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さすらいのガンマンは荒野を彷徨う。その荒野を宇宙に置き換えるとスペースオペラのヒーローになる。

腰にレーザーガンを備え宇宙を放浪する密輸業者。というと「スターウォーズ」のハン・ソロや宇宙コミックのヒーローを思い浮かべる。

その原型になったのが、勿論アメリカで20世紀前半に流行ったスペースオペラのヒーローたちだった。

そのヒーローでもいささか異色なのがノース・ウエスト・スミスだろう。

大半のスペースオペラは単純西部劇のように、やたらガンを撃ちまくり相手を倒すというパターンなのだが、さすらいの宇宙ガンマンというところは定番のスミスが、倒すべき相手は大抵の場合は女性、それも宇宙のセイレーンやメデューサといった妖女になる。それでいながら自分は犠牲者の立場になり倒すのは仲間だったりする。

いささか情けないようなヒーローなのだが、その独特の世界観の描写が実に秀逸なのだった。

 

原作はキャサリン・ルシール・ムーアという女流作家で、今でこそ女性SF作家は珍しくないが、1933年の発表当時は女性という事を伏せるためにC・L・ムーアと記されていた。

その独特な世界観を持ったシリーズなので、最初の作品「シャンブロウ」はSF雑誌では掲載を断られ、怪奇雑誌ウィアード・ティルズで発表された。

 

映画にはなっていないこのシリーズを取り上げたのは、他でもない初めて日本版文庫で登場したときの表紙挿絵が松本零士だったからだ。

松本美女というと「銀河鉄道999」のメーテル「クィーン・エメラルダス」のエメラルダス「1000年女王」の雪野弥生といったキャラクターやサブキャラにも多数登場する。

前途のように女性の宇宙妖怪を相手にするシリーズなので、文庫には松本風の強い女や怪しい美女たちが多数描かれている。

むしろ女性の絵ばかりで主人公スミスを描いた絵が殆どないというのも面白い。ただ松本美女はどれもほぼ同じというところはご愛嬌。

 

松本零士は九州から上京しデビュー当時は貧困生活を味わい、それが後の「男おいどん」の原型となる。

「宇宙戦艦ヤマト」のデザインに加わり、以降は上記自作のアニメでブームを起こすまでになった。

それらアニメーションで説明不足や謎を残したままなので、後に自らのすべての作品の世界を統合しようと、それらを繋ぐオリジナルアニメを作ったりしていたが、結局矛盾が出てしまったのは止むを得ないことだ。

 

とはいえ松本漫画のマニアックなメカ描写は定評で、絵の完成度は申し分ないのだが、漫画としての動きが感じられないのが難点だった。

それは漫画家というよりイラストレーターの絵ともいえる、だからノース・ウエスト・スミス シリーズの挿絵は最適な人選だったと言えよう。