Netflixオリジナルドラマ『イカゲーム』で主演を務め、世界的大ブレイクを果たした韓国の名優イ・ジョンジェさんの初監督作品で、長年の盟友チョン・ウソンさんとのW主演としても注目を集めた韓国映画『HUNT(ハント)』が2023年9月29日ようやく日本公開を迎え、見に行ってきました。

 

写真はTHE KLOCK WORXの『HUNT』よりお借りしました。

 

 舞台は1980年代の大韓民国。ときの大統領全斗煥(チョン・ドゥファン)が米韓首脳会談出席のためアメリカのワシントンDCを訪問中なのですが、その独裁政治に反発する在米韓国人が大挙して建物前に押し寄せ、民主化を求める大規模なデモを繰り広げています。全斗煥大統領はもとは軍人で、クーデターによって政権を掌握し大統領になった人物で、事実上の軍事独裁政権により戒厳令をもって民衆のデモや抗議活動を抑え込むという手段をとっていたので、それに対する国民の反発はとても大きく、大統領そっくりに作った人形を派手に燃やすなどかなり過激な様相を呈しています。

 

映画館“グランドシネマサンシャイン池袋”のロビーはとってもスタイリッシュビックリマークなんとこの本物そっくりのスポーツカーはペーパークラフトでしたキラキラ近づいて見てびっくり乙女のトキメキ

 

 韓国では今でも事あるごとにデモが行われ、ほんの数日間の旅行中でもソウルの街のあちこちでそれぞれ別のデモに遭遇することがあり、わたしたち日本人の感覚とはかなり違うなぁと感じるのですが、それはやはりこれまで数々の侵略に苦しめられてきた朝鮮半島の歴史と無縁ではないと思います。過去にも映画の題材となった光州(クァンジュ)事件や1987年の6月民主抗争など、民衆が、とくに若者たちが中心となって民主化闘争を闘い抜き、自らの手で自由を勝ち取ってきたという民族の誇りが今も脈々と受け継がれているので、自身の考えを表明する場としてデモなどの抗議行動に参加することがごく自然に受け入れられているのが、今の日本とは大きく違う点ではないかと思います。

 

まるでサーキットみたいなディスプレイラブラブ

 

 さて、映画です。当時の韓国の情報機関である国家安全企画部(現在の国家情報院)所属の海外チーム次長パク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)と国内チーム次長キム・ジョンド(チョン・ウソン)がそのワシントンDCでのデモの対応に追われる中、CIAがテロリストを発見、銃撃戦の末キム・ジョンドが犯人を射殺して、全斗煥大統領の暗殺を未然に防ぎます。一方韓国国内でも大統領の弾圧政治に不満を爆発させるデモ隊と警察部隊が激しく衝突。帰国したパク・ピョンホとキム・ジョンドは、機密事項であるはずの大統領の行動が北朝鮮に漏れていたことで上司の叱責を買い、国家安全企画部内に「トンニム」とよばれる北朝鮮のスパイが潜んでいることを知らされて、必ず見つけ出せと厳命が下ります。

 

黒を基調とした館内は落ち着いていてとてもいい雰囲気。

 

 場面は変わり、北朝鮮から亡命を求めて日本に来ている物理学者を巡る街中での激しい攻防でも多くの犠牲者を出すなど不穏な動きは収まらず、組織内の全員が容疑者という緊迫した状況のなか、パク次長(イ・ジョンジェ)とキム次長(チョン・ウソン)はそれぞれのやり方で「トンニム」をあぶり出そうと捜査に乗り出しますがなかなか見つからず、挙句の果てには、もともとライバル関係にあった二人は互いを疑い監視しあうまでになります。しかしその過程で次第に見えてくる相手の素性を知るに至り、同じ国家安全企画部の責任者同士であるが故の信頼と疑惑のせめぎあいが、いやが上にも緊張感を増幅させてゆきます。

 

スクリーンへ向かう通路はオペラハウスみたいハートのバルーン

 

 「トンニム」の正体が明らかになり、衝撃のラストに向けての息詰まる攻防戦は見るものを惹きつけてやまず、一瞬でも目を離したらストーリーに置いていかれそうで、字幕を読むのももどかしいほど夢中になります。どうぞ皆さまこのつづきは、映画館の大きなスクリーンで見届けてくださいね。そしてイ・ジョンジェさん、チョン・ウソンさんという二大スターの共演だけでも贅沢なのに、カメオ出演メンバーの豪華さには度肝を抜かれますビックリマーク。ファン・ジョンミンさん、イ・ソンミンさん、パク・ソンウンさん、ユ・ジェミョンさん、チュ・ジフンさん、そして我らがキム・ナムギルさんラブラブなどなど、主役級の俳優さんたちが総出でチョイ役に大奮闘クラッカー・・・いや、ファン・ジョンミンさんはチョイ役ではありませんが汗。彼らがいつどこにどうやって出てくるか、それを探すのもこの映画の醍醐味のひとつかもしれません。イ・ジョンジェ監督の人脈恐るべし、です。

 

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タイトルの『HUNT』の“N”が裏返しになっているのは何か意図があるのでしょうか・・・はてなマーク

 

 最後まで見終わって思うのは、パク・ピョンホとキム・ジョンド、相対するふたりが夢見ていたものは意外にも同じだったのではないかはてなマークということ。アプローチの仕方が違うだけで。そしてやはり彼らの根底にあるものは、韓民族に共通する“恨(ハン)の精神”ではなかったかということです。“恨の精神”については同じタイトルで拙ブログ2020年7月29日付の記事にも書きましたが、単なる“恨(うら)み”の感情だけではなく「無念さや悲哀や無常観、(虐げる側である優越者に対する)あこがれや妬み、悲惨な境遇からの解放願望など様々な感情をあらわすもの(Wikipediaより引用)」といわれます。しかも他者へ向けるだけではなく自己の内面に向けられる恨(ハン)もあるというのです。そう思ってみると、スリリングな“ポリティカル・サスペンス・アクション”だけではないヒューマンドラマも見え隠れするような気がします。

 

クローバー チューリップピンク クローバー チューリップオレンジ クローバー チューリップ紫 クローバー チューリップ赤 クローバー チューリップ黄 クローバー

 

 余談ですが、一緒に見ていた夫が終映後ぽつんと「ギルさん、どこに出てたはてなマーク最後までわからなかったよ。」ですってビックリマーク。そうでしょう、そうでしょうニコニコ。実はわたしは今年(2023)6月の“キム・ナムギル グローバルツアー AGAIN in Soul”に参加したとき、行き帰りの大韓航空の機内モニターリストに『HUNT』も入っていたので、ひと足先に見て知っていましたが、それがなければ見逃したかも・・・というくらいお見事なギルさんの変身!?変装!?爆  笑。ほぼギルペン並みにギルさんの出演作品を熟知し、そのカメレオンぶりには慣れているはずの夫でも気づけなかった・・・って言ったら、ギルさんきっと「やったビックリマーク」と手を叩いて喜ばれるかも~てへぺろ(笑)。

 

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この昭和な感じ、いいなぁ~照れラブラブ

 

音譜音譜音譜 yantaro 音譜