アーウィン・アレンというと「ポセイドン・アドベンチャー」や「タワーリング・インフェルノ」の製作者として名高いが、それ以前はテレビでSFシリーズを数多く手がけていた。
「原子力潜水艦シービュー号」「宇宙家族ロビンソン」「タイム・トンネル」「巨人の惑星」といったシリーズは日本でも放送された。
「原子力潜水艦シービュー号」は20世紀Fox映画「地球の危機」がオリジナルで、その設定を元にテレビシリーズとして制作された作品だった。
いずれのシリーズも娯楽色豊かな作品群ではあったが、基本的に一話完結でいろいろな事件を解決する「原子力潜水艦シービュー号」以外の3作品は、主人公たちが迷い込んだ異世界での冒険物であり、その状況から抜け出すことが大命題となっているのだが、視聴率の問題であろうが、どの作品も帰還しないまま打ち切られてしまった。
「宇宙家族ロビンソン」は未知の惑星に置いてけぼり「タイム・トンネル」は現在に帰還できず時間の迷宮を彷徨ったまま「巨人の惑星」にいたっては、帰還はおろかその惑星も謎のままという酷い話である。地球そっくりの世界に巨人たちが暮らしているので主人公たちが縮小してしまったのかと思ったら、どうやらそうではないらしい。あの星は一体何だったんだろうなぁ。
といった具合ですべて中途半端なシリーズながら一話だけ観ても、それなりに楽しめる作品にはなっている。とはいえ途中打ち切りはテレビの世界ではよくある話ではある。
そんな娯楽作品の王道を行くアレンは、テレビから離れ「ポセイドン・アドベンチャー」を制作し世界的大ヒットを打ち立て、更に「タワーリング・インフェルノ」を制作、これも世界的大ヒット作になった。
「タワーリング・インフェルノ」は実は映画製作にとって画期的な作品でもあった。
ビル火災を扱った映画をそれぞれ企画していた20世紀Foxとワーナーブラザースが、共倒れを避けるために共作した初めての映画だった。今でこそ珍しくなくなった2社合作映画だが、その口火を切ったのが「タワーリング・インフェルノ」に他ならない。
映画は思惑通り世界的大ヒットとなり、その後もアレンはいくつかのプロデュース作品を手掛けるものの、いずれもヒットとはいかず「タワーリング・インフェルノ」の夢をもう一度と、同じ脚本家も加わった大作「世界崩壊の序曲」を作ったものの惨憺たる結果となり、彼のプロデューサー人生崩壊の序曲となってしまった。
ところで、間違えてしまいそうなのだが、アーウィン・アレンの好きそうな設定にしてしまったスパイ映画マット・ヘルムシリーズを制作したアーウィング・アレンは、似たような名前であるが別人なのである。
