ZN6リアメンバーに金属のカラーを挿入してセミリジット化する作業で早くも暗雲が立ちこめた。

 4か所の締結部のうち右の前側から始めたけれど、新品のボルトが入っていかない。何度かのトライアンドエラーの末、気分を変えて左前側でやってみたらこちらはすんなり入った。

 

 

 何だ入るじゃん、てわけで右に戻るとやっぱりボルトは入っていかない。ボルトのネジ山を確認しても舐めているわけでなく、ネジ穴を下からライトで照らして覗いてみても、カラーがちょっとズレてはいても雌ネジがちゃんと見える。ただ何度もボルトを差し込んだせいか、雌ネジの入口付近に切り屑がほんの少し見える。

 当初、前側のボルト2本を外しただけなのでボディとメンバーがズレたとも考えられないのだけれど、20cm近くあるボルトがボディに届くまでにはメンバーサポート、ロアカラー、メンバー、アッパーカラーとかなりの距離がある。だからボディとこれらのパーツの通路にちょっとでも角度が付いていたらボルトは入っていかない。もしそうだとすれば、あまりやりたくはないが後ろの2本を緩めてメンバーを少し自由にしてみよう。

 左前を仮締めしたので右後ろのボルトを先に緩め、次に左後ろのボルトを緩める。左右交互に少しずつボルトを緩めていくと程なくメンバーの上下に隙間ができてきた。前側と同様に各部を清掃し、メンバーのブッシュにラバーグリスを塗ってカラーを嵌め込む。

 

 

 後ろ側は順調に作業が進み、ラチェットで軽く締めて仮締めが完了。ちなみに作業前に後輪は外してある。最終的にメンバーをかなりのトルクで締め付けるので、クルマの下に潜った体制では力が入らないからだ。下の写真は、左のタイヤハウスから後ろの締結部分を撮ったものだ。

 

 

 そして問題の右前側。念のために左前側のボルトを少しだけ緩めて再チャレンジ。初めの2、3度はやっぱりだめで、今度は車体の下に仰向けになって真下からボルトを差し込んでみたらこれまでとは違う抵抗感を感じて少しきつくなったので、左右から見てボルトが真っ直ぐ差し込まれていることを確認しながら少し締めてはちょっと緩め、これを繰り返していくとボルトにがたつきがなくなった。まだ若干きついのでラチェットを使って無理がないようにねじ込む。ああ、もう大丈夫だ。多分、雌ネジの最初の1山が荒れていたのだろう。そこをクリアすればボルトが入っていくようだ。

 

 

 カーショップのブログにあったけれど、今回のようにボルトが入らなかったのか、あるいは始めからインパクトレンチで締め込んだのか、ボディ側の雌ネジを舐めてしまったクルマがレッカー車で運ばれてきたそうだ。この場合、メンバーを降ろしてボディの雌ネジをリコイルしなければならない。だけど、ディーラーがこういう修理をするのだろうか? パーツやアッセンブリの交換が主体のディーラーはこんな作業をするのだろうか? まあ、いずれにしても自分のクルマがこんな目に遭うと考えただけでも恐ろしい。クルマ弄りに「力任せ」や「無理」は禁物である。

 

 4つのメンバーボルトを仮締めしたところで、メンバーサポートの14mmを含む全てのボルトを70Nmで締め、そのあとメンバーボルトを対角線に80Nmで締める。同様に100Nmで締めたあと、規定の145Nmで4本のボルトを締結して完了だ。

 不要になった純正のメンバーボルトと前側だけにあったアッパーサポート(CUSCOのカラーを装着する場合は不要)。ボルトが腐食しているように見えるけれど、これはたぶんネジロック剤だろう。新しいボルトには先端に薄く塗布しておいた。

 

 

 結果だけを見れば滞りなく終了したのだけれど、かなり中身の濃い作業だった。まあ、怪我もなく無事に終わったので長い時間DIYを満喫したというところか。