先日、第1回釣りキチ三平の里自然体験塾が三平の里体験学習館に近い場所で行われた。
6年目のスタートである。
釣りキチ三平の里自然体験塾とは、6年前、横手市の社会教育施設(閉校になった旧増田東小学校を改築した宿泊体験施設)である「釣りキチ三平の里体験学習館」が主催者となっていただき、子どもたちにもっと自然体験をしてもらいたいという願いでスタートさせたものである。
当初は、子どもだけという限定条件を付けたのだが、「親も参加して良いものか」「子どもが心配だから親も見守りたい」などの声が寄せられ、親子でも良し小学校3年生以上なら子どもだけでも良いという方向に転換した。
また、フィールドの選定も試行錯誤の連続だった。
あくまでもふるさとの自然フィールドが前提条件なのだが、ハッチョウトンボが生息する身近な湿原を選んだ時には、少ない参加者だったのだが、湿原に埋まったりさりとてそれほどハッチョウトンボに興味を示す子も多くはおらず、翌年からはこのフィールドをはずした。
ふるさとの自然とはいってもより身近な里山や川などを選定した。
自然体験の内容だが、当初は私が未熟だったこともあり(今でもそうかもしれないが)解説型の案内が多かったように思う。
その証拠に、初年度第1回の三平の里を歩いたときには、終盤に差し掛かったころ、一人の男の子が叫んだ。
「あ~、つまらなかった。」
と。
この子は、2回目以降も参加していたようだったが、それは「もっと面白くしてよ!」という期待感の表れだったかもしれないが、だとしてもその時にはそれほど内容が面白くなかったのだろう。
こうした子どもの声を受けてとにかく子どももイキイキした表情になれる内容をと試行錯誤した。
そこから、生まれたのが、三平の里での春の「イモリ探し」であり雄滝での「サワガニやサンショウウオ探し」であり川での「生き物探し」である。
解説一辺倒ではなくより体験活動を織り込んだ内容に工夫してきたのである。
夏の自然体験塾では、1泊2日の1日目に登山それも身近でありながら小学生以上なら歩けそうな栗駒山か秋田駒ヶ岳を選ぶことにした。
また、こちらの内容は、小学校4年生以上の子どもだけとした。
登山には、万が一のための山岳ナースにもついてもらい、歩くことにした。
1年目は、栗駒山だったが、この年は小学校3年生以上としたことさらには暑い日で途中でダウンしそうな子が続出で大変だった。
おまけに、帰りは疲労のせいか川を渡る際、下りていく途中で転落した子もおり、幸い何事もなかったのだが、肝を冷やしたこともあった。
2年目以降は、秋田駒ヶ岳に変更したこともありこれまで全員が歩き通すことができている。
その2年目の秋田駒ヶ岳で忘れられない思い出がある。
ちょうど私たち一行20数名が山行の途中、ベンチで休んでいる親子に出会った。
小学生の集団が目の前に現れたこともあり、休憩していた親子には不思議に思えたに違いない。
その親御さんから声をかけられた。
「いったいこの集団は何ですか。」
私は胸を張って答えた。
「横手の体験学習館で行っている自然体験塾ですよ。」
よく聞けばその親子は、横手市内の小学生親子だった。
ところがこの親子はその釣りキチ三平の里自然体験塾という存在を全く知らなかった。
名前を聞いたこともないという。
ショックだった。
宣伝しているつもりではあったが、全く知らないとは、しかも秋田駒ヶ岳に親子で訪れるほどだから自然が好きなことは間違いないだろう。
そこで体験学習館に提案させてもらった。
年に1回で良いから年間の計画が入った体験塾のチラシを横手市内の全小学生に渡せないかと。
3年目からは、それが実現できている。
今では、横手市内の小学生親子なら名前を知らない親子はいないだろう(と思う)。
5月の体験塾は、夏鳥の季節ということもあり、真人山でバードウオッチングのプログラムを取り入れている。
当初は、私がメインの案内をしていたのだが、もし、望遠鏡を何台か持参したりもっと野鳥に詳しい方が説明してくれたら子どもにとっても楽しいのではないかと考え、3年前からは日本野鳥の会秋田県支部の皆さんに呼び掛けて支部の探鳥会と体験塾をコラボさせてみることにした。
これにより、野鳥の会に来た大人も子どもたちに教える姿が見られるようになったし、子どもたちも双眼鏡の正しい使い方を覚えたり望遠鏡を通して夏鳥を見たりと広がりができてきた。
体験塾を始めた2021年はちょうどコロナがはやり始めた頃であった。
だから、時にはコロナにかかったとか移されるのが怖いから参加しないだとか学校側としても積極的には体験塾への参加も呼びかけられなかったようだ。
そして、昨年はクマの出没の心配。
ピークだった11月の炭焼き体験は泣く泣く中止せざるを得なかった。

体験塾は年に10回行われてきたが、先日の第1回の体験塾を含め、これまで51回行われてきたことになるが、2023年の7月は大雨による川の増水で中止、昨年の11月は先述した通りクマの出没のため中止ということになり実質49回ということになる。
その間、参加してくれた親子は、947名。
このうち数多く参加してくれた子の中には大きく成長してくれた子もいる。
高校2年生になった鈴木君は現在学業が忙しくなり参加できなくなってきているが、来るたびにたくましくなり小さな子たちの面倒見も良い。
そのため子どもたちからも慕われている。
他にも先日、中学校2年生になった子が参加したが、この子も参加し続けて6年目だ。
先日の体験塾では、彼にミズバショウがある場所で説明の場を作ったところ、「ツキノワグマとミズバショウの関係」について話してくれた。
何度も体験塾に参加してできたからこその説明だった。

繰り返し参加する中で確かに子どもが育ち、イキイキした表情になれることは間違いなさそうだ。
今は、その姿を見るのが私の一番の楽しみだ。
ただ、例年、秋以降参加者が減る傾向にある。
何かしら子どもにとっても興味あるものをと願いながら今日も下手なチラシ作りにいそしんでいる。
チラシの奥に見える子どもたちの表情を思いうかべながら。