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嬉しい時や楽しい時に鼻歌をつい出してしまう人もいるものだ。

嫌なことやストレス解消のためにカラオケで熱唱する人もいるだろう。

音楽は時として心身の疲労を忘れさせる効果があるものだ。

現実逃避というかもしれないが、その夢想世界に浸れるミュージカル映画は極上の癒し世界なのかもしれない。

近年のミュージカル作品はドラマ性を重視するあまり、本来の楽しい夢のひと時が得られないように感じてしまうのは私だけだろうか。

 

そんな夢だらけのミュージカル世界を作り続けたのが1940~50年代のアーサー・フリード時代だった。

世界が暗く沈んだ時代に、底抜けに明るい作品を量産し、観客に至福のひと時を提供し続け、そこに出てくる人々の悩みは歌い踊れば消えてしまうような単純な問題で、映画は常にハッピーエンドを迎える。

そんなあり得ないからこそ、夢のひと時を人々は求めていた時代だった。

 

その世界を具現化したスターの代表はフレッド・アステアとジーン・ケリーだった。とはいえこの二人のダンスにはかなり違いがある。

フレッド・アステアは洗練と優雅さで魅了する極上の動きであり、ジーン・ケリーはダイナミックな動きで観客を圧倒するパワーにあふれている。

どちらが上かというのではない。二人の個性の差であり観る側の志向の問題で、あたりまえだが好きな作品を観ればいいのだ。

 

アーサー・フリード自身は当時の映画界にありふれた性的志向に問題があったとはいえ、作りづけた作品は極上のもので、そのエッセンスを集めたアンソロジーが「ザッツ・エンターティンメント」シリーズで、それを観るだけでも当時のミュージカル映画の質の高さが見て取れるのだ。

 

そのミュージカル映画が先に書いたようにドラマ性を優先するようになったのは、1950年代半ばにブロードウェイミュージカルを映画化するようになってからだろう。

「オクラホマ」「王様と私」「南太平洋」といったロジャース&ハマーシュタイン作品に代表される作品群がヒットして、極め付きは「サウンド・オブ・ミュージック」その直前にバーンスタインの「ウエストサイド物語」の世界的大ヒットだろう。

それらの作品は能天気な夢物語だけではない問題意識を、時として悲劇を描くことで作品に重みを持たせ、映画としての完成度を高めたといえなくもない。

 

とはいえ夢見ることのできないような現実を生きる時だから、何も考えず楽しい世界に浸るひと時を懐かしがっても良いではないか。