『Papillon -coterie-』 のハルカさんと、ほのぼの正統派ラブを自家発電しようぜ!を合言葉に発動したコラボリレー企画です。
本日は第四話す。
このお話は、同日同時刻にキョーコサイド、蓮サイドの話を更新していきます。一話ごとに視点を交代してお話を進めていきます。
不定期更新の企画にお付き合いありがとうございます。
[ステップ4] Side Kyokoは、ハルカさんのお宅でお楽しみくださいね。
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Side Ren
「そろそろお腹すきませんか?」
「・・・そうだね?」
はぁはぁと、笑いすぎて目にたまった涙をぬぐいながら、お腹をキョーコちゃんがさすった。
気がつけば、日は完全に落ち辺りは闇に包まれていた。
キョーコちゃんが言うだけで、本当にお腹がすいたような気分になるから不思議だ。
「もう!コーンは食事に無頓着すぎ!毎日ちゃんと食べなくちゃだめですって言ってるでしょう!?」
疑問形で返した俺がお気に召さなかったのか、ぷりぷりとお説教するキョーコちゃんに苦笑する。
「ごめんごめん。でも、キョーコちゃんがいてくれたら毎日三食しっかりと食べるよ?」
「・・・私はおさんどんじゃありませんよ?」
じっとりと、何故か少し傷ついたようにキョーコちゃんは唇を尖らせた。
「・・・おさんどん?」
「三度三度の食事を用意する女性の事です。」
聞き覚えのない言葉に首をかしげるた。キョーコちゃんに意味を教えられ、慌てて首を振った。
「そう言う意味じゃないよ。キョーコちゃんの作ってくれるご飯が一番美味しいの確かだけど、キョーコちゃんが傍にいてくれると不思議とご飯が美味しく感じるんだ。
だから、毎日キョーコちゃんがいてくれたら食欲も増進するだろうなあと思っただけだよ?」
キョーコちゃんはしゅぽぽぽっと頬を染めて、そういえば!と手を打った。
「この近くに、前にも・・・琴南さんと一緒に行ったお店があるんですけど、そこでいいですか?」
毎日という言葉を、見事にスルーされたことに軽く凹みながらも、うん、と頷いた。
「はぁ・・・おいし。」
一通り食事を終え、デザートのケーキを口に含みながら幸せそうに頬を緩めた。この表情を見ていると甘ったるいケーキも美味しそうに見えてくるよな。
「クリームついてるよ?・・・うん、美味しいね。」
口の端についた生クリームを親指で拭い取り、ぺろりと舐めた。
「みぎゃっ。口で言ってくれればいいのに!」
おかしな叫び声にくすくすと笑いながら、ごめんと謝った。
「だってこっちの方が美味しそうだったから。」
「もう・・・コーン!」
真っ赤になって、顔を背けるキョーコちゃんにくすくすと笑いながら、これからの予定をどうしようかと思い至った。
「次はどこへ行きたい?」
「えーと、あ、あれはどうですか?」
そう言ってキョーコちゃんが指差したのは、窓の外に見える映画館の大きな看板だった。
「たまには仕事を忘れて観るのもいいかもしれないね。」
「はい。私、お仕事以外で映画館へ行くの初めてかもしれません。」
キョーコちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
「そっか。キョーコちゃんの初めてが俺で嬉しいよ。何が観たい?」
携帯で、目の前の映画館のHPを表示してテーブルの上に差し出した。
「うーん。あ、これ。」
「ん?」
身を乗り出して、携帯を覗き込むキョーコちゃんの目がキラキラと光った。
「アニメですけど、これ好きなんです。本の国の妖精さんを助けて伝説の戦士に変身するんですよ!」
ああ・・・。同じような表情で、この間共演した5歳の少女がお母さんに連れて行ってもらうのだと興奮したように話していたなと思いだした。
「ん・・・でも、これは、夕方までしかやっていないみたいだよ?」
メルヘンの国に旅立っているキョーコちゃんに、心を鬼にして告げる。内心ほっとしたのは絶対に内緒だ。
「これなんてどうかな?リバイバルなんだけど、フランスの映画好きの老婦のお話。」
「・・・へえ?」
しょんぼりしていたキョーコちゃんが、興味深そうに俺を見返した。
「老人ホームのベッドの上で映画を見ながら、彼女の過去を回想するんだけど、何がすごいって、少女の時代から年老いた現在まで一人で演じているんだ。」
「すごい!観てみたいです。時間は大丈夫ですか?」
上映時間を見ると、今からここを出ても十分に間に合う時間帯だ。どうしても、完全に仕事から抜け切れないのは仕方ないかな。
会計用紙をさらりと奪い取って、レジを済ませると頬を膨らませるキョーコちゃんの手を取って、映画館へと向かった。
「カップルシートと通常の座席がございますがどちらになさいましょう?」
「かかかカップルシート???」
今度こそ絶対に私が払います!と意気込んで受付へ向かったキョーコちゃんは、頬を真っ赤に染めて上目遣いに俺を窺った。
やばい・・・可愛い。無表情に衝動を抑えにかかるが、目の端に従業員が頬をうっすらと染めてキョーコちゃんに見惚れていることに気が付いた。
「そんなにかわいい顔を他の男に見せちゃだめだよ。
カップルシートで。おいくらですか?」
欲望に忠実に、キョーコちゃんのふっくらとした、柔らかい唇をさっと掠め取って頭をそのまま抱え込む。そのまま、にこりと威嚇しながら会計を済ませると、カチンコチンに固まっているキョーコちゃんを連れて劇場内の座席に向かった。
「ほら、キョーコちゃん。始まっちゃうよ?」
「ふぇっ!?え?え?・・・・・コーンの破廉恥。」
座席に腰かけしっかりと腰に腕を回して一緒に座る。館内が暗くなっても、未だトリップ中のキョーコちゃんを呼び戻すと、真っ赤になりながら、俺の胸にぽすんと額をぶつけると、うるうるとした瞳で俺を見上げながら恨み言を呟いた。・・・本当にどうしてくれようか。無表情になりながらスクリーンに集中することに決めた。