朱烙様からの頂き物『演技の安寧、撮影の惨状4』 | カホルのブログ

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現実と妄想の狭間 』の朱烙さんから素敵な頂き物4話目になります。












~劇中~


 
 あの偶然の初対面から数週間が経過した

 景子は律儀にも『賄だから』と料金を取らない智仁と健二に、後日わざわざ菓子折り持参でお礼とお詫びをしにきたのだ

 そんな自分達の顔だけでなく料理の評価を正当にしてくれ・・・そして礼儀正しい景子に2人はいたく感激し、それから度々試食と称した食事に幾度となく呼ばれるようになった

 2人が作る美味しい料理を幸せそうな顔で頬張る景子に、智仁も健二もニコニコと笑顔になる


『しっかし本当旨そうに食べるよなぁ~』


『だって!!本当に美味しいんですもん!!食べてる瞬間が一番幸せですっ!!』


『女の子とは思えない台詞だね・・・でもまぁ、そんなに美味しそうに食べてくれれば作った甲斐もありますよ?』


『良いんです!!お洒落ばかりに気を取られて、中身が無くて、見た目だけの人間と付き合うより、自分が楽しいと思える事をして、知りたい事を知って、美味しいモノを食べられれば満足なんですっ!!』


 そう言って頬を膨らませた景子だが・・・新しい料理を口に頬張るや否やふにゃぁと幸せそうに笑み崩れた


『すげー瞬間的に表情変わったぜ・・・』


『本当に・・・見てて飽きないね』


 クスクスと笑う2人に、景子は口を尖らせつつも次々に料理を食べていく

 そんな評価会?も兼ねた食事も終わり、食後のコーヒーを飲んでいる時だった


『そう言えば・・・景子ちゃんは自分でお料理とかしないの?』


『そういやそうだよなぁ~あんだけ旨そうに食べるんだから、自分でも結構作るんだろ?』


 人のその言葉に、景子はガチ―――――ンと固まるや否や、急に目を泳がせる

 その様子に2人は首を傾げたのだが・・・・


『あぁ!もしかして!!景子ちゃん料理出来ないんだ!?』


『こらっ!健二っ!!!失礼だろうっ!?』


 智仁が慌てて健二を諌めるが、景子は恥ずかしそうにモジモジと指を弄っている


『い、いえ・・・・健二さんの言う通りなんです・・・//////』


 私昔から料理の腕が壊滅的で・・・

 その景子の告白に、不穏な言葉を聞き思わず智仁と健二は顔を見合わせる


『景子ちゃん・・・料理が苦手な人も沢山いるよ?何もそんなに自分を卑下しなくても・・・』


『よりによって、壊滅的って・・・どんだけ酷いんだよ?』


『いえ、本当に壊滅的なんです・・・母や祖母には『頼むから台所だけには立たないで』と言われましたし・・・友人達からも『死にたくないから入ってこないで!』と言われるんです・・・』


 真っ赤な顔でそう告白する景子を2人は、頬を引き攣らせて見る

 だが・・・


『・・・じゃぁ、景子ちゃんさえ良ければ、ここでウエイトレスのバイトしながら料理の練習しない?』


 智仁にそう言われ、景子がキョトンと智仁を見る


『前から健二とも話してたんだけどね、厨房2人でギリギリなのにオーダーや給仕まであるから結構大変なんだ』


 けど、前に大っぴらに募集掛けたら酷い事になってね・・・

 智仁のその言葉に、景子は思わずその光景を思い浮かべ体を震わせた


『景子ちゃんならちゃんと仕事をしてくれそうだし、お給料とは別に賄で食事も付けるし、料理の練習も出来る・・・一石三鳥じゃないかな?』


『えぇっ!?そ、そりゃ凄く美味しいお話ですけど・・・私ばっかり得してませんか?』


『そんな事ないって!俺らもすげー助かるし、毎日楽しくなるからな!』


 頼むよーと両手を合わせて拝みだす健二と、ニコニコ笑いながら返事を待つ智仁

 キョーコはワタワタと慌てたのだが・・・やがて、嬉しそうに笑って2人に頭を下げた


『じゃぁ・・・お言葉に甘えて宜しくお願い致します!!精一杯頑張りますね!?』












「カット――――――!!!3人共良かったよ~」



 監督のその声に、3人から役が抜ける

 と、同時に村雨がキョーコに向かって口を開こうとしたので、蓮がさり気無さを装って妨害する


「京子、ちょっとスケジュールの確認したいから社さんの所に行こうか?」


「あ、はい判りました」


 そう言ってさり気無くキョーコの背中に手を回し、キョーコの視界に村雨を入れない様にしてセットを降りていく

 その様子を拳を握りしめて村雨が睨みつける


(敦賀蓮・・・・上等だ!!!)


 そんな闘志すらも華麗にスルーされているとも気付かずに村雨が1人セットの上でメラメラと燃えているのを監督が楽しそうに見る


「いや~あの調子なら、午後からの智仁と健二の対立と、ラブシーンが楽しみだな~」


 その前に、京子君に壊滅的料理のシーンがあるな・・・あのプロ顔負けの彼女がどんな風に演じるか、楽しみだ

 そんな事を考えて1人でニヤニヤする監督を、周囲のスタッフが戦々恐々と見ていたとか・・・





 まんまと村雨からキョーコをガードした蓮が、上機嫌でキョーコを連れて楽屋へと移動する

 社には事前にローリィとの打ち合わせが入っていることを確認している為に、楽屋に入室後問答無用で施錠も忘れない


「へぁえっ!?敦賀さんっ!?」


「うん、これでプライベート空間だからお仕事モードは解禁だよ?」


 俺にキョーコを補充させて?

 キラキラとした笑顔でそう言って、キョーコを包み込むように抱き締め堪能する蓮にキョーコも苦笑しながらそれに答える

 そうやって躊躇いなく答えてくれることに蓮は更に幸福を感じるのだが・・・

 ふと、ものすご――――――――く嫌な現実を思いだし、自然と眉間に皺が寄り始める

 それと同時にキョーコの怨キョ達が『娑婆だわ~~www』と大はしゃぎで出てくる


「れ・・・蓮さん・・・・?」


 何で急にそんなに不機嫌に・・・・?

 しどろもどろで尋ねるキョーコに蓮が、苦み虫を噛み潰した様子で口を開いた


「次・・・・・・村雨とキスシーンだよね・・・?」


 判っては居るけどいい気分じゃないよね?

 ニコニコと似非紳士スマイルを炸裂しながら言う蓮に、キョーコが頬を引くつかせつつも反論する


「役者ですもの・・・仕方ないでしょう?それに・・・」


 軽く触れ合う程度のモノですよ?

 キョーコとしては、蓮が何時もしている濃厚な奴とは違うからね?と言う気休めだったのだが、生憎蓮にそれは伝わらなかった


「ふーん・・・触れ合うってどのくらい?」


 そう言ってチュっと軽くキョーコの唇に触れる


「蓮さんっ!?//////」


「・・・違うね、これじゃ偶然を装って奪う感じじゃないよね?」


 だから、この位かな?

 そう言って今度は少し長めに、そして強く唇を押し当てる


「・・・やっぱりこの位かな?そして、それを見て智仁が嫉妬するんだよ・・・・」


 この時智仁は景子に健二と同じ事をしたいのを、グッと堪えて拳を握りしめるけど


「けどね?心の中はこうしたくて堪らないんだよ?」


 そう言って今度はさっきより深く口付る

 そうして抵抗出来ないキョーコの唇を思う存分貪り、キョーコから力が抜けた所でようやく解放した


「な・・・・何、するん・・・ですかぁ//////」


「うん、俺心が狭いからね・・・キョーコの本番を邪魔しないように補充」


 いけしゃぁしゃぁと言って、グッタリするキョーコを自分の身体で包み込んだ

 自分の中にスッポリと治まる柔らかい体を抱き締めて、蓮がその肩口に顔を埋める


「お願いだからリテイク無しでね?でないと・・・俺我慢できそうにないからね?」







「・・・・・・・我武者羅に頑張らせていただきます・・・・」












~ 劇中 ~


 無事?に景子をアルバイト要員として自分達の傍に置くことが出来た2人は内心上機嫌だった

 見た目で無く人間性をそして料理の腕を認めてくれる景子の存在は、2人にとってかなり重要な位置を占める人物でありまた好意の対象でもあるからだ


『今日から景子ちゃんとほぼ毎日会えるんだな~料理の直接指導も出来るし、俺達って付いてるよな!!』


『あぁ・・・だが、仕事とプライベートの区別はつけろよ?それと最初の約束通り、教えるのは交互にだ』


 くれぐれも抜け駆けなんぞしてくれるなよ?と、釘を刺す智仁に、健二が肩を竦めて了解する

 そんな他愛もない?やりとりをしている時だった


『こんにちわー!お疲れ様です!!今日からよろしくお願いします!』


 元気な声と共に景子が裏口から入って来た


『おはよう、今日から宜しくね?』


『おはよう!!こっちこそ宜しくな!!』


 取り敢えず基本的な事と、時間があるから景子ちゃんの料理レベル見ようぜ~

 健二のその言葉に、キョーコが若干青い顔をしながら頷くのだった・・・





 一通り店のルールなどの説明をした2人は、景子の呑み込みの速さに驚きそして感心した


『凄いね・・・これなら安心して任せられるよ』


『レジの頼めるなんてラッキー!!!』


『うぅ~あんまりプレッシャー掛けないで下さいよぅ~』


 緊張の余り間違えたらどうしてくれるんですか!?

 そう言ってムクレル景子を見て、2人が微笑ましそうに笑う

 そして、ふと時計を見て・・・智仁が口を開いた


『じゃぁ景子ちゃん。早速で悪いけど腕前拝見してもいいかな?』

 






 ドゴッ!!ガッ!!!バァァァンッッ!!!!ザシュッ!!!







 おおよそ調理中とは思えない破壊音と共に、時折叫び声と共に包丁が飛んでくる

 その余りの惨状に、智仁と健二は言葉を失くして予備のまな板で必死に防御しながら絶句するだけだった


『か・・・壊滅的は・・・・伊達じゃねぇ・・・・・lll』


『ここまでとは・・・・・ね・・・・』


 景子の顔を見れば、本人がこれでもかと言うくらい真剣なのはよく判る

 よく判るのだが・・・この惨状と惨劇はどう見ても破壊活動中


『景子ちゃん!!!ストップ!!!!』


 智仁のその声に、景子の手が止まり先程までの破壊音を生み出した者とは思えない感じで凹む

 そんな可愛らしい顔に内心ノックアウトされながらも、2人がまな板であっただろうモノの上に、かつて野菜であったのだろうと言う代物を見て同時に口を開いた


『『  とりあえず・・・包丁の持ち方からだね・・・・  』』


『よ・・・宜しくお願いします・・・・・・』