東大の合格発表も終わった今日この頃。
近所の書店で、いつも見ている幼児・小学生向け学習教材の棚の裏にまわり、大学受験用学習参考書エリアをなんとなく眺めてみた。
「東大に受かる子がやっている✖✖」「子ども(生徒)を東大に合格させた私の✖✖」・・・こんな本がいっぱい並んでる。
東大ブランドって依然として強いのだなあと感心する。
私はこの手の本を、今も昔も読んだことはない。
正直、「東大に受かる方法」なんて一般化できるはずがないと思うので、読んでもあんまり参考にならないだろうなあと思う。
(本を読む目的をきっかけ作りと考えればそれなりに意味はあるかもだけど、ハウツー本として考えるとほとんど意味なさそう)
才能も環境も性格も、現時点の実力も千差万別な中で、何かしら一般化できる要素を見つけようと思ったら、「本人の能動的努力や自律心が大事だ」とか「戦略的に学習計画を立てよう」とか、それくらいしか言えない気がする。
まあ、そりゃそうだよね。
そんなの今さら本で読むような話でもないわ、という。
あるいは、本にするならちょっと特殊なケースというか、偏差値40から東大合格!とかみたいな奇跡系ストーリーが必要になるかもしれない。
こういうのは一定の層には受けるかもしれないが、まったく一般的ではないので、大多数の人には何の役にも立たないだろう。
じゃあ、私が大学受験にあたって、参考にしたハウツー的なものって何かあったっけ?と記憶を呼び起こしてみたのだけど、あった、確かにあった。
それは、自分の高校の先輩たちの合格体験記。
私が通っていた高校(地方の私立中高一貫校)では、毎年、卒業生の大学合格体験記が配付されて、名前を知っている1つ、2つ上の先輩のリアルな体験記を読むことができた。
これはめちゃくちゃ役に立った。
どの科目をどの時期までにどのレベルまでやりこむ必要があるか、どの問題集を何回くらいやるのか、どの模試でどれくらいの成績を取っておくべきなのか、といったことが超具体的に書いてある。
なるほど、夏休みが終わるまでに世界史は近現代まで全復習を終えないといけないのだなとか、センター対策は11月の東大オープン終了後から1.5か月で集中して仕上げていくのだなとか。
もう隅から隅まで全部、何度も何度も読んで、自分自身の羅針盤にした。
これは、本気で東大を目指していて、現段階で東大合格が全く非現実的とも言えない程度の成績にはあって、入試までの1年半ないし2年、必死に勉強をやり切る覚悟を持っている人にとっては、めちゃくちゃ役に立つ。
同じ高校から大学に合格した先輩たちの体験記なので、ざっくりとした学力レベルも近いし、学校の授業のペースや内容、親やクラスメイトの受験に対する意識など学習環境を共有できるため、直接的に参考になる。
進学校と言われる高校は、こういう生の情報が手に入りやすいことが最大の強みだと思う。
逆に言えば、これくらい具体的でなければハウツー足りえないし、同時に、真剣に取り組もうとしている読み手にしか有益じゃないのかなと。
(そうでない人が読んでも、細かすぎてよく分からないというか、意味不明なんだろうなとも思う)
今の時代、本当の対策法を知るには、個人ブログがすごく役に立つと思う。
本気で目指して努力して実際に合格した人(最終的に合格しなくても合格に匹敵する実力を獲得した人でもいい)が、いつ、どの段階で何をやったか、どのレベルに達していたかというのは、とてもとても役に立つ。
幼児期や中学受験くらいまでは、親が子どもの学習記録を細かく書いていることが多いので、それらを読むとたくさんのヒントが得られる。
(といっても、幼児教育系ブログは何をやったかやその時点で何ができるかは細かく書いてあっても、その教育の結果、中学・高校や大学受験時、あるいはその後の人生でどうなったのかまでは分からないケースの方が多いので、こういうやり方、考え方もあるのだなと思うことしかできないけど)
中学生以上になると、親が子どもの学習内容を細かく把握していることは稀だと思う。
というか、まず把握できない。
特に東大受験生の学習内容を親が理解することは、不可能だと思う。(たとえ親が東大卒でも無理)
すると、本人がログを残してくれるしかないのだけど、中高生が細かくログを公開しているブログってあんまり見たことがない。
(苦悩や決意の告白みたいなのはあるけど、ハウツー感はない)
ただ、中高生たちが個人的に自分の学習ログを残すためのSNSがあるという話を聞いたことがあって、それがなんというサービスなのか分からないのだけど(知ってる方いたら教えてください)、そういうログって間違いなく価値があるし、そこから学習にイノベーション生まれるんじゃないかと思ったり、思わなかったり。
2023/3/15(水)
1.チャレンジ1ねんせい 4月号
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