西暦1999年、月に遺棄された大量の核廃棄物が爆発を起こし、その衝撃で月は地球周回軌道を外れ宇宙を彷徨うようになった。
という設定のドラマが「スペース1999」で、宇宙を彷徨う月に取り残された月基地ムーンベースアルファの人々が行く先々で遭遇する事件が毎回描かれる。
1970年代としては秀逸なSFテレビシリーズで、月基地内のデザインや宇宙を移動するロケット・イーグルはリアルなフォルムだった。
現実には2023年になっても月に基地は出来てはいないが、隊員たちが手にする通信機器はいささかゴツい箱型なのを除けばスマホそのものである。
制作は「スティングレイ」や「サンダーバード」といったスーパーマリオネットシリーズを作ったジェリー・アンダーソンで、「謎の円盤UFO」に続いて作った実写の本格SFシリーズで、内容はかなりトリッキィであるのは当然ながら、シリアスな展開で見ごたえがあるシリーズだった。
優れた特撮部分を担当したブライアン・ジョンソンは後に「スターウォーズ」シリーズに参加することになる。
シリーズは前半と後半それぞれ24話づつあるのだが、作品フォーマットのカラーはかなり違っている。後半のシリーズはより若年向けと化してしまい、前半のハードさが消えてしまっていた。
主人公コーニック指揮官役のマーティン・ランドーも「前半のほうが良かった」とぼやいたという。
ここまでの変化理由は多々あるのだが、ジェリー・アンダーソンが作品的にもパートナーだった奥さんのシルヴィアと不仲になり離婚したのもこの時期だった。
作品の陰に女ありという訳でもあるまいが。