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1909年生まれの淀川長治は幼少時より映画の虜となり、雑誌等に映画の文章を投稿しているうちに1933年にユナイト映画の日本宣伝部に入社することになり、1940年に運命ともいえる映画「駅馬車」と出会った。

今ではジョン・フォードの代表作と言える作品を、初めて観た淀川長治はモーションピクチャーの言葉通りの映画の面白さに満ちた「駅馬車」に感激し、宣伝から予告編作りにまで携わり、大ヒットさせた。

その「駅馬車」を日曜洋画劇場で放送したときに自ら編集を行ったのは、フォードと淀川長治においてある意味の結実点といえるかもしれない。

 

その「駅馬車」は何度もテレビ放送されている訳で、日本語吹き替え版もいくつバージョンがあるのか定かではない。

「日曜洋画劇場」版のジョン・ウエインは納谷悟朗が吹き替えているのだが、テレ朝(当初はNET)ではジョン・ウエイン=小林昭二の吹き替えを定着させた実績があった。それがある時期からテレ朝で小林ウエインを聴くことが無くなってしまった。

 

洋画ファンの中には原語版で俳優自身の声を重視する人もかなりいるが、テレビでの洋画放送が吹き替えされていることに違和感を持たない人が多数いるのも事実だ。

とりわけテレビドラマで定着した声優と俳優の一体感は、映画作品でも踏襲されていった。

ローハイドのクリント・イーストウッド=山田康雄、拳銃無宿のスティーブ・マックィーン=宮部昭夫、バークに任せろのジーン・バリー=若山弦蔵などは定番となっていた。

テレビ放送初期に、それら吹き替え番組を観た高齢者の中には「最近の外人さんは日本語が上手だねぇ」と本気で思っていた人も多かった。

 

そのパターンを「日曜洋画劇場」では定着(フィックス)させ、ゲイリー・クーパー=黒沢良、クラーク・ゲイブル=納谷悟朗、イングリッド・バーグマン=水城蘭子、ハンフリー・ボガート=久米明、オードリー・ヘプバーン=池田昌子、グレゴリー・ペック=城達也、マリリン・モンロー=向井真理子、トニー・カーティス=広川太一郎、等々。その中にウエイン小林もいた訳だ。

そんな定着していた小林昭二にテレ朝は「史上最大の作戦」のウエインの吹き替えを依頼したとき、スケジュールを理由に断られたので、それ以来テレ朝でウエイン小林を聴くことは無くなった。とはいえ他局でウエイン小林は引き続き定番となっていた。

 

そんな吹き替え洋画だが、局によりほぼ一定していた有名俳優の吹き替えキャスティングは、いろいろな劇団俳優により行われ、セリフのみで演技を行う、ある意味プロ中のプロともいえる職人技なのだが、俳優自身も自分の職業は俳優であり、そのひとつの仕事として声の吹き替えをやっている。という考えを持つ人が多かった。

山田康雄はかつてファンから、声優になりたいと言われ、セイユウってなんだい?そんなの無いぞマーケットかい?とオドケ半分で答えたという。

とはいえ、初期の録音スタジオではテープレコーダー一発録りが普通で、誰かがトチると最初からやり直しというやり方だったので、常に真剣勝負だったという。

 

今でこそアニメの吹き替えで声優は花形職業のようになってはいるが、1970年代までは長らくそれが評価されることは無く、縁の下の力持ち的役割で、出演料ランクもかなり抑えられ、再放送等での二次使用には出演料すら出ない状態が長くあった。

その頃、自分たちの権利保障を確立すると同時に、圧倒的に数の少ない声優の育成機関を作るなど初期の声優は大忙しだったようである。

 

上記テレビ放送黎明期声優の大半の方々は既に鬼籍に入り、同年代の声優は数えるほどしかいないだろう。

今年に入りその声優の訃報が続いている。小原乃梨子、増山江威子はじめ初期洋画吹き替え世代、更にタラコ、田中敦子といった世代的にまだ若い方も次々と旅立たれてしまった。

報道ではアニメキャラの声優として載せられて、実写版の吹き替えはあまり重要視されていないような書き方をされている。

 

確かに実際の俳優の声を当てる映画の吹き替えは、あくまでも俳優の演技に合わせて声を出す訳で、古い業界用語ではアテ師と呼ばれていた。なにやら職人風な呼び方で、ある意味カッコイイがどこか蔑称的にも感じる奇妙な言葉だ。

それに対してアニメの声は、声優自身によりキャラクターを生かす世界になる。声が入ることによって始めて命が吹き込まれるといっても過言ではない。

それ故、報道的にはアニメ声優としての位置が優先されるのだろう。

 

現在は新作映画ソフト自体に吹き替えが収録されているものも多い。

ジョニー・デップ=平田広明やトム・クルーズ=森川智之というキャスティングも定着しているようだ。

新世代の声優たちの数は初期とは比べ物にならないくらい増えているのが現状だ。