「朝ご飯を食べろ!」

「なんで?!」

「それが常識だからだ!」

 

夫とぽんぽんは20分くらい言い合いをしていました。朝ご飯を食べるかというお題目ですが、実際には、言うことを聞かせようとする夫とそれに反発するぽんぽんという構図に見えました。

 

そして結局はぽんぽんが折れたのでした。ぽんぽんは足を踏みならし壁を蹴りながら朝ご飯を食べたのです。階段をドカドカと二階にあがり、自室のドアを蹴り上げて、大きな穴を開けてしまったのでした。

 

夫は激怒しました。また言い合いになりました。夫はぽんぽんに直せと言ったのですが、どうすれば良いのか私にも見当が付きません。

 

夫は「自分が子供の頃に同じことをやったら親からもっと強く言われたし何をされたかわからない」と言います。そこに夫の生い立ちのかなしみを感じた私です。生い立ちの中で夫は親から傷つけられてきたのに、それを未だに自覚出来ていないのだと私は思いました。親から傷つけられてきたことについて、親と向き合うことが出来ていないのだと思います。親と対決する代わりに、自分が親に傷つけられてきた痛みを、ぽんぽんに分からせようとする、痛ましい糸繰り車のなかに夫は居るのかも知れません。

 

夫にはそういう事情があり、ぽんぽんの反抗期をいたわることが出来ないのかも知れないと私は思いました。

 

夫とぽんぽんは同じことをしたのです。家に当たって家を壊したのでした。もっと壊しても良いものはあるのに、あえて家を壊すと言うことに、意味があるのかも知れません。

 

反抗期のぽんぽんです。ぽんぽんが育って力を付けてきたことで夫とぽんぽんの力のぶつかり合いが一層激しくなってきています。