「もしもし、ちょっとよろしい?」
<はい、どうぞ、お伺いいたしますよ。>
「あのね、さっき、電話があって、(ああ、おかんかー、今、おかんが死んだんや。)って、
言うて。」
<え?・・え? まあ、落ち着いてください。・・おかんて?>
「え、ああ、それは、私の事や。」
<でも今、亡くなったって・・・。>
「そやねん。私と仲のええ昔からの知り合いの男の子で、年下やから、
私のことを(おかん)て呼ぶねんわー。」
<はあ、なるほど。それで、その方のお母様が亡くなられたのですか。>
「そうそう。なんか、お風呂で倒れたらしいんよ。
救急車を呼んだらしいけど、心肺停止って・・。
ねえ、どうなるの? どうしたらいいの?」
<ええ、それは、大変ですね。病院に行かれたのですね。お母様は。>
「そうらしいけど。それが、今度は、警察に連れていかれるらしくて・・。なんで?」
<それは、たぶん死因をはっきりさせるために、解剖されるのでしょうね。>
「ええ―ッ!そんなー、かわいそうやわー。前から心臓が悪いってお医者さんにも。」
<・・・、間接的では、内容がよくわかりませんので、
ご家族から、できれば付き添われているご家族からお電話いただければ・・>
「わかったー。かけさせるわ、すぐに。」
<よろしければ、病院に行かせていただきましょか、お電話の方がよろしいか?>
「・・・そやなー、皆、動転してるから・・、いや、行ったって。
どっちにしても葬儀のことも聞かなあかんから。頼むわ。病院は・・。」
<よろしければ、お名前を・・・。>
「ほんまやー。忘れとったー。」
★ こんな悩みも。
「年末に親父が亡くなったんやけど、どうしよう。」
「何にお悩みですか?」
「年賀状」
「あー、もう、出された後ですか?」
「いや、それが、今年は親父の看病で、
ちょっと、遅れたので、まだ、出してない。」
「そうですか、では、松の内が済んだら、
寒中見舞いになさいますか?」
「んー、それは、ええねんけど、
どうなるん?この出さなかった年賀はがき。
今年にかぎって、200枚も買ったのに。」
「・・・・。郵便局でおたずねください。ね。」