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レーティッシュ鉄道 ベルニナ急行セット ABe 8/12 3502 KATO 10-1318/1319

 

 

 今日は、スイスのmゲージ レーティッシュ鉄道のベルニナ急行について記したいと思います。

 

 

 レーティッシュ鉄道(Rhaetische Bahn RhBと略)はスイス南東部グラウヴュンデン州を走る私鉄で、大半の路線が山岳地帯であることから標準軌ではなく、狭軌(mゲージ)を採用しております。

 しかし同州にとっては、RhBがほぼ唯一の鉄道であり、JRとは比べるべくはないものの、全路線の総延長が400kmにも達する大きな私鉄です。

 もっとも私鉄と言いながら、RhBの株式はスイス国とグラヴュンデン州が保有しておりますので、実際には官営鉄道といったほうが正しいのかもしれません。

 実際にベルニナ線は国境を超え、イタリアのティラーノまで乗り入れておりますし、日本でも大変有名な氷河急行は、同じ軌間のMGB (Matterhorn Golnerglad-bahn) と相互乗り入れを行い、南東部のツェルマットから、南西部のサン・モリッツまでの約291kmを約8時間かけて結んでおります。

 RhBは風光明媚な場所を走るので観光路線としても非常に人気の高い路線ですが、決してそれだけではなく、地元の足としても非常に重要であり、また日本とは異なり、貨物輸送も盛んに行われているようで、最近では欧州で主力となりつつあるコンテナ輸送も行われております。

 山岳路線ですので、路線長の割に車輌数は多くありませんが、それでも機関車50輌以上、電動客車30編成以上を保有しており、欧州の常で運用は機関車中心で、またこちらで紹介するような強力な電動客車が客車を牽いております。

 軌間は日本とほぼ同じながら、車輌限界が小さく、険しい山岳路線が中心で線形が厳しいので、車輌は概して小型・軽量ですが、決して出力は低くはなく、客車列車の牽引数も10輌以上になることもあります。

 狭軌ではありますが、日本人が連想するいわゆる「ナローゲージ」とは違いますね。

 観光路線だけあって、パノラマ客車やトロッコ客車を多数保有しているのも特徴です。

 

 

 このようにRhBは彼の地でも人気がありますが、いかな模型鉄道先進国の欧州にあっても、流石に規格が異なる狭軌はマイナーな存在であり、日本製の高級ブラス製品を除くと、昔は模型が殆どありませんでした。

 それが1980年代にBemoが大変高精度のプラ製品を供給するようになってから、勢い嗜む方も増えたように感じます。

 その後、D+R、STLなど他のメーカーも続きましたが、欧州型そのものは決して好況ではないので、現在RhBの量産模型を供給しているのはBemoだけのようです。

 

 

 それで日本でも愛好家が多いBemoですが、大変良くできているものの、標準軌よりはかなり高価格であることもあり、有名な割にはあまり普及しておりません。

 かくいう私も昔、ほんの僅か導入しましたが、何と言っても高額ですし、塗装がやられてしまったことや、何と言ってもレールがネックとなり※、ほとんど増えませんでした。

 Bemoも小さな会社のようで、製品もなかなか発売されませんでしたし。

 

 

※現在、道床付レールについては、TilligからTTゲージ用、そしてIMONからHOj用の大変優れたレールが発売されておりますので、この点ではずいぶん改善されました。

 

 

 そんな中、KATOが突然、この分野に参入したわけです。

 

 上記の通り、人気がありながらなかなか模型化されなかった最大の理由は、やはり狭軌だと思います。

 ところで欧州では狭軌も規格化されており、一般的な1m軌間については、IIm(1/22.5、45mm)、Om(1/45 22.5mm)、HOm(1/87 12mm)やNm(1/160 6.5mm)が採用され、それぞれ製品が供給されています。

 しかしKATOが選択したのは、欧州では誰も考えなかった1/150、9mmという日本型のNの解釈でした。

 どうして欧州で普及している規格ではなく、スケールモデルを捨ててまで独自の規格を採用したのか理解に苦しみますが、KATOは軌間9mmにこだわったのではないしょうか?

 どうしても9mmにこだわるのなら、TTm(1/120 9mm)とすべきと思いますが、TTは最近でこそ復調の傾向があるものの、マイナーな存在であることには変わりはなく、ストラクチャーなども少ないため、選ばれなかったのでしょう。

 KATO自体はスケールに対するこだわりはあまりないようですし。

 それはともかく、欧州には存在しないこの独自の思想(まさしくガラパゴス!)を持って、衰退が著しいと言いながら相変わらずアメリカと並ぶ世界の片方の雄である欧州市場へ殴り込んだわけです。

(ただし、KATOブランドではなくNOCHのようですが)

 その結果がどうなったのか……、残念ながら私は情報を持ち合わせておりませが、昨今、KATO規格の製品を発売する現地メーカーも現れていることから、一定の評価は受けているのだと思います。

 

 それはともかく私はRhBの車輌は好きですし、入手しやすく、Bemoと比べて遥かに安価なKATO製品には企画が発表されたときから、興味を持っておりました。

 しかし上記の通り、ネックはスケールでした。

 ドイツ型HOを志向する以上、16番肯定論者がよくおっしゃるように、狭軌にしてはプロポーションがどうとかこうとかではなく、やっぱりナローは標準軌に比べて軌間が狭くあって欲しいと思うからです。

 

 

 基本的に今でも上の考え方は変わりませんが、ある時、ふと違うことを考えました。

 それは……、「規格」とは、異なる他との共存を行うために決めるもの。

 だから他と共存しなければ、独自の思想(規格)……1/150 mゲージ……も全否定しなくてもいいのではないかと思ったのです。

 幸い、私はNスケールの欧州型からは15年前に完全に撤退しておりますので、KATOのRhBと欧州型の1/160が共存する可能性はありません。

 第一、日本製で比較的入手しやすく、出来もよさそうですし、同社の欧州型Nとは異なり、比較的安価……実売でBemoの1/4~1/5!……が決定打となり、急に欲しくなって買ってしまいました。

 ちょうど安価な設定になっていたこともあります。

 

 

 まずベルニナ急行セットの基本を中古で、そして増結を新品で購入しました。

 車両の出来もよく、またよく走ることから、大いに気に入りました。

 そこで引き続き、氷河急行セット 基本+増結、Ge 4/4II、EW-1基本+増結も購入したわけです。

 

 

 KATOのRhBについては早くから記事にしようと思っていましたが、まず、最初に購入したベルニナ急行についてブログに掲載しようと思い、原稿を書いては消しを繰り返しておりました。

 ようやくそれなりにまとまりましたので、以前撮影した写真を編集している際に気づいたのです。

 

「あれっ、車番が違う。」

 

 

 そうなんです。

 ここから先は以前のブログに記した通り、中古で購入したベルニナ急行セットですが、なんとABe 8/12が別物だったのです。

 ベルニナ急行は第2編成ですが、購入品は第1編成、すなわち10-1047アレグラだったのです!

 そう言われてみると、連結器がダミーでしたし、おかしなところがありましたが、バカな私は、気づくのに大変な時間がかかってしまいました。

 今更ながら自分の馬鹿さ加減にほとほと呆れましたよ。

 それにしても困ったことになりました。

 明確な差異は、方向幕の記載だけ。(ベルニナ急行 ”Bernina Express"、アレグラ ”St. Moritz")

 よく見ない限り、気がつかない話です。

 それに第一編成だって、ベルニナ急行運用に入っているかもしれません。

 ただし、本来と違うものが入っていたことだけは事実ですから、一応、先方に連絡しました。

 すると……、何と!返品対応をしていただけることになったのです。

 中古品ですから、他では絶対にありえない対応です。

 まして今回は、誤りに気づくまで長い時間がかかっていますので、絶対に無理と思っておりましたので、正直驚きましたよ。

 

 こちらが返却した3501です。 

 

 かくして格段のご配慮により、お金は帰ってきました。

 これには本当に助かったのですが、私としては、ベルニナ急行の基本が欲しかったのです。

 何と言っても増結が浮いてしまいますし、Ge 4/4IIとGe 4/4IIIの動力車2両では物足りないですし。

 そこで、改めてベルニナ急行の基本を入手しようとしたのですが、意外となくて。

 こんなことなら返品しなければよかったと思いましたよ。

 

 

 しかしこのたび、ようやく入手できた次第です。

 今度こそ、本物のベルニナ急行でした。

 

 最近の欧州型によく見られるシュタッドラーの電車です。

 欧州の常でホームが低く、また併用軌道を走るためか、低床車となっております。

 有名な観光路線でもあるので、視界が取れるように大きな窓を装備しております。

 一見路面電車のようにも見えますが、なかなかどうして高性能であり、なんと編成出力は2,600kW(交流区間)、最高速度 100km/hを誇ります。

 同じ狭軌のEF65とほぼ同格(EF65は2550kW)の出力であり、客車を10輌以上牽引し、急勾配や急曲線をクリアします。

 つまり電車とは言っても、日本で考えられるそれとは全く別な存在で、お客を載せる機関車とも言うべき存在なのです。

 この電車は客車を牽くだけではありません。

 こちらでは貨車を牽引する姿を見ることが出来ます。

 RhB線内には複数の電化方式が存在するため、交流15kV 16.7Hz / 直流1000V に対応可能となっており、パンタが複数ついております。

 

 

 それで製品ですが、私はこの車輌について詳しくないので、あくまで感想ですが、全体に感じはよく似ていると思います。

 塗装もきれいですね。

 ただし赤は、動画や写真によってはより鮮やかに見えることもあります。

 こればかりは実物を見ていないので、なんとも言えませんけど。

 欧州製品に比べてやや劣ると言われるレタリングは、私は結構いい線いっていると思います。

 他方、いろいろな意味で欧州製品とは違いますね。

 架線集電を全く考慮していないので、パンタはプラ製です。

 その分形状はいいと思います。

 屋根上は一体成型を駆使しておりますが、成形技術が巧みなので、おかしな感じはありません。

 

 

 窓が大きいですが、下回りが窓の視界を遮るようなことはありません。

 ただしその分、重量が軽くなってしまったこともあり、実車のような強力な牽引力はありません。

 Webを見た限りでは、牽引力を上げるために、反対側先頭車もM化した例がありました。

 超低速から、高速まで安定して走りますが、車重が軽いせいかT車の車輪がスパーク汚れしやすいように感じました。

 150Rもクリアするそうで、小型レイアウトでも活躍しそうですね。

 灯火類はLEDで低速から明るく好感を持てます。

 連結器はさすがKATOと言った感じで、実用本位の欧州型と比べるとらしくてかっこいいですが、上向きになっていると、連結しにくいです。

 このあたりは改良して欲しいところですね。

 

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 パノラマ客車もいいですね!

 安易に氷河急行の塗替えではなく、ベルニナ線用の短い車を出してきたことにも感激です。

 塗装やレタリングもとても美しいです。

 氷河急行客車はコストダウンのため室内灯を取り付けることができませんが、こちらは専用のプリズムが入っていますので、点灯可能です。

 この客車だけでも十分価値のある製品と思います。

 

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 ということでまとめますと、私個人としては、車輪が汚れやすいのは気になりますが、なかなかどうして満足いたしました。

 

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 率直な話、私個人はKATOのRhBシリーズは氷河急行で終りと思っていましたので、アレグラやベルニナ急行、そしてEW-1やGe 4/4IIIの色違い、更にはGe 4/4II!まで発売されましたので、いい方に予測が外れたようです。

 今更、1/160にはできないでしょうから、こうなってしまったらKATOには、可能な限り、1/150 mゲージを攻めて欲しいですね。

 今のところ被牽引車が優勢なので、動力車が欲しいですね。

 せっかく氷河急行専用客車を出したのですから、MGB線内での牽引機HGe 4/4IIはぜひお願いしたいところです。

 本機はラック式ですが、固定レイアウトでもなければ効果が発揮しにくいラック機能は、コストダウンのため省略でいいと思いますし。

 

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 他の電機は構造的に難しいですが、期待はしたいですね。

 Ge 6/6IIはB-B-B軸配置の連接電機ですし、RhBを代表する有名機であるGe 6/6I"クロコダイル"は、外側台枠・ロッド式なので軌間が広すぎる1/150 9mmでは極めて難しいと思います。

 またGe 4/4Iは台車間距離が短い小型機のため、モーターを入れるのが難しそうです。

 その点、ベルニナ線用パノラマ客車の牽引機であるABe 4/4 53-55は電車なので楽かもしれません。

 箱根登山鉄道の特別塗装機も居ますし。

 これが出たならベルニナ線の夏専用のトロッコ客車なども面白そうです。

 もっともこれならばトラを塗り替えて、屋根を取り付けても様にはなりそうな気はしますけど。

 その他としては、旧氷河急行用食堂車、荷物車、そして貨車(現用のコンテナ車、セメント車、ボギー有蓋車、砕石車)も欲しいなぁ。

 貨車は売れ残っても困るでしょうから、KATOお得意のセット売りでもいいように思います。

 それから当初のKATOの目論見(廉価版の普及製品)とは様相が大分変わってきているようですので、氷河急行客車の通常版もお願いしたいところです。

 具体的には室内灯装備可能、専用カプラー標準装備のバージョンアップ版ですね。

 これならば開発費がそれほどかからないので、現実的かもしれません。

 

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 単品売りのBemoは、製品化される車種の選択がバラバラで、案外編成にするのに苦労するのですが、KATOはセット売りが基本なので、○○がないということが少ないように思います。

 

 一方、従来にない規格ですので、普及するためには最初はハイペースが必要だと思うのですが、もともと小規模な鉄道ですので、日本型のような矢継ぎ早の新商品開発はやめたほうがいいと思います。

 彼の地のメーカーは殆どが塗り替え品で食っているようなもので、大手メーカーであっても、完全新規製品は年1~3作程度しかありません。

 

 焦ってすぐに消えてしまうよりも、地道に広がったほうが私はいいように思います。

 

 それとEW-1が出たことで、展開が更に広がりました。

 EW-1はEinheitswagen(制式客車)だけあって、スイスのmゲージ各社で多用されており、上述の氷河急行が直通しているMGB(旧FO、BVZ)、それ以外にもZB(旧SBB Bruening線)、有名なBOB、MOBなどで使われております。

 またRhBにおいても、緑塗装や旧ロゴ等、バリエーションも多数あります。

 パノラマ連結前の氷河急行なら、EW-1の各社塗装に荷物車でもあれば雰囲気は出ます。

 

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 機関車も複数の会社で使用されているものがありますので、一気に幅が広がりますね。

 HGe 4/4はMGBとZB、Ge 4/4IIIはRhBとMOB(類似機だが)、GDe 4/4はMOBとGFMと言った感じです。

 

 スイスでは一番有名な鉄道で、一般人にも人気のあるユングラウレギオンの鉄道(BOB、WAB、JB、SPB)は、日本でも大変よく知られておりますが、有名な割には、軌間や車輌が極めて特殊なことから、ごく僅かな例外を除きますと、今まで全く模型化されていないと言っても過言ではありません。

 私も約30年前に乗りましたが、景色も素晴らしかったですけど、車輌も雰囲気が抜群でした。

 

 四線とも歯車式(線区によって形式は別です)で、軌間はBOB、JBがmゲージ、WAB、SPBが800mmです。

 タイプでもいいので、このあたりが出たらうれしいなぁ!

 それこそ観光土産としてもいいと思いますし。

 模型愛好家でなくても人気が出そうな気はしますね。

 ただし私が知る限り、ユングフラウレギオンの模型鉄道製品はHRF(スイスのインポーター・模型は確か乗工社製)社製の真鍮製超高級商品しかないので、鉄道会社が簡単に許諾を出さない等の障壁があるのかもしれません。

 ユングフラウレギオンは標高も高いが、運賃もとても高いですから。

 

 自作するには屋根上が複雑でパンタも特殊形状のため、困難でしょうね。

 最近欧州型を出し始めた鉄コレでやらないかな。