実を言うと4月に入ってからクルマを弄っていない。このところ週末は専ら玄関の改装に勤しんでいるのだ。というのも、ハンドメイド作家の奥さんの夢を実現するためにDIYで玄関をリフォームしている。

 まず、下駄箱を撤去して旧い壁紙を全て剥がす。次に錆びた釘に錆転換剤を塗布してから下地の凹凸をパテでならす。夫婦で会議した結果、天井にはコンクリート風の壁紙を貼り、壁は漆喰で施工することに。

 

 

 我が家の床は玄関から続く全室がバリアフリーのフローリングで明るいベージュなのだけれど、今回の玄関リフォームではアクセントとして見切り巾木、什器の棚などをダークブラウンで統一しようということになった。そこで漆喰の壁と壁紙の天井の境目に見切り(この場合は回り縁)を付けることにしたのはいいのだが、天井に回す4本の細い棒を長方形に組まねばならない。棒といっても天井に押しつける部分は直角でも人の目に触れる部分にはアールが付いていて、これらを繋ぐか所はそれぞれに45°でカットする必要がある。形はイレギュラーでも所詮細い木の棒なのでチャッチャと鋸で切ればいいやくらいに思っていたのだけれど、実際にやってみるとこれが全然上手くいかない。アールの付いた細い棒を45°の角度でカットするのは至難の業だ。ホームセンターで購入した1,870mmの4本の見切りのうち、あっという間に2本を駄目にしてしまった。ごめんなさい、私が思い上がっていました、ド素人には到底無理な課題でした。

 その日は、非常に不機嫌で奥さんに当たり散らして、もう自分はリフォームしないと啖呵を切ってはみたけれど、負けたままではどうにも収まらず、その日はあれこれと考えて眠れなかった。

 なぜ失敗するのか? 決めた位置で鋸を挽けないからだ。では、なぜ鋸を挽けないのか? まず、切る対象にアールが付いていて鋸が安定しないから。また、切る対象が細いのでブレてしまう。さらには、そもそもド素人なので鋸を扱うスキルが徹底的に不足しているから。じゃあ、どうすればいいのか?

 

 じゃあ、ド素人でも鋸を振るえるような治具を作ればいい。

 

 

 名付けて「ミキリ45号」だ。2本のワンバイ材をカットして板に打ち付けただけのようだが、自分で言うのも何だがこれがなかなか凄い。2枚の板の間は鋸が入る微妙な隙間があり、V字型の溝に見切り材を挟んで固定し、隙間に鋸を入れて挽けばあっという間に45°の綺麗な断面でカットできるというわけだ。ちなみに、見切り材の片端をV字型の一方でカットし、もう一方の端をV字の反対側の方で切ると切断する向きを間違えることなく1本の見切りが出来上がる仕組みだ。前日に失敗した材料を用いてテストしてみるとご覧の通り。

 

 

 生来の負けず嫌いとはいえ、まさに「Failure is the mother of success.(失敗は成功のもと)」である。