
学生時代の恋愛なんて、そんなものだ。
部屋に入ると直ぐに衣類をクローゼットに収め、シャワーとメイク直しをした。
ベージュのミニのワンピースとサンダルに着替え、バッグの中身を改めて、、、
薄手のカーディガンをハンドルに挟んで、足早に部屋を出た聖子。
アパルトマンを出て石畳の坂を少し下がると、シャイヨー宮から正面にエッフェル塔が見える。
しかし、聖子が向かうのは、エトワール。
凱旋門に上がるのだ。エッフェル塔には興味が無い。
凱旋門の上からの、放射状に延びた大通りの景色を見に行くのだ。
あぁ
、、、パリに戻って来た、、、なんて、ちょっと洒落た気分になりたかった。
実際、その眺めは 『これぞパリ
』 と、数十年も経った今も、聖子はそう思っている。
トロカデロから、メトロでエトワールに向かった。
エトワール、、、フランス語で星のこと。
この広場から放射状に延びる街路を空(凱旋門の上)から見て、星☆の形をしていることから、その名が付いている。
その眺めを漫喫し、らせん階段を下りた聖子はシャンゼリーゼ大通りを下がり、エリーゼ宮からサントノーレ通りに入った。
ウインドウショッピングをしながら、3年前のパリの夏休みを思い出した。
当時は、海外旅行には 500ドルと 2万円しか持ち出せなかった。
1ドル=360円の固定相場だったので、合計 18万円 + 2万円=20万円。
航空運賃・授業料・『シテユニベルシテ日本館』 の宿泊費は日本円で先払いしていたが、その 20万円で 2ヵ月近くの食費や交通費、その他を賄わなければならなかった。
格安ロンドン 1泊旅行で 『カーナビーST』 を探したり、スイスにも 4泊旅行に行った。
クラスメイト達とキャバレーのショウを見に行き、『おのぼりさん』 気分を味わった。
パリのウインドウディスプレイのセンスの良さにタメ息をつき、、、
アレも欲しい、コレも買いたい、、、切り詰められるのは食費、、、
執念で、数着の衣類やアクセサリー、、、バリーの靴だって 2足も買ったっけ。
お蔭で、お腹を空かしっぱなしの夏休みだった。
エルメスのウインドーの前で、聖子は小さな声で思い出し笑いをした。
サントノーレは 3年前とは違い、殆どのブティックがヴァカンス中の夏でも開いている。
シャネルからヴァンドーム広場のカルティエまで行って折り返し、再びシャンゼリーゼに出た。
メトロに乗らず、聖子はそのまま歩いてアパルトマンに帰ることにした。
ちょっと長い道程なのは分っている。
7月に入っても、湿気の無いパリの風が気持ちよかった。
カーディガンを肩に羽織りトロカデロまで帰って来たとき、お腹が鳴った。
機内食を少ししか摂らなかったのだ。
すぐ近くのカフェの椅子に座った。
お世辞にも美味しいとは言えない、カスカスのステーキにアリコベールを口にする。
正直、パリのレストランやカフェの食べ物には期待してはいない。
明日からは自炊しなきゃ、、、と、それでも聖子はウキウキしていた。
カフェの椅子を立ち、坂道を少し歩くとアパルトマンが見えてきた。
夕暮れのエントランスで、誰か訪問者がインターホンを押している。
訪ねた相手が留守だったのか、その人は道を下ってきた。
え、、、あ、、、肇![]()
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、、、つづく、、、![]()
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聖子と肇<恋の後始末>その1
聖子と肇<恋の後始末>
ー その1 ー
1967年 聖子 21歳の 5月
その日のデートが終り、肇の車で自宅まで送ってもらった。
白とオレンジの ツートーン の ヒルマン。
コンビの靴みたいで、聖子はこの車が大好きだった。
車から降りようとした時、肇が言った。
「今朝なんだけど、、、お袋が言うにはね、、、」
「何て
」
「聖子と付き合うようになって、僕が不良になったって。」
「は
」
「それでね、、、聖子を傷付けないように、徐々に別れなさいって。」
「どういう事
」
「週2 のデートを 週1 にして、更にそれを 2週間に 1度、1ヶ月に 1度、、、
3ケ月に 1度って言う風に、、、」
肇は、お育ちの良い一人っ子の 『ぼんぼん』 、高校からの同級生だった。
肇と付き合いだした頃を思い出した聖子。
『ウズラのゆで卵』 を剥いたような白い小顔の、アンタのお袋さん、、、
オクテの息子にガールフレンドが出来たって、メチャ喜んでいたんじゃなかったっけ。
私だって、、、肇が初めてなんだよ、、、
「解った、もういいよ。そういう事情なら今日で終わりにしよう。じゃあね
」
そう言って、後ろ手で助手席のドアーを閉めた。
ミニスカートの後ろ姿にちょっと自信のあった聖子は、振り返ることなく真直ぐに玄関に向かって歩いた。
ビックリしたり困ったりした時、何でも即決するのが、聖子のやり方だった。
うーぅ
、、、何てオトコ前な別れ方をしてしまったんだろう、、、
それからの数日、聖子が大泣き
の夜を過ごしたのは言うまでもない。
、、、つづく、、、![]()
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<恋の妄想エピソード>⇒ちょいと書き直して<妄想ストーリー♪>
随分前のブログに書いた<恋の妄想エピソード>
読み直してみたら、、、あ・れ・れ、、、誤字・脱字・変換間違い、、、![]()
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それどころか、主人公の名前が途中で変わってしまっていたり、、、![]()
それだけでなく、文章の成り立ち自体も余りにも、、、お・そ・ま・つ、、、![]()
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で、<恋の妄想エピソード>は、、、消す
消す
消す
消したー![]()
<恋の妄想エピソード> 改め<妄想ストーリー>で A4 の活字にしたところ、、、
下手は下手なりに、パソコン画面では分らない様々な事に気が付きました。
ページの切れ目に合わせて文章の文字数を調節したり、、、
言葉使いの重複を無くしたり、、、これには 『言葉の引出』 が小さい私は苦戦![]()
しかし、この歳に成ったら怖いものなし
ハハハ、、、
諸々の恥を乗り越えて、新たに修正したストーリーを UP
します![]()
『事実は小説より奇なり』 と申します。
自分を含め、周りで見聞きした事柄を一人の人間の出来事として書くのが小説。
更に妄想を重ねてストーリーを作る、、、
決して 『ワタクシ個人の経験』 ではありませんので、、、その辺は、お間違えなく。
時代背景がチョイと古いのですが、老若男女、恋する人の心は今も昔も変わりません。
恋ばな
、、、というからには、セクシー
なシーンがある訳で、、、
そこんとこは、シッカリ書きたい![]()
と気が逸るのですが、グウー
と我慢です。
行間の流れは、読者の妄想にお任せ放題
で見切り発車![]()
いやいや、、、全体には 『お上品』 なのでご安心を![]()
気軽に漫画チックに見てくだされば、嬉しいです![]()
以下のストーリーを 1章ごと毎日欠かさず UP
するとして、、、明日からです、、、
書く方も読む方も、しんどい
ですが、、、![]()
聖子と肇<恋の後始末>
弘子と晃<好みのタイプ>
冴子と順二<思い違い>
: 私のストーリーも書いてくれないかしら、、、






























