今年は生憎の空模様になりましたが今日10月9日は“スポーツの日”。昭和生まれのわたしたちにとっては未だにカタカナよりも“体育の日”のほうが馴染み深いし、その体育の日は10月10日、というのが頭に刷り込まれているので、今年のように移動祝日で日にちがずれるとちょっと居心地悪く感じてしまいます。そもそも10月10日が“体育の日”になったのは、1964(昭和39)年に開催された第18回東京オリンピックの開会式が行われた日だったからなのですが、「東京オリンピック」というと新型コロナで1年延期になった“東京2020オリンピック大会”が思い浮かぶ若い世代のひとたちにとっては、そちらの方がしっくりこないかもしれませんね。

 

今日の写真は今年(2023)4月、東京都青梅市(おうめし)と埼玉県飯能市(はんのうし)の都県境の近くにオープンした韓国料理店『もりのかかし』さんです。

 

 さて日本では“スポーツの日”の今日10月9日は、お隣の韓国では“ハングルの日(한글날・ハングルラル)”という祝日です。“ハングル”とは15世紀半ばの1446年、名君として知られた朝鮮王朝第4代国王、世宗大王(セジョンテワン)によって制定された朝鮮半島固有の文字のことです。ハングル文字ができる以前は中国から伝来した漢字が主で、ごく一部の上流階級のひとたちしか使用できなかったので、文字を学ぶ機会のない一般庶民はほぼ読み書きができなかったそうです。

 

韓国人ご夫妻が営んでおられる店で、お料理はすべて奥さま手づくりの本場の韓国家庭料理が味わえます。葉大根など日本では手に入りにくい野菜類は韓国から種を仕入れて家庭菜園で育てるというこだわりよう。日本人向けに味を変えたりしないところが嬉しいのですが、もちろん辛さが苦手な方にはちゃんと好みを聞き加減してくださいます。

 

 そこで朝鮮語の表現にふさわしく、一般庶民にもわかりやすい文字を作ろうと世宗大王により考案されたのが独自の文字体系『訓民正音(훈민정음・フンミンジョンウㇺ)』です。『訓民正音』には“民を訓(おし)える正しい音”という意味があり、身分の上下に関わらず誰もが読み書きできるようになってほしいという願いが込められているそうです。ハングル文字は一見文字というより記号か何かのように見えて敬遠されがちなのですが、知ってみると覚えるものが少なくとても合理的で、極端なことをいうとハングルさえ知っていれば、意味がわからなくても読むことはできるというとても便利な文字です。

 

居心地のいい店内も駐車場も決して広くはなく、平日はとくに奥さま一人で調理も接客もなさるので、時間には余裕をもってのんびりと行かれることをおすすめします。

 

 韓国の俳優キム・ナムギルさんを通じて美しい韓国語に出会い、ほそぼそと勉強をつづけて8年目。好きが高じてハングルには馴染んできたものの、やはり語学の勉強というのは奥がふかく、まだまだ学びの入口に立っただけでなかなか先へは進めずにいます。世界中にはアルファベット、漢字、アラビア文字などさまざまな文字がありますが、ときの王が民衆のためを思ってわかりやすい文字を創り出すなんて、歴史上でも非常に類い稀(まれ)なことで、それはきっと外国語として韓国語を学ぶ今のわたしたちにとっても大いに恩恵となっているのではないかと思います。

 

반찬(パンチャン・おかず)もみな手づくりで、お聞きすれば作り方も教えてくださいます。

 

温まりたいときはやっぱり찌개(チゲ・鍋料理)が一番ですねビックリマーク

 

 577回目の“ハングルの日”の今日、世宗大王に感謝を捧げるとともに、これからも命ある限り韓国語を学びつづけたいと改めて思う次第です。

 

音譜音譜音譜 yantaro 音譜音譜音譜