「タフでなければ生きてゆけない、優しくなれなかったら生きていく資格がない」
ハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーが探偵フィリップ・マーロウに言わせた有名なセリフだ。
日本では角川映画のキャッチフレーズとして独り歩きを始めてしまった感がある。その映画でデビューした少女が薬師丸ひろ子だからずいぶん前の話だ。
タフという部分は原作ではhardで、硬いという意味よりダイ・ハードのハードの感じだろう。今だったら案外ハードで通用するかもしれないものの、最初の翻訳で「しっかりして」と訳したのは映画字幕で有名な清水俊二だった。適切な訳語だろう。
そのセリフが気に入ってタフと言い換えたのが生島治郎だと読んだ憶えがある。
最近では村上春樹が「厳しい心」と訳している。
魅力的な言葉は人それぞれ思い入れがあるようだが、名セリフとして切り取るならあまり長いのはテンポ的にスッキリしない。
CMで洗脳されてしまったのか、やはり耳慣れたタフが意訳ながらピッタリするように思う。
