この記事は、長編となる予定です。何回にも分けて掲載するので、追記を行った際には、お知らせ記事として、トップページにてお知らせします。

まず、どういう内容を掲載していくのか説明します。以前別の記事で話をしましたが、主は高2の夏休みまで化学はさして得意ではありませんでした。正確に言えば、仕組みは分かる物の、暗記量の不足が原因で、得点には結びつかずにいました。そこで、その夏休みに化学生命((;・∀・)?)を掛けて、"ノートづくり"しました。その結果、化学の成績は飛躍的に伸び、現在では得点源と位置付けるまでに至りました。しかし、別にノート作りをしたことが直接のきっかけとなったわけではなく、ノート作りを通じて、化学に慣れ親しんだことがきっかけであったのだと思っています。そこで、今回の講座(?)では、ある意味センターを超えたレベルで話を進めたいと思っています。なぜなら、センターに出る所だけを抑えようとすると、かえって内容が浅く不安定なものとなり、化学への苦手意識を払しょくできないような記事になってしまうと思うからです。したがって、主も徹底的に曖昧な点をなくすように努力して書くので、みなさんも分からない点・曖昧な点があれば、どんどん質問・指摘するようお願いします。

ちなみに、主の無機物ノートは次のような感じになっています。
daydreamerのブログ-無機物ノート例
全体を通じて、残念ながら資料は版権上の都合で載せられないので、教科書や図説などで図・写真と並べて御覧になることを推奨します。


[アルカリ金属]
周期表で1族元素を上から順(=原子番号の小さい順=原子量の小さい順)に列挙すると、
水素H リチウムLi ナトリウムNa カリウムK ルビシジウムRb
セシウムCs フランシウムHr
 ですね。
試験に問われるのは大抵カリウムKまでですが、一応覚え方を紹介します。リチウムLiからですが(水素はいくらなんでも忘れないでしょw)、
リ(Li)ッチな(Na)彼(K)からルビー(Rb)をせし(Cs)めてフラ(Fr)ンス
このゴロは複数人から聞いた何種類かを混ぜたものです(;´∀`)
ここで、Hを除くLi~Frまでがアルカリ金属です。特に、Frを除いていえば、軽金属(密度が約4g/cm³未満の金属)であることを覚えておけば更にGood!です。
それでは、アルカリ金属単体の特徴をおさえていきます。
(水素については製法での出題が中心なので、化学カテゴリーから気体の製法①という記事を探して読んでください)
①電気や熱の伝導性に長ける。
②展性や延性に長ける。
③金属光沢あり。
④密度小さい。cfリチウムは固体状態のものでは密度最小。
⑤柔らかい。
⑥融点が比較的低い。

ここで、①~⑥である区切りが存在するのですが、分かりますか?分かる方は、相当無機化学に対するセンスが磨かれていると思います。答えは、
「①~③は遷移金属と同様の特徴で、④~⑥は遷移金属とは異なる特徴である」
ということです。確認ですが、遷移金属とは、3~11族に属する元素「遷移元素」の中で金属であるものの呼び名です。あまり正式な用語が否かは不明ですが、頻繁に出てくるwordなので知っておきましょう。遷移元素は鉄Feや銅Cuなどが代表的ですが、どれも硬くて重い(=密度大きい)物質ですね。それに対して、アルカリ金属のナトリウムNaなどは、その金属板がグニャリと簡単に曲がります。もし金属=硬いというイメージを持っている人がいたら、今すぐ葬り去ってください。以下、その他の要点をまとめていきます。
(無意味な記号が所々出てきますが、ページ内の表などを疑似的に作成するときに出てくるものなので突っ込まないでください(;^ω^))
<アルカリ金属内での密度や融点の差異>
***Li Na K Rb Cs
密度 小←――――→大
融点 高←――――→低

(フランシウムFrは放射性元素なので詳しい性質はよくわかっていません)
特に、リチウムLiは密度が極端に小さく、融点が極端に小さく、他のアルカリ金属より若干異なった性質を示します。それは、リチウムLiのイオン半径が他よりも大分小さいことが原因です。

<アルカリ金属の反応性>
反応性に富み、強い還元性を示す(=自身がとても酸化されやすい)ことをベースに確認していきましょう。
(Naを元に反応式を書いていきますが、どれも1価の陽イオンになるので、同じ反応式となるはずです)
(1)常温の水と反応します。
2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂↑
水酸化物、水素を生じることを覚えておきましょう。ちなみに水との反応性は、Li→Csに向かうにつれて、激しくなります。詳しく言うと、Kからは湿った空気中に置くだけでその水分と反応を起こします。
(2)常温で、空気中の酸素と反応
4Na + O₂ → 2Na₂O
金属光沢がこの際、失われます。
補足すると、Naを加熱した場合には、以下のような反応でNa₂O₂が生じます。
2Na + O₂ → Na₂O₂
(そこまでは追及されないと思いますが)
(3)常温で、塩素と反応する。
2Na + Cl₂ → 2NaCl
塩化物を生じるわけです。
以上(1)~(3)のように、反応性に富むので、保存するときは石油に入れて保存します。

<炎色反応>
検出の際に多用されます。、ゴロは有名すぎるのでもうあえて紹介しません。
Li赤 Na黄 K赤紫 Rb深赤 Cs青紫
(Rb Csは"あの"ゴロには登場しません。っていうか滅多に聞かれないと思います。)
以下、頻出の物質、反応等を紹介していきますが、多くは他のアルカリ金属にも当てはまるものだという認識でお願いします。

<Na₂O K₂O>
塩基性酸化物ですので、酸と反応すれば塩を生じ、水と反応すれば、際酸化物を生じます。
(1)酸との反応
Na₂O + 2HCl → 2NaCl + H₂O
(2)水との反応
Na₂O + H₂O → 2NaOH

<NaOH>(頻出)
これは本当によく出るので、徹底的に追及していきましょう。
*製法*
気体の製法の時とは相異なって、ここで聞かれるのは工業的製法です。わき道にそれますが、私たちは何のために化学を勉強しているか、また、何の為に文科省は化学を勉強させているか。その答えは多様ですが、1つの重要な答えは、「産業を維持・発展させるため」です。水酸化ナトリウムは紙やセッケンの製造などさまざまな場面で用いられる物質なので、工業的製法を学生として学ぶことは必須なのです。それでは話を戻して、製法を説明します。その製法は、塩化ナトリウムNaClaqの電気分解で行うのですが、その際に用いる陽イオン交換膜にちなんで、イオン交換膜法と呼ばれます。図を用意したのでそれをベースに説明します。

$daydreamerのブログ-NaOHの製法(陽イオン交換膜法
電気分解そのものの仕組みは省略するので、よく分かっていない人は、化学カテゴリーにある 電気分解の話をしてみようか(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン ってタイトルの記事を一読してからこの続きを読んでください。
この製法のポイントは、NaClを構成するナトリウムイオンは陽イオン交換膜を通過できるが、塩素イオンは陰イオンなので通過できないということです。
―陽極での反応―
2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻(Clが酸化された)
―陰極での反応―
2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻(Hが還元された)
―全体としての反応式―
①イオン反応式
2Cl⁻ + 2H₂O → Cl₂ + H₂ + 2OH⁻
②化学反応式
2NaCl + 2H₂O → Cl₂ + H₂ + 2NaOH ―(*)
(*)の式を丸暗記して、「食塩を水に入れたら水酸化ナトリウムが生じるんだ~」とか恐ろしい勘違いをしないでください。あくまで電気分解を行ったときの全体反応を表す式です。
*性質*
NaOHは無色半透明の固体で、潮解性があります。潮解性とは、空気中においてその結晶が、空気中の水分を吸収して、その水に溶けるという性質ですね。この性質の為、NaOHはソーダ石灰(→CaO&NaOHを処理したもの)に含まれ、それは乾燥剤として用いられます(酸性気体には中和反応を起こしてしまうため用いない)。以下、重要な反応性を紹介します。
(1)水によくとける。
水酸化ナトリウム水溶液のことですね。御存じの通り、強い塩基性を示します。
(2)二酸化炭素を吸収する。
また、二酸化炭素CO₂を吸収するという性質を持っています。
2NaOH + CO₂ → Na₂CO₃ + H₂O
これはNa₂Oにも見られる性質です。
cf.Na₂O + CO₂ → Na₂CO₃
これが理由で、水酸化ナトリウムは正確な測量が難しい、水酸化ナトリウムNaOHaqの正確な濃度測定を行う際は、中和滴定を用いてモル濃度を調べます(質量パーセント濃度が知りたいときは、モル濃度より計算します)。
今回の講義(?)はここまでとし、次はアンモニアソーダ法(ソルベー法)の紹介からいきます。ここまで読んでいただいた方、お疲れ様です。ありがとうございました。

(追記)(201002010)
<Na₂CO₃、NaHCO₃>
*Na₂CO₃の製法*
アンモニアソーダ法(ソルベー法)によって工業生産します。言葉で説明するより、図を提示した方が明快だと思うので、下に図をうpします。
daydreamerのブログ-アンモニアソーダ法
上の①~⑤の反応全体をまとめた式が次になります。
2NaCl + CaCO₃ → Na₂CO₃ + CaCl₂ ―(*)
(*)の式の反応は、本当は左に進むものです。なぜなら、CaCO₃は水に難溶であるからです。それを、アンモニアを反応系図に交えることでうまく反応を右に進めています。これがアンモニアソーダ法の名前の所以です。また、副生物質を徹底的に再利用することで、経済性においても優れた生産工程となっています。ソルベー法とも呼ばれるのは、向流法に基づいき、NaClaqとNH₃にCO₂を加えて起こさせる反応が全体に及ぶようにした塔をソルベーが完成させたことによります(この塔をソルベー塔と呼びます)。
(発展)
日本ではCaCl₂として取り出すことはしません。NH₄Clのまま取り出します。その理由は、CaCl₂にさほど需要がないなく、一方、NH₄Clは化学肥料として重要な物質であることにあります。NH₄Clを塩安とも言うので、この生産法を、塩安ソーダ法と呼びます。
*Na₂CO₃とNaHCO₃の性質*
最近、エクセルで作った表をjpeg(画像の拡張子)にする方法を知ったので早速活用したいと思います(*´ω`*)
daydreamerのブログ-炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムの諸性質
(補足事項)
Na₂CO₃には風解性があります。
Na₂CO₃aq(濃)
↓室温条件下に置いておく
Na₂CO₃・10H₂O結晶が析出(無色透明)
↓空気にさらしておく
Na₂CO₃・H₂Oになる(白色粉末)

以上で1族元素の講義は終了です。お疲れ様でした。以下は過去に自分が書いた反応系図です。記憶の整理に役立てば幸いです。(別の記事にも載せたことがありますが)
$daydreamerのブログ-Na反応
今回の更新はここまでとします。ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。

(追記)
[2族元素]
もうお気づきかもしれませんが、
1族元素から順に周期表上で右の族に向かって進んでいます。
さて、2族元素に含まる原子はなんでしたっけ?上から順番に言えますか?(;´∀`)
主は言えます(`・ω・´)b っていうかゴロがあるんです(´・ω・`)
どうにもこうにも化学のゴロは若干下ネタになっているのですが、
気にしないでください。
ベ(Be)に潜(Mg)ると彼(Ca)女のスリ(Sr)ップバ(Ba)ラ色ラ(Ra)ンド
(;^ω^)・・・・・・・
んで、このようにベリリウムBe マグネシウムMg
カルシウムCa ストロンチウムSr バリウムBa ラジウムRa が2族元素であります。
ここで大きな区切りが存在し、
Be、Mg|Ca Sr Ba Ra
*******←アルカリ土類金属
 と呼ばれます。
その名前の所以はあとで紹介しますが、その性質の差を見て行きましょう。
(Raは放射線を出す物質なので、高校無機化学としては扱わないようです)
では、両グループの性質を比較・確認しましょう。
$daydreamer-2族元素の反応性
(*)画像の表中で炎色反応0となっているところがありますが、なしと同意です。ミスタイプです…。
センターに必須の知識として先に全体としての性質をまとめましたが、次に、代表的な2族元素の単体・その化合物について見ていきましょう。

<Ca単体>
①製法―溶融塩(融解塩)電解
2族元素の単体は自然界に存在しません(;´∀`)
2族元素は反応性に富んでるからです。特にアルカリ土類金属はアルカリ金属に次いで反応性に富んでいます。(早い話が簡単に陽イオンになるということですね。第1イオン化エネルギーが小さいといえば理論的でしょうか。)
製法に話を戻すと、塩化カルシウムCaCl₂を溶融塩電解してCa単体は得られます。Ca²⁺をCaに戻せばよいという話なので、陰極における還元反応で出現します。
Ca²⁺ + 2e⁻ → Ca
②性質
アルカリ金属の時と同様に、遷移金属と同様の性質と相異なる性質と分けて紹介しましょう。
遷移金属と同様の性質
(ⅰ)電気、熱伝導性に長ける。
(ⅱ)金属光沢
(ⅲ)展性、延性に富む。
遷移金属と相異なる性質
(ⅰ)密度が小さい。(アルカリ金属よりは大きい)
(ⅱ)比較的軟らかい。
(ⅲ)融点が低い。(アルカリ金属よりは高い)
ちなみに、2族元素内での差異は次のようになっています。
****Be Mg Ca Sr Ba
反応性 小←――――――→大
*密度 小←――――――→大
*融点 高←――――――→低

ちなみに、Raを除けば、2族元素はみな軽金属です。

<MgO CaO BaO>
①MgOの性質
水と反応。その水溶液は弱塩基性
MgO + H₂O → Mg(OH)₂
②CaO、BaOの性質
・水と反応。その水溶液は強塩基性
CaO + H₂O → Ca(OH)₂
・酸と反応して塩を生成。
CaO + 2HCl → CaCl₂ + H₂O
CO₂を吸収して炭酸塩を生成。
CaO + CO₂ → CaCO₃
MgOが水と反応すると弱塩基性水溶液ができ、
CaOが水と反応すると強塩基性水溶液ができるという差異はよく試験で見られますね。記号問題として出しやすいので、センターあたりでも狙われるかも知れません。断言は当然できませんが。
後述となってしまいましたが、CaOの製法は
CaCO₃ + CO₂ ―(強熱)→ CaCO₃

<Ca(OH)₂>
①反応性
・加熱すると酸化カルシウムになる。
Ca(OH)₂ → CaO + H₂O
・水に少しとける。その水溶液は強塩基性を示す。
塩素Cl₂を吸収し、さらし粉CaCl(ClO)・H₂Oを生成。
Ca(OH)₂ + Cl₂ → CaCl(ClO)・H₂O
アンモニアの製法に出演。
Ca(OH)₂ + 2NH₄Cl → CaCl₂ + 2H₂O + 2NH₃(加熱要)
CO₂を吸収する(頻出)
Ca(OH)₂ + CO₂ → CaCO₃ + H₂O
(CaCO₃は表でまとめたとおり、水に溶けにくいです)。
この水溶液にさらにCO₂を吸収させると、炭酸水素塩が生成。
CaCO₃ + H₂O + CO₂ → Ca(HCO₃)₂
この辺は石灰水の話ですね。
Caの化合物には別名がいろいろ存在するので、代表的なものを確認しておきます。
CaCO₃―石灰石 CaO―生石灰 Ca(OH)₂―消石灰
試験には上の名称だけで記述されることもあるので、これは必須知識です。以下、Caの反応系図を掲載しておきます。
$daydreamer-Ca反応系図

今回の更新はここまでとします。ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。

(追記)2010/02/12更新
1族、2族元素を制覇しました━ヽ( ゚∀゚)ノ┌┛)`Д゚)・;'━!!
んじゃ3族へ!といきそうなところですがそれが違うんです。なぜかと言えば、"3"族に突入したからです。つまり、ここから11族までは遷移元素であるということです。遷移元素は電子配置が特徴的で、最外殻に電子を1~2個配置した状態で、それよりも内側の殻に電子が満たされていくというスタイルです。原子番号が増えても、最外殻電子の数が変わらないので、同じ周期に所属する元素でも似たような性質が見られます。更に詳しいことは大学でどうぞ(;´∀`)b
ってなわけで、ここからは族をある程度は意識しつつも、性質の似た金属を扱っていくことになります(←遷移元素は全部金属元素です。このことから、遷移金属と呼ばれることもあります)。それでは、また長い道のりとなりますが、お付き合い願います。
さて、長い旅路の前に、遷移金属全体の大まかな性質を勉強しておきましょうか。悩んだときはこの性質に則って考えて行きましょう。

≪遷移金属の特徴≫
(ⅰ)同じ周期上の元素は性質が似ている。
(ⅱ)典型元素単体と比較して
**①単体の融点は高い。
**②単体の密度は大きい。
**③単体は硬い。
(ⅲ)その化合物やイオンは、有色のものが多い。
(ⅳ)1つの元素であっても、いろいろな酸化数をとり得る。
   (上で述べた電子配置の特徴から理由は推し量れるはずです)
(Ⅴ)合金になりやすい
   (後でいっぱい出てくるので覚えてください☆)

だいたいこんなところです。後は触媒として利用される物が多いことも特徴かな。あと一部の元素は磁力を帯びるものもあります。それでは、具体的な元素をあげてみて行きましょう。

クロムCr・マンガンMn
クロム・マンガンはセンター試験レベルではあまり、無機化学として出題されることはないのですが、センターレベルでも理論化学「酸化・還元反応」として、二次レベルでは無機化学としての出題があります。よって、無機化学とは多少離れる点もあるのですが、ワンステップ上を目指すため、押さえておきたい元素であります(´・ω・`)。
まず、酸化数のはしごを見ていきたいと思います。
()内がその遷移元素の酸化数です。
Cr(0)―Cr³⁺(+3)―Cr₂O₇²⁻(+6)
Mn(0)―Mn²⁺(+2)―MnO₂(+4)―MnO₄⁺(+7)

上記以外の酸化数も取ったりするのですが、覚えておく必要があるのはこれくらいだと思います。後で、主要な単体・その化合物を紹介していきますが、その時は色もチェックしてください。2次レベルでは色も覚えていないと解けない問題も多く見られるので。合金に関しては遷移元素が終わったところでまとめるので、今は紹介しません。以下、単体やその化合物の性質を表で確認していきましょう。
$daydreamer-Cr Mn 単体 性質
申し訳ないのですが、今回の更新はここまでとします。いかんせん、明日の予習があってね(;´∀`)また適宜追加していくので、よろしくお願いします。

(追記)2010年2月13日(土)更新
続き行きます。次は、Cr、Mnの代表的な酸化物です。これも表でまとめますが、特に、酸化マンガン(Ⅵ)MnO₂は頻出です。
$daydreamer-CrO₃ MnO₂の反応性
ちなみに、MnO₂は酸化剤として作用する際、MnO₂1molあたり、e⁻2molを離すので、2価の酸化剤といいます。

次は二クロム酸カリウムK₂Cr₂O₇クロム酸カリウムK₂CrO₄過マンガン酸カリウムKMnO₄について説明します。これらの物質はどれも強力な酸化剤で、特に、過マンガン酸カリウム(酸性条件下)は高校段階において、最も強い酸化剤と認識しておいて構いません。よって、これらの物質で押さえておくべきは、半反応式です。また、色もちょくちょく聞かれるので、覚えておくといいでしょう。
$daydreamer-クロム マンガン 酸化数最高
ここで、特にCrの化合物、そして、金属との相互関係に着目します。
$daydreamer-Cr Ag など相互関係
(上記表中でCrO₄⁻となっているところがありますが、CrO₄²⁻の誤りです。失礼しました。)
Cr Mnについてはこれだけ知っておけば十分です。水酸化物などもありますが、それは沈殿or溶解の別をまとめる際(金属陽イオンの系統分離)、まとめて整理するのでそのときに。
今回の更新はここまでです。またよろしくお願いします。

(追記)
≪鉄≫
さて、8族所属の鉄までたどり着きました。ここから先、しばらく頻出&重要元素が続くので、気を引き締めていきたいところですねファイトーー!( ゚д゚)乂(゚д゚ )イッパーーツ!!
ちなみに、鉄の周期表上で鉄の右隣にあるコバルトCo、ニッケルNiは同一周期上にあるために、性質がよく似ています。このことから、Fe Co Niを合わせて、鉄族元素なんかと呼んだりもします。
(wikipediaの周期表は情報量も多く秀逸なので、実際に見て確認しておくことをお薦めします。リンクはこちらからどうぞ。)
●鉄の製錬●
金属の製錬の仕方については後でまとめる予定ですが(忘れてなければ)、その都度詳しく見て行きましょう。鉄の場合は自然界に存在する鉄の酸化化合物をコークス(炭素Cを多く含むもので、石炭の乾留によって得る。発熱量が大きいため、燃料として用いられることも。)によって還元します。
鉄の酸化物には主に赤鉄鉱Fe₂O₃磁鉄鉱Fe₃O₄があります。ところで、磁鉄鉱Fe₃O₄において鉄原子がとる酸化数―みなさん分かりますか?酸素原子は普通(-2)でそれが4つあるから -8。一方、鉄原子は3つあるから +8÷3=+2.66…あれっ?てなりませんか。磁鉄鉱Fe₃O₄は、酸化数(+2)の鉄原子と(+3)の鉄原子が1:2の割合で含まれているんですね。(+2)×1+(+3)×2=+8で納得がいくと思います。といっても、これでは忘れやすいので、Fe₂O₃とFeOを合わせたのが磁鉄鉱Fe₃O₄と覚えておけばいいと思います。では、前座はここまでにして、具体的な製錬の過程を見て行きましょう。今回も図でまとめたので、それをご覧ください。
$daydreamer-鉄の製錬図
(*)スラグ…鉱石を溶かして製錬する時、不純物が融剤と結びついてできたもの。
   高炉ガス…主にN₂、CO、 CO₂
銑鉄…cf.炭素が2.8%以上など不純物をいくらか含む
   鋼…cf.炭素が約2%以下
ちなみに、石灰石CaCO₃を入れるのは、鉄鉱石に含まれるケイ素を取り除くためです。

●鉄の性質●
遷移金属であるので、質量が大きく、融点が高いです(アルカリ金属やアルカリ土類金属と比べて)。また、磁力を帯びやすい金属でもあります。
<反応性>
・湿った空気中では赤さびを生じる(…鉄が酸化されている)。
  (赤さび … Fe₂O₃・nH₂O)
・希酸に溶ける(水素よりもイオン化傾向が大きいため水素発生)。
  ただし、熱濃硫酸、濃硝酸に対しては不動態となり溶けない。
 Fe + 2H⁺ → Fe²⁺ + H₂
―(*)
(*)の式について詳しく解説すると、鉄が3価の陽イオンではなく、2価の陽イオンとなっているのは、(*)の式の反応において、還元剤であるH₂(自身が酸化されてH⁺になる)が発生していて、Fe³⁺にはならないからです。ちなみに、ふつう自然界ではFe²⁺を見かけることはありません。なぜなら、酸化されてFe³⁺になっているからです。

<鉄の陽イオンの反応性>
非常にここは重要です。試験でもよく狙われます。溶けるのか沈殿を生じるのか、溶けたときその水溶液は何色か、沈殿を生じた場合、その沈殿は何色かということに主眼を置いて、見ていってもらうといいと思います。また、図説や教科書で、実際に目でみて確認しておくといいと思います。では、下の画像をクリックどうぞ。
$daydreamer-Feイオン反応性
話がそれますが、主は若干色盲らしく、疲れているときなど緑~黒、赤~黒の区別がつきにくくなる時があります。ってことでフォント色は主の主観なのであくまで自分の目で見ておいてください(入試問題はカラーじゃないので実は問題ないのですが)。
上の画像の表には載せていませんが、
Fe²⁺ + S²⁻→FeS(中性~塩基性溶液下)
というのも重要な反応です。S²⁻はH2Sで供給します。この知識は、後の金属陽イオンの系統分離で必要となります。
他には、ヘキサシアノ鉄酸カリウムの構造を聞かれたことがありますが、正八面体構造です。鉄イオンを中心に据えて、正八面体の各頂点にCN⁻が配置されている感じです。

鉄のお話はここまでです。下に、鉄の反応性をまとめた図です。参考までにどうぞ。
$daydreamer-鉄反応系図
(現実には、鉄イオンは塩化鉄といった感じで含まれています)

<<銅,銀>>
ともに11属元素です。11属元素には金Auも含まれます。メダルを思い出しますね。
●Cuの製法●
第Ⅰ段階[鉱石から粗銅(純度約99%)を得る]
4CuFeS2 + 9O2 → 2Cu2S + 2Fe2O3 + 6SO2(溶鉱炉) ― ①
黄銅鉱
Cu2S + O2 → 2Cu + SO2(転炉)
(①は 2CuFeS2 + 4O2 + 2SiO2 → CuS + 2FeSiO3 + 3SO2となっている場合も)
第Ⅱ段階[粗銅を純銅とする]
電解製錬を行います。これは試験でも頻出なので、しっかり押さえていきたいところです。図を用意したので、そちらで確認ください(下の画像をクリック)。
$daydreamer-粗銅の電解製錬
(陽極)Cu → Cu²⁺ + 2e⁻ (*)陽極;粗銅
(陰極) Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu (*)陰極;純銅

電気分解の分野で出題されるときは、流した電気量の大きさと時間か生成した純銅の質量のどちらか一方を指定され、もう一方を求めるというパターンです。では練習してみましょうか。
<練習問題> 
銅の電解製錬において、陰極に銅が3.2g析出させるのに必要な電気量の大きさを求めよ。(Cuの原子量は64とする)
陰極での反応はCu²⁺ + 2e⁻ → Cu ― (*)
Cu1.6gの物質量は3.2÷64=0.050[mol]
(*)より、必要な電気量は、
9.65×10⁴ × 2×0.050 = 9650 ≒9.7×10³[C] <終>
陽極泥っていうのは、粗銅に含まれていた不純物の中でイオン化傾向の小さい(=自身が酸化されにくい)ものが、溶けずに陽極の下に沈殿したものです。具体的には金Au銀Agですね。当然儲かるので回収します。

今回の更新はここまでにします。読んでいただいた方、ありがとうございました。また間違いなどあればご指摘願います。