1月初め、息子は初めての塾冬期講習を体験した。

近所で歩いて行ける希学園(関西発難関中受験塾)の2日間コース。

 

算数と国語で各40分と休憩10分の計90分×2日間。


駅から近く目立つ場所にあるので、希学園の存在は知っていた。

夜遅くに多くの保護者が塾帰りの子どもの出待ちしているのを見かけることもある。

 

建物内に入ると、受付の周りにテキストのサンプルが置かれていたり、テストの成績順位表が貼り出されていたり。

ああ、塾ってこんな感じだよなあ、と懐かしい。

 

今どきの順位表は、名前は書いていなくて生徒番号だけが書かれている。

プライバシーへの配慮だろう。

 

冬期講習は、在籍生と外部生で教室が分かれていた。

小1外部生は小さな教室に10人強。

校区内にあるので同じ小学校の子がいるかなと思ったけれど、外部生には顔を知っている子はいなかった。(授業の後、在籍生で知っている子に一人出会った)

席は予め指定されている。

 

教室入口で授業で使うプリントをもらう。

「観ていかれますか?」と訊かれ、なんだ親も観ていけるのかと「はい」と答えて後方の席に座る。

どの子の親も当然のように後ろに座る。

 

もらったプリントをパラパラめくると、算数はいきなり3桁の虫くい算。

ひっ算もある。

むむむ、1年生はまだ学校で習わない。。

在籍生はこれを授業で習っているということだろうけど、ここにいる外部生たちはどうなんだろう。

みんな公文なんかで先取りをしていたりするんだろうか。

 

息子は、3桁の計算もひっ算もなんとなくしかやっていない。

何度か家でひっ算を教えようとしているが、「1の位からやるんだよ」という親の話を素直に聞かず、暗算で左から解こうとする。

こりゃ、理解が追いつかなくて苦労するかもなと心配になった。

初めての塾で、拒否反応が生じてしまうのは避けたいところ。

 

算数の授業が始まると、やはり、ほとんどの子は3桁の計算やひっ算を「習ってないよ」という反応。

若い男性の先生もすぐに気づいて、そうか、こりゃ失敗したなという感じ。肝心の虫くい算の解き方よりも、ひっ算の説明に時間を取られてしまった。

1枚目の基礎問題は、計算さえできれば特に難しいわけではなかったけれど、40分の授業はこの基礎問題をやっただけで終わってしまった。

虫くい算の応用で、2枚目の発展問題、3枚目の難問は手つかずだったけど、今の息子に手が出る気がしない。

 

息子が一体どう感じたのか不安だが、授業時間中、息子は先生の方をよく見て話しを聞いていたし、積極的に手を挙げていた。

学校でもそうだけれど、我が子ながら、彼はなかなかの優等生だ。

 

次の国語の授業。

こちらは、50代男性のベテラン先生。

挨拶や姿勢、私語、ルールに厳しいタイプ。

息子はこういう先生が大好き。

根がちょっと体育会系なところがある。

 

授業内容は、説明文の基本的な読み方。

「なぜ~でしょうか」に対する答えを探すヒントは「から」「ので」「ため」だよ、というような。

ここでも、息子は積極的に手を挙げ、はきはきと答える。

 

集中力が続かない子もそこそこいる中で、息子は40分間、背筋を伸ばし、先生の目をしっかり見て笑顔でうなづきながら授業を聞いている。

授業が始まる前や休憩時間にも、先生と積極的に雑談を楽しむ。

普段は使わない「です」「ます」調で話し、ちょっと賢らしく知識を披露したがる。

大人に認められたい、褒められたいという欲求があるのだろう。

 

学校でもそう。

ざわざわしているクラスを仕切って統率したり、掛け声をかけてみんなを盛り上げたり。

それでいて、皆に嫌われるということもなく、彼はいつも人気者だ。

 

ふざける時はちょっと過剰なくらいふざけるし、集団から漏れた子や何かに手間取っているような子を見つけるとフォローを入れるのもうまい。

 

いや、ほんと、うちの子は、コミュ力がめちゃくちゃ高いのだ。

親は全くそうではないので、本当に不思議だけど。

 

希学園1日目、塾の授業自体は想定の範囲内だったけれど、むしろ息子の優等生っぷりに驚いた。

 

帰宅して、息子に感想を尋ねたら、「算数は普通、国語は面白かった」と。

「難しかった?」という質問には、どちらも「普通」と答えた。

 

そして、算数で習ったことを復習してみたところ、なんとひっ算を1の位から、ちゃんとやろうとする。

繰り上がりや繰り下がりも、ステップを踏んで順に考えながらやる。

 

私がいくら教えようとしても、あんなに拒否していたのに。

 

息子は、親以外の大人、特に「先生」と名の付く人の話はとにかくよく聞くのだ。

自宅で親が教えても「分かんない」とか「知らない」と一蹴するようなことでも、学校で習ったことは忠実に守る。

漢字の書き順やトメハネなども、親が言っても全く聞かないが、学校で習うと非常に律儀。

小学校入学時はひどかった文字が、見違えるほどきれいになった。

 

もしかすると息子には、塾というのものが向いているのかもしれない。

そんなことを少し思う1日目だった。