私は子どもの頃、NHK教育テレビ(今のEテレ)をよく観ていた。

祖母と母が言うには、私は教育テレビを見て文字を憶えたらしい。

 

中学生にもなると、NHKを観ることはほとんどなくなった。

両親は朝ドラや大河ドラマが好きで、昔からよくNHKを観ていたけれど、その何が面白いのか全く分からなかったし(まともに観たこともなかったのだけど)、一人暮らしを始めてNHKの受信料支払を強要されるのがどうにも解せなかった。

なぜほとんど観ない放送にお金を払う必要があるのだ、と。

 

それが、それがだ。

今、私はしょっちゅうNHKを観ている。

というか、NHKばっかり観ている。

 

NHKのコンテンツは、民放より圧倒的にクオリティが高い。

広告モデルではなく視聴者に課金するサブスクモデル(しかも解約率は限りなく0)だから、潤沢な制作費があり、スポンサーへの忖度もなくクオリティを追求できる。

そんなビジネスモデルの話はさておき。

 

これが、年を取るということか、と思うけど、あんなに興味のなかった朝ドラと大河ドラマは、今は欠かさず視聴している。

もはや自分の生活の一部だ。

 

そして最近、NHKおよびBSプレミアムで、ドキュメンタリーや教養番組を見始めた。

同じ受信料を払っている中で、ドラマだけではもったいないじゃないか。

 

最初は、大河ドラマと連動している「歴史探偵」あたりから始まったのだけれど、番組表を眺めると、総合、Eテレ、BSと、なかなか興味を惹かれる番組が多い。

というわけで、目につくものを手あたり次第、週10本ほど録画するようになった。

 

その中から、ひょっとすると息子でも楽しめるのではというテーマのものをいくつか息子に促してみた。

 

たとえば、「発光生物」。

 

ちょっと手持無沙汰の週末、「発光生物 進化の謎だってー、見る?」と言ってみると、「え!なにそれ!見たい!」と反応。


様々な発光生物を取り上げ、それはどのようなしくみで光るのか、なぜ光るのかを、それを最先端で研究する大学教授たちのインタビューやフィールドワークを通して紹介する。

 

CMなしの1時間番組。

完全に大人向けで、決して簡単な内容ではない。

正直、息子はすぐ飽きるのではないかと思ったら、意外なほど喰いついている。

 

後半、ニュージーランドのグローワームのことを紹介する映像を見ていた時、息子が「あ、これ知ってる!」と言って、自分の部屋に行って、昆虫図鑑を持ってきた。

息子が言うには、この図鑑の付録DVDにグローワームが出てきたらしい。

 

番組を観終わった後、そのDVDを再生してみると、確かに出ている。

このDVDを息子が見たのは少なくとも1年以上前のような気がするけれど、よく憶えているものだなと感心した。

 

子どもの興味関心というのは本当に面白い。

こういう、かなり昔に見たり聞いたりしたことを記憶していて突然話し出すことは度々あるけど、最初にそれに触れた時はさほど反応していたわけでもなかったりして、何が印象に残っているかは外から窺い知れなかったりする。

場合によっては、言葉をろくに話さなかったときや、どう考えてもそんな理解力や知能があったとは思えない年頃に触れたものののことを、突然持ち出すことさえあって驚く。

子どもというのは、本当に侮れないし、インプットがどこでどう発芽するか分からないと思うと、なんでも色々インプットしてやることの重要さを感じる。

 

そして、息子がシリーズとしてハマったNHK番組がこれ。

 

 

こちらは人の機能や構造などをテーマに、やはりそれを最先端で研究する学者の解説で掘り下げる科学番組。

 

これまで息子が見たのは、記憶、歯、口腔細菌。

 

口腔細菌の回を観た後は、歯磨きをするとき「ミュータンス菌(虫歯菌)が作った石垣をやっつけなきゃー」とか、「ジンジバリス菌はミュータンス菌をやっつけるんだけど、おなかに入ると病気になっちゃうんだよ」とか言うようになった。

 

「ヒューマニエンスで髪の毛の回をやってほしいなー」とか言ってて、これ、完全にハマっている。

 

すごい。NHKすごい。

知的好奇心が刺激されまくっている。

 

今後のラインナップも興味惹かれる。

息子との楽しみがまた増えた。

 

 

ちなみに、私が特に気に入っている番組はこれ。

 

私はPodcast番組「コテンラジオ」が好きなのだけれど、それと通じる面白さがある。

近現代史を特定のテーマから切り取り、水平、垂直双方向の因果、構造として編集する。

 

最近放送したこれらのテーマ、とても面白かった。

 

・石油世界を動かした”血”の百年 →息子と見たい内容

・塩の行進 ガンジーの志を継ぐ者たち