知人と以前、こんなやり取りがあった。
「これからキノコをとってくる」と私。
「今、キノコといえばナメコかムキタケか、それともクリタケか」と知人。
「いいえ、写真を撮ってくるんだ」と再び私。
「山に行って何も取らないのか!」
 と知人に怪訝な顔をされたことがある。
自然観察会では、キノコを見つけると大人の方からは決まって こう聞かれる。
「そのキノコは食べられるか」
と。
確かに一般的には、キノコの楽しみといえば食になるかもしれない。
では、はたしてキノコは食べることだげが楽しみなのだろうか。
同じ自然観察会でも子ども対象だとキノコを見つけた際の反応が違ってくる。
たいがいはこうだ。
「キノコだ~」
と。
毒キノコだとますます反応が良い。
特に、ドクツルタケの別名が「殺しの天使」だと知ると子どもたちには大人気のようだ。
どうやら子どもにとっては、キノコの姿そのものが印象に残るようだ。
過去に何百回も観察会をやって子どもたちにとってとりわけ反応が良いのは次のようなものだ。
10種だけ紹介したい。

①ホコリタケ
 名前からして人気がありそうだが、成熟して頂部に穴が開いたところが面白い。
 軽くたたけば、その穴から煙のように胞子が飛び出るのだ。
 ちなみに穴が開く前の白い状態では食用になるようだ。

②チチタケ
 かさに傷をつけるとまるで、お乳のような白い液体がにじみ出てくる。
 その姿からこのキノコの名前がが付けられたようだ。
 その白い液体は独特の香りがして栃木県では人気があるという。

③タマゴタケ
 まるで白い卵から生まれ出たような幼菌の姿は大人気だ。
 それが、成長するにつれて鮮やかなオレンジ色に変わってくる。
 これが食用だというと驚かれ、それがますます印象に残るようだ。

④スッポンタケ
 名前も面白いが、その姿がとても印象に残る。
 まるで、スッポンが甲羅から首を思いっきり延ばしているようだ。

⑤ツチグリ
 その姿がまるでヒトデか星形のように見えて楽しくなる。
 地上にその姿が見えてくると不思議の世界でもある。

⑥ドクツルタケ
 猛毒キノコの代表としてこのキノコを挙げておきたい。
 何しろ「殺しの天使」という異名を取るくらいなのだから。
 確かに見かけはつるつるの傘で袋状のつぼからまっすぐに立つ姿は美しく思える。

⑦キツネノタイマツ
 名前からして興味がそそられる。
 姿もよくこんな名前を付けたものだと感心してしまう。
 似たようなものにキツネのエフデというものがある。

⑧アミガサタケ
 昨年の真人山での「こどもの日特別企画」の日でのことだ。
 イベントが終わり、一人の女の子が小さなキノコをもって記念写真を撮っていた。
 近づいてみると女の子は、アミガサタケを見つけたらしい。
 あまりにもその姿に惹かれ、一緒に写真を撮ったようだ。

⑨アカヤマドリ
 こちらは、成長してその大きさに驚かれることが多い。
 大きくなれば、子どもの顔以上となる。

?ツキヨタケ
 これもまた毒キノコとしては良く知られているキノコだが、ブナ林で見つけた際には特別気を取られることがあるわけではない。
 ただ、その名前と暗闇でひだが発光すると想像してるだけでも興味がそそられる。

 以上10種のみ紹介したが、まだまだ子どものみならずまた食か不食かに限らないおもしろいキノコはたくさんある。
 キノコは、現在日本では1万種を超えるキノコが見られるという。
 だが、その中で名前がはっきりしているのは2000~3000種。
 他はまだ名前が付いていないというからわからないことだらけなのだ

  まして、子どもたちにとっては、毒キノコさえ、人気のアイドルになってしまう。
 それほどキノコは魅力的なのだ。  。