後ろ髪を引かれながらも角館(かくのだて)をちょっと早めに切り上げたのは、

 

 今宵の宿を角館から少し離れたところにとっていたからです。それがこちらの“秋の宮温泉郷 湯けむりの宿 稲住(いなずみ)温泉”(秋田県湯沢市)さん。

 

 ふつうは角館からなら時間的にも乳頭(にゅうとう)温泉郷がベストだと思うのですが、地図を見て、秋田自動車道と有料道路を使えば秋の宮温泉郷まで1時間くらいで行けそうといつもののん気モードを発動(笑)、午後3時に角館を出発したのですが、実際は高速を下りてからの道中も長く、1時間40分かかってしまいましたあせる

 

 それでも来たいのは、やっぱり愛して止まない共立リゾート系列の温泉宿だからラブラブ。秋田県最古の温泉といわれる“秋の宮温泉郷”の中でもとくに数多くの文人墨客に愛されてきた秘湯“稲住温泉”が、2019(令和元)年に共立リゾートの湯宿として甦ったと耳にしては、少々無理をしてでも訪れないわけにはいきませぬ。そのくらい魅力的合格

 

 共立リゾートのお気に入りポイントはいくつかあるのですが、まずその①はエントランスで一度靴を脱ぐと、館内の床がすべて畳敷きか板張りなので、スリッパをはく必要がなく、素足(または靴下)で過ごせること。これが旅先で歩き疲れた足には思った以上にありがたく、わたしたちはとても気に入っています。(※すべての共立リゾートにスリッパがないわけではないと思いますが、わたしたちがお世話になったいくつかのホテルはほぼなしでした)

 

 到着するとエントランスからそのまま右手のロビーラウンジに通されて、

 

 ウェルカム・ドリンクのサービスがあります音譜。夫は駆けつけ一杯生ビール(笑)、わたしは温かいアップルティーをいただきながらチェック・インの手続きをします。

 

 こちらのロビーラウンジでは24時間、コーヒーや紅茶をセルフサービスでいただくことができて、お部屋にも持って行けます。

 

 稲住温泉の客室は“水の坐”“湯の坐”“季(とき)の坐”“月の坐”“雲の坐”“天の坐”と幾種類もあって、予約のとき大いに迷ったのですが、

 

 今回わたしたちがお世話になるのは“月の坐”の2階、

 

 212号室です。

 

 お部屋に入り、広い踏込みの左手が洗面所と浴室、正面がトイレ。

 

 客室は和洋室で、お気に入りポイントの二つめがこれですラブラブ

 

 純和風の湯宿でも、いつでもすぐにごろんと横になれる寝心地のいいベッドが横にあるのはとても嬉しいです。しかも今日のお部屋は二人なのにベッドが三つも目ビックリマーク。どれに寝るはてなマーク

 

 お気に入りポイントの三つ目は、とにかくお部屋の居心地がいいことラブラブ。これは今までに泊まった共立リゾートホテルズのすべてに当てはまります。広さはふたりにはもったいないくらいだし、シックにまとめられた上質な調度品やインテリア、パジャマ代わりの作務衣(さむえ)や使いやすい湯かご、アメニティ類、缶ビールやお茶など備え付けの飲みものからお茶菓子に至るまで、過不足なく整っていてしかも清潔、快適ステイ間違いなしなんです合格

 

 月の坐のお部屋には自家源泉を引きこんだ源泉かけ流しの檜の内風呂がついていて、常にお湯があふれているので24時間いつでも入り放題ビックリマーク。大浴場の源泉(源泉名:荒湯)とは異なる源泉(源泉名:里の湯)の湯がお部屋で楽しめるのも、稲住温泉の魅力のひとつみたいですスター

 

 お部屋でひと休みしたら早速館内散策です音譜。共立リゾートの宿はどこもホテルステイそのものが楽しいので、早めにチェックインをしてあちこち探検するのがおすすめです。ここは浴衣処の“花遊”。わたしは客室備え付けの作務衣(さむえ)の方が好きですが、ここで色とりどりの浴衣を借りることもできます。別に各種こだわりの枕を取り揃えた“枕処”もあります。

 

 “らいぶらり~月心(24時間)”という小部屋には、作家武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)の「稲住日記」という作品や全集などが揃っています。宿の名前にもなっている“稲住温泉”は、リニューアル以前ここにあった100年以上の歴史を持つ温泉旅館で、戦時中武者小路実篤が一家で戦乱を逃れ疎開してきたことが縁で、稲住温泉の主人と実篤は晩年まで親交が深かったそうです。

 

 その奥は午後3時~8時まで利用できる集い処の“楽庵”。

 

 カウンターには客室やロビーラウンジのラインナップとはまた少し違う、ビネガードリンクや日本酒などの飲みものが取り揃えられ、セルフサービスでいただけます。夕餉の食前酒のさらに前のプレ・アペリティフかな!?とか何とか言いながら、二種類の日本酒を飲み比べてみるのも一興ですウインク

 

 集い処はコミュニティ・スペースも兼ねていて、フォトライブラリーや、白木のこけしのキーホルダーに絵付けをしたり、白黒でイラストの描かれたポストカードに塗り絵が楽しめるコーナーなどもありました。

 

 帳場の右隣はお土産処の“花つづみ”。夜の9時まで営業しています。

 

 そしてこの大浴場前の湯上がり処“山水”も、共立リゾートホテルズ共通のお楽しみスポットなんですよ~音譜

 

 まずこちら。ここにある冷えた缶ビール、缶チューハイ、ミネラルウォーターなどは24時間、いつでも自由に無料で飲むことができるんです。お部屋にもあるけれど、風呂上がりの喉の渇きにここで一本ビックリマークはまた格別ですよねスター

 

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 それだけではありません。さらに湯上り処には、午後3時~翌午前5時までは“湯上がりアイス”、午前5時~10時までは牛乳とコーヒー牛乳が置いてあります。わたしはこれが楽しみで大浴場に通うほどで、久しぶりに食べたホームランバーもめっちゃ美味しかったですビックリマーク。他にも冷たいヤクルトが提供されるところもあり、お風呂上がりのちょっと一口はほんとうに嬉しいサービスですよね。これもお気に入りポイントのひとつかな。

 

 その横には気遣いが嬉しい“お節介コーナー”があり、チョコボールや豆菓子、キャンディーがひっそりと置かれています。おつまみにも、小腹のおやつにもピッタリビックリマーク

 

 大浴場の“山月の湯”。

 

 浴室内は写真が撮れませんので、ここからの5枚は“秋の宮温泉郷 湯けむりの宿 稲住温泉”のホームページよりお借りしました。

 

 大自然に抱かれて温泉を堪能できる露天風呂温泉

 

 露天風呂に浸かっていると、左下方からもうもうと湯けむりが上がっているのが見えるのですが、ホームページによるとここが自家源泉のようです。“湯けむりの宿”の名の所以はこれですね。

 

 二つある貸切風呂の利用は無料で、予約制ではないので、空いていればいつでも何度でも入れます。

 

 このサービスも共立リゾート系列共通です。

 

 和の飾りつけもとても素敵花

 

 さて、お待ちかねの夕食です。

 

 夕食・朝食ともに食事処“仙楽”でいただきますが、個室席なので周囲を気にせずゆっくりと食事を楽しむことができます。

 

 席に着くとテーブルの真ん中に浅い重箱みたいな桐箱が来て、前菜の盛り合わせかしらはてなマークと蓋を取ってびっくりびっくりビックリマーク。箸と箸置きがずらりと並んでいて、まず初めにそれぞれ好みの箸と箸置きを選ぶところから食事がスタートするという粋な演出ですラブラブ。手前の前菜の盆盛りには一口サイズの穴子の小袖寿司、秋刀魚のオランダ煮、銀杏の松葉串、菊花浸し、いぶりがっこのクリームチーズ和えなどが秋らしい彩りで並んでいます。

 

 つづいて先椀は烏賊真丈(いかしんじょ)と柳松茸(やなぎまつたけ)、紅葉麩(もみじふ)をすっきりと澄んだお出汁とともにいただきます。

 

 お造りは奥から本鮪、炙り鰆(さわら)、紋甲烏賊(もんごういか)に霜降海老、こんにゃくみたいに見えるのは“えご”という海藻を煮溶かして固めた郷土食で、それを土佐醤油と辛子酢味噌でいただきます。

 

 焼き物はあつあつの由利牛に蕪(かぶ)、甘長唐辛子、山芋、丸十(さつまいも)、まこも茸添えで、葱だれと紫蘇だれにつけていただきます。やわらかくて風味豊かな由利牛がとても美味しかったです。

 

 鍋物は三種類の中から選べて、夫は秋味(秋に産卵のために川に戻ってくる鮭)のしょっつる鍋、

 

 わたしは比内地鶏と金柑玉子のきりたんぽ鍋です。じつはわたし、きりたんぽ鍋を初めて食べたのですが、香ばしいきりたんぽに出汁がしみてほんとうに美味しくて、いっぺんでファンになってしまいましたラブラブ

 

 共立リゾートお気に入りポイントの堂々1位王冠2は“お食事がとても美味しいこと”なのですが、中でもお気に入りが共立名物の“心ばかり”の品々。量はプチ・サイズながらどれも手の込んだ本格的なお味の小鉢5種から選べて、お代わりもできて、お腹が許すなら全部お試しももちろんOKです。左からビーフシチュー、鰰(ハタハタ)の飯寿司(いずし)、根菜の胡桃(くるみ)和え、茸の天婦羅、撮る前に完食しましたが、あら煮もあります。

 

 お食事は牛そぼろ御飯に蕪と長芋の香の物、止椀(とめわん)はなめこの赤出汁です。もう一種類、鯛の天婦羅うどんも選べました。

 

 水菓子は季節の果物と栗のプリン。プリンに添えられたバター餅が美味っビックリマーク

 

 夜も更けて10時になると、ロビーラウンジの“夜鳴きそば”ラーメンの開店です。これも共立リゾート共通のサービスで、どんなにお腹がいっぱいでも、これを食べなかったら眠れない・・・というくらい美味しい〆の一杯。お口直しのフルーツもついてます。

 

 部屋に戻ってまったりするもよし、檜風呂に浸かって体を温め直すもよし、共立リゾートの宿に泊まるときは、なるべくゆったり過ごせるように早めのチェックインを心がけています。

 

 一夜明けて朝の御膳も色とりどり。夜の“心ばかり”が朝は“朝事(あさじ)の友”に名を変えて、子持ち木耳(きくらげ)、雑魚山椒、烏賊の三升漬けに藁納豆、温泉玉子が選び放題・食べ放題です。これだけお菜があると、炊きたてのあきたこまちの箸が止まりません。

 

 地図を見ると、秋の宮温泉郷は秋田県の端の端、秋田、宮城、岩手三県に跨る名峰・栗駒山(くりこまやま)の麓に位置していることがわかります。まさに大人の隠れ宿。ゆったりと豊かな時間(とき)の流れる極上の空間でした。

 

 秋田旅の三日目も雨予報はどこへやら、朝から快晴晴れになりました。せっかくここまで来ているので、もう少し湯沢と大曲(おおまがり)を見物してから、帰路の秋田空港へ向かいます。

 

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