通勤は、駅まで20分あまりの距離を歩く。
仕事柄、帰りは深夜。日付の変わる12時ごろ、駅から自宅に向かって、とぼとぼ歩いて帰る。
最近は、携帯電話で音楽が聴けるので、インナータイプのヘッドフォンでがんがんに音楽をかけながら
真っ暗な夜道を、1人歩く。
自宅まで、池の周囲を迂回するように歩き、信号をひとつ過ぎ、長い坂道を上りきる。
そこから大きな病院の前を通って、川沿いの小径を歩いていくと、やっと、我が家のある住宅街へとたどりつく。
途中、街灯の灯りが届かない、本当に真っ暗な場所が一箇所あるほかは、薄暗いという程度には街灯がついている。
秋から冬にかけては、夜空を見上げながら歩く。
10月、ようやく秋の気配が濃厚になるこの時期、ぼくはオリオン座とシリウスに向かって歩く。
見上げなくても、少し顔を上げると、オリオンもシリウスも視界に入る。
12月、同じ時刻。
帰り道に大きく振り仰げば、そこにシリウス、ベテルギウス、プロキオンの冬の大三角が見える。
ぼくの空想は、時空を超え、はるか彼方から何万光年もの旅をしてきた星の光に及ぶ。
天空にちりばめられた、この3つの星やほかの多くの星々と、ほんの一瞬時間が共有できることがうれしい。
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