大ヒットした「猿の惑星」と同時期に公開された作品に、全くヒットしなかった「魚が出てきた日」がある。どちらもSF作品なのだが、超未来の「猿の惑星」とは違い現在を舞台にした核の警鐘ドラマで、派手なイメージがないため今でも知る人の少ない作品だ.
不思議な題名の映画、その内容は、核を積んだ飛行機がギリシャのカロス島沖に墜落したため、秘密裏に回収しようと軍の一行が開発業社を装い貧しい島にやってくることから、突如起きた観光ブームや遺跡発掘まで加わり色めき立つ島の混乱ぶりを描いている。
派手なイメージがないとはいいながら、映画自体は非常にカラフルでハデハデなコメディチックな作品だった。監督は「その男ゾルバ」のマイケル・カコヤニス。
印象的なのはギリシャの作曲家ミキス・テオドラキスの音楽で、テーマ音楽のような「ジェット」は一度聴いたら忘れられないサウンドだ。既存の楽器やギリシャ楽器を使ってシンセサイザーのような面白い効果を出している。シンセサイザーが一般的になるのは約10年後なので、まさに当時の未来サウンドと言えよう。
そしてお祭り騒ぎのような映画が頂点に達するとき、奇妙な題名の意味がはっきりと分かり、恐ろしくもどこか美しい場面が展開し映画は閉じる。それはまさに福島事故の混迷を先取りするような。
総じて「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな」という芭蕉の句が頭をよぎる映画だった。
この映画が公開された1968年は、他に「2001年 宇宙の旅」も公開されたSF映画の当たり年でもあった。その年日本で作られたSF作品というと東映の「ガンマー第3号 宇宙大作戦」…ありゃま。
