歴史への息子の関心の高まりについて前回書いた。

小1としては相当広く深いレベルで理解をしていると思う。

 
なんというか、息子には優れた洞察力があると感じる。
あることとあることを結び付けて推理する力とも言える。
別々の情報から、その共通点や違い、因果、構造をつかみ、示唆を導き出す力。
 
ちょっと驚いたのは、こんなことがあったからだ。
 
息子は「戦い」が好きで、興味がある。
それを知っている祖父が、私たちが訪れる日に合わせて、息子のために図書館で本を借りてきた。
 
 
なかなかすごい本だ。
定価は4,950円の大判の図鑑。

いつだったか、1年以上前、私も図書館で見かけたことがある気がする。

その時、息子も一緒にいて、少しペラペラめくったけど、その時はさほど関心を示さなかった。
 
だが、今回はまじまじと観ている。
 
源平合戦、応仁の乱、長篠の戦い、文禄・慶長の役、関ケ原の戦い、大阪の陣、西南戦争・・・
いまや息子が知っている戦いも色々あって、「あ、これはあれだね」と楽しく反応する。
 
終盤には、太平洋戦争。原爆の記載があった。
 
経緯は忘れたけれど、原爆のことは以前にどこかで息子と話した記憶がある。
 
「原子爆弾ってどんな感じなの?」という質問に、それきたとYouTubeでキノコ雲の動画を探す。
すると偶然、原爆を落とした戦闘機に載っていた兵士の孫と、被爆者の孫の交流を描いたドキュメンタリー番組の動画を見つける。
ちょっと難しいかもと思ったけど、息子が興味を示したので、そこから約30分、一気にその番組を終わりまで観た。
 
原爆によって多くの人が亡くなったこと。
広島と長崎の街が一瞬にして破壊されたすさまじい威力。
全身をやけどし、乾いた喉を潤すために川に集まった人々のこと。
被爆者には、たくさん子どももいたこと。
 
それがとても怖いものだ、と息子は理解した。
私が学級文庫にあった「はだしのゲン」の漫画を読んで恐怖に震えたのは小学校2年か3年のときだった気がする。
 
その翌日、息子が自宅でふと「原子爆弾は誰が日本に落としたの?」と訊いた。
「アメリカだよ。アメリカと日本は昔、戦争をしたでしょ」
 
そこから、核や戦争の話をした。
 
世界の核保有国は、アメリカ、フランス、イギリス、ロシア、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルなど。
 
今、戦争をしているロシアは原爆を持っているから、これを使うかもしれない。
それは絶対嫌だよね。
 
立ち上がる「ほかの国は全部ロシアに反対してるの?」
 
ロシアに反対してる国もあるけど、してない国もある。
日本やアメリカは反対してる。
ロシアは石油とかいろんなものが採れるんだけど、日本やアメリカはロシアのものは買わないと決めている。
もしもロシアから物を買うと、ロシアにお金が入っちゃうでしょ。
そのお金でロシアは何を買うと思う?
 
立ち上がる「・・・武器?」
 
そう!
ロシアから物を買うと、ロシアが戦争を続けることになっちゃう。
だから、日本やアメリカはロシアから物を買わない。
 
でもね、ロシアから物を買わないといけない国もあって、たとえばインドとか。
そういう国はロシアに反対してなかったりする。
だから、ロシアはお金を儲けることができちゃう。
 
北朝鮮も持ってる。時々、ミサイルを打つ練習をしてる。
日本海に落ちることが多いけど、日本の上を越えて、太平洋に落ちることもある。
昔の原爆は飛行機で上まで飛んできて落としてたけど、今はミサイルで遠くから狙うことができる。
北朝鮮は離れてるけど、そうやって練習してみせることで、日本を狙うこともできるよとアピールしてる。
飛んできたミサイルを撃ち落とすミサイルもある。
日本に落ちる前に、空の上で撃ち落とす。
武器はどんどん進化している。
 
立ち上がる「そうそう。弓が鉄砲になって、鉄砲から大砲になってね」
 
日本は原爆を持ってない。
日本は、憲法で軍隊を持ってはいけないことになっている。

戦争に負けた時、もう日本が戦えないように、軍隊を持ってはいけないということになった。(自衛隊のことはややこしいので割愛)

 

でも、軍隊がないと攻撃されたら困るよね。

だから、日本の代わりにアメリカが日本を守るという約束をした。
 
立ち上がる「ほんとに?ほんとに約束守ってくれるの?」
 
まあ、たぶんね。日本とアメリカはそういう条約を結んだんだよ。
日本には、アメリカ軍の基地がたくさんあるって知ってる?
 
立ち上がる「え?そうなの?」
 
実はいろんなところにある。
ほら、もっとちっちゃいとき、マラソン大会に出たでしょ?
あれ、アメリカの基地の中で開かれたんだよ。
(数年前、息子は横浜ノース・ドックで行われた親子マラソン大会に出たことがある)
 
立ち上がる「あ、確かに!あのとき、僕のリュックの柄(迷彩柄のこと)みたいな服を着て、銃を持った人がいた!」
 
おお、よく憶えてるね!そう、あれは実はアメリカ軍の基地なんだよ。
 
立ち上がる「そうなんだ!」
 
沖縄には、アメリカの基地がいっぱいあるんだよ。
実は50年くらい前まで、沖縄はアメリカの領地だったしね。
 
立ち上がる「え?!そうなの?!じゃあなんで今は日本なの?」
 
アメリカと相談して、返してもらったんだよ。
もともと沖縄は日本の領地で、戦争に負けたときにアメリカに取られちゃったんだよ。
でも、日本人がたくさん住んでるし、返してってお願いしたの。
 
じゃあさ、なんでアメリカは沖縄が欲しかったんだと思う?
 
立ち上がる「うーん・・・・・・・・・・・中国に近いから?」
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・びっくりマークびっくりマークびっくりマークびっくりマークびっくりマークびっくりマーク
 
 
立ち上がる「アメリカからだと中国は遠いでしょ。でも、沖縄は中国に近いから、アメリカは中国を攻撃できる」
 
 
 
びっくりびっくりびっくりびっくり・・・・こいつ、天才かよびっくりマークびっくりマークびっくりマークびっくりマークびっくりマークびっくりマーク
 
 
これ、ちょっとすごくない??
いくつかの要素が複合しないとこの答えは出てこないと思うんだけど。
 
  1. アメリカと中国は敵対関係にある
  2. アメリカが中国を攻撃するには地理的に近い場所に基地を置く必要がある
  3. アメリカと中国は遠い
  4. 沖縄は中国と近い
 
 
まず1つ目がすごい。
アメリカと中国の関係がよくないという話は、どこかでしたかもしれない。
少なくとも、アメリカと中国が今の世界の二大勢力だということは話したことがある気がする。
 
あとは地理的位置関係。
世界地図や地球儀で何度となく、主要国の場所は説明してきた。
沖縄も旅行したことがあるので、場所は分かっている。
 
立ち上がる「豊臣秀吉は朝鮮を攻めに行くために九州から行ったでしょ?
だから、アメリカも中国を攻めるためには近くまでいかないといけない」
 
なるほど!そこからつながってるのか!
確かに前日、例の本を読みながら、文禄・慶長の役の話をした。
秀吉の朝鮮出兵のことは大河ドラマで観て知っている。

秀吉は加藤清正らを九州に派遣して、そこから朝鮮に渡ったと私は説明した。

大阪からだと遠いけど、九州からなら船で行けるからと。
 
 
めちゃくちゃいろんなことが息子の中で統合されている。
これを洞察力と言わずしてなんと言う?!
 
 
おもしろい。
めちゃくちゃおもしろい。
 
AIに情報をフィードさせるみたいだ。
何を与えれば、一体何が出てくるのか。
予想も期待も超える人間の成長、ほんとにおもしろい。