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先日、といっても、もう一ヶ月くらい前かな? 『海にかかる霧』を観てきました。名画座での最終日だったので。

数ヶ月前からワタシの中で韓国映画ブームが始まっておりまして(笑)

きっかけは、友達(トンペンではない笑)がhuluで観て良かったよと勧めてくれた『トガニ』。めちゃめちゃ重たい内容なんですが、ただ重たいだけではない、パワーと説得力があって。

トガニもそうですが、この作品も実話をベースにしたエグい内容……ということは知っていたので、一人で観に行ってドンヨリしないかしら……と思いましたが、観に行って良かった! 面白かったです。

既にレンタルも始まっているので、よかったらぜひ。ただ、泣いて笑って最後はスッキリ!みたいな映画ではないので、そこはご注意を(^^;;

とはいえ、エンターテイメントとしても成り立つ作りで、韓国映画ってそこが凄いよなぁと感心させられました。


以外、観た直後にメモして、その後ちょこっと手直しした感想です。ネタバレあり……ってほどではないけど、完全にまっさらな状態で観たい人は、映画を観てから読んでもらった方がいいかも。

でも、この感想読んだからといって映画を観た時のカタルシスが減ることはないとは思います。ワタシも事前に某サイトのレビューで超重要なネタバレを読んでしまい「ノオォォォ~~!!」と憤怒しつつも、実際に観たらそんなの関係なかったわ!ってな感じにクギヅケになったので。(もちろんそのネタバレは書いてないので安心してください!)
 


◇◇◇◇◇



何が素晴らしかったって、ユチョン演じるドンシクと、ホンメが愛し合うシーンが素晴らしかった。ユチョンの俳優魂は今作のあちこちで観られるけど、ワタシはこのシーンでの彼の表情が圧巻だったと思う。こんなに切なく哀しく生命力にあふれ、説得力のあるベッドシーン、そうそうない。そりゃ新人賞も総なめにするわ。


最後に錨をおろすときの船長の表情にも鳥肌たった。人間に対してはあれだけ非常なことができるのに、船は命をかけて守ろうとする。ラストに至るまでの破天荒(などという言葉で済まされるレベルではないが)な所業は全て船を守るため。船長は船だけを愛し守ろうとする男であった。というお話。

◇ 

密航船の中に若い女が一人。船員という立場は同じなのに、たった数日でかたやドンスクのように女と愛し合える関係になる男もいれば、かたや先輩船員のようにケダモノと獲物の関係しか作れない男もいる。
下心があることも、最終的にする行為も(ある意味では)同じなのに。
男と女の関係は詰まるところプロセスをどうするか。それが天と地の違いを生む。不思議であり恐ろしくもあり面白くもある。


この映画を観ながら、シリア難民のことを考えた。映画と同じようなことが、今まさに起きている。皆、生きるために必死。生き延びるために必死。この映画で描かれているような極限状態がどこかで起きていても不思議ではない(経緯はともかく結果的に似たような事件は実際起きた)。

死と隣り合わせになったとき、人間はどうなるのか。倫理は意味を成さなくなるのか。

奇しくも時代とリンクする作品になっていて、そういう意味でも色々考えさせられる作品。


しかし。こんなにすさまじい内容の映画を観た後でも、ワタシの中で後味悪い韓国映画ランキング第一位は依然として『トガニ』なんですよね……どんだけ!




最後に、この映画を観に行ったキネカ大森。想像を越える昭和感に衝撃を受けました。

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この写真では伝わらないだろうなぁ……。

タイムスリップした気分になれる、あの独特の雰囲気は、一度ぜひ足を運んで確かめてもらいたい。

ただ、設備はすごーく古いんだけど、どこも清潔で、特にトイレがすごくきれいに掃除されていて感動。

スタッフの皆さんからもやる気がみなぎっていて、いい映画館だなぁと思いながら帰路に付きました。1人で大森まで観に行った甲斐があった!^ ^

とりあえず、観た人と「ホンメのあの言葉はどっちの意味か」について語り合いたいです!(観てもらえば分かります・笑)