上高地のトレッキングと同じくらい楽しみにしていたのが今宵の宿、“五千尺ホテル上高地”に泊まることです。そもそも今回の上高地行きを決めたのも、ダメモトでホテルのホームページを検索していて、タイミングよく空室を見つけたからビックリマーク

 

 五千尺ホテルとの出会いは、ふたつ前の記事『秋涼の上高地へ①~河童橋から大正池』でも少し触れましたが、揃って山歩きが好きだったわたしの両親に度々聞かされていたからです。河童橋のたもとという上高地一のロケーションに佇む山岳リゾートの草分け的存在で、上質なサーヴィスには定評がありリピーターを含めとても人気が高く、しかも客室は全部で29室しかないので、4~11月の開山期間に空室を見つけるだけでも至難の業。今回の僥倖(ぎょうこう)はほんとうにありがたく、その日を指折り数えて待つことになりました。

 

 山小屋ふうにシックにまとめられたエントランスを入ると正面がスイーツカフェ&バーの『LOUNGE(ラウンジ)』。

 

 そしてロビー。

 

 奥へとつづく廊下。

 

 左手の壁には1918(大正7)年創業という由緒あるホテルの写真や歴史資料が展示され、

 

 右手には待合ふうのレストルームはてなマーク談話室かなはてなマーク、くつろぎスペースがあります。

 

 家具は落ち着いたダークブラウンの“松本民芸家具”。わたしの実家にも今は亡き両親が愛用していた松本家具のテーブルや椅子があるので、里帰りしたような懐かしさです照れ

 

 インテリアも素敵ラブラブ

 

 スイーツカフェ&バー『LOUNGE(ラウンジ)』の内部。レトロモダンな雰囲気でとても落ち着きます。実家にあるのと同じデザインの椅子乙女のトキメキ

 

 カフェの向かいのスペースは“予約席”になっていて、ここはカフェが混雑しているときでも宿泊客が優先的に座れるところだそうです。

 

 客室にももちろんお風呂はあるのですが、1階に大浴場があるのも嬉しいです合格。やはり大きな湯船温泉に歩き疲れた手足を伸ばして入れるのはまた格別。国立公園特別保護地区のため建蔽率に制限があり脱衣所、大浴場ともにコンパクトですが、内部は清掃が行き届きとても清潔で、備品その他何ひとつ過不足なく快適です。また客室数が多くないおかげで、ほぼ満室でも大浴場が混雑することはありませんでした。

 

 今回わたしたちが予約していたのは1室だけ空いていた2階のスタンダード・ツインだったのですが、なんとありがたいことに、キャンセルで空室になった4階のスイート・ルームに無料でグレードアップしてくださるというのですベル

 

 ホームページを見ると五千尺ホテルの客室は2階、3階、4階とそれぞれの階で趣の違う仕様になっていて、その先頭に載っているスイート・ルームはもちろんチェックはしたものの、わたしたちに手の出るプライスではなく、ため息とともに眺めるだけだったのでびっくりするやら嬉しいやら。今日一日の疲れもどこかに吹き飛んじゃいます爆  笑乙女のトキメキ

 

 4階の突き当たりに一室だけある“Kamikochi Suite(上高地スイート)”405号室。

 

 扉を開けるとエントランスから続いて広々としたウォーク・イン・シューズクローゼットというのでしょうか。ここだけで我が家の一部屋に相当するほどのスペースがあり、

 

 おそるおそる廊下をすすむと、

 

 左手がこれまた信じられないくらい広いウォーク・イン・クローゼット。夜間や冬用にモンベルのダウンジャケットや虫よけスプレーが常備されているのも山岳地らしいなぁと思います。

 

 廊下の右手は子ども部屋くらいはありそうな広い洗面化粧室とバス・ルームとトイレ。

 

 その奥がベッド・ルーム。

 

 そして独立型のリヴィング・ルーム。

 

 リヴィング・ルームからベッド・ルームを見るとこんな感じ。

 

 ベッド・ルームには優雅な木のロッキングチェアも音譜

 

 窓の外は梓川と河童橋です。上高地は夏でも平均気温が22~23度なので、クーラーがなくても窓を開ければ涼しい風が入って来て快適です。

 

 洗面化粧室にはダブル・シンクの洗面台とバス・ローブ、タオル、その他アメニティ類がすべて多すぎるくらい豊富に揃っています。ワイシャツタイプのパジャマもありますが、それは客室内専用です。

 

 おとながゆったりと手足を伸ばして入れる大きさのバスタブ。

 

 そしてとても便利だったのが、リヴィング・ルームの一画にスペースを大きくとって設けられたこのミニ・キッチンビックリマーク。洗面化粧室とは別に水屋があるホテルは多いのですが、ほぼ廊下の端など見えないところにあり少し不便に感じていましたが、五千尺ホテルでは堂々とリヴィング・ルームのど真ん中にあって目からウロコ目キラキラ。でもそれが、お茶を淹れるにもちょっと手を洗うにも、ほんとうにGOODなんです。

 

 引き出しにはドリップコーヒー、紅茶、緑茶に、焼き物の茶器やタンブラーが備えられ、

 

 備えつけの冷蔵庫の中には缶ビール、緑茶と水のペットボトル、りんごのスティック・ケーキに極上のトリュフ・チョコまで用意され、すべて無料でいただくことができます。たしかこれはスイート・ルームだけではなく、どの客室にも共通のサービスです。

 

 五千尺ホテルにはバルコニーつきの客室となしの客室があるのですが、やはりそのロケーションからバルコニーつきのお部屋のほうが人気が高く、先に予約が埋まってしまいます。スイート・ルームのバルコニーは2部屋ぶんなのでほんとうに広いラブラブ

 

 バルコニーからの眺め。河童橋方向。

 

 そして見晴るかす穂高連峰。どこか外国のリゾート地に来たような雰囲気です。

 

 きっと最初で最後になるであろう“上高地スイート”のお部屋をくまなく探検し、大浴場で汗を流した後は、お楽しみのディナーナイフとフォーク。このために明神池の嘉門次小屋の絶品イワナにも目をつぶって来たので、もうお腹はペコペコです。

 

 ディナーをいただくのは2階のメイン・ダイニング『GRAND(グランド)』。フランス料理のディナーなので、ドレスコードというほど堅苦しくはありませんが、パジャマや浴衣などの室内着はNG。トレッキング用の服やシューズとは別にお食事用の服装一式を持参しなければなりません。ホームページのQ&Aによると、シューズは館内用スリッパでもいいそうです。

 

 メイン・ダイニングで提供されるのは、上高地ならではの新鮮な旬の食材や国産の良質な素材を用いた“五千尺キュイジーヌ(料理)”をコンセプトとした正統派のフランス料理のフルコースで、ほんとうにほんとうに楽しみですラブラブ。お品書きを見ただけで喉が鳴りますニコニコ

 

 一品目のアミューズ(前菜の前のお楽しみ)は“トウモロコシのエスプーマ(ムース状の泡)とジュンサイのジュレ(左)、白エビのグジェール(チーズを練り込んだシュー皮)(右)”。

 

 二品目の前菜は“白馬の信州サーモン、安曇野の鯉、ホワイトアスパラのカッポンマーグロ”。カッポンマーグロとは、イタリア・ジェノヴァ地方のサラダのことだそうです。

 

 三品目のスープは和風の器に入った“ジャンボン・ペルシエのスープ”。ジャンボンはフランス語でハム、ペルシエはパセリという意味だそうです。焼きたてパンにつけていただくのは桜のチップで燻したバターです。

 

 四品目の魚料理は“スズキのポアレ、フェンネルのソース”。フェンネルは甘い香りのするハーブですね。美味しすぎて早く食べたくて、うっかり写真を撮る前にナイフを入れてしまったので、このお料理だけ少し形が崩れています、ごめんなさいあせる

 

 五品目のメイン・ディッシュは“国産牛フィレ肉のグリエ 発酵ブルーベリーソース”です。もはや説明もことばもいらないほどの美味しさハートのバルーン。つけあわせのポテトがチーズを纏ったグラタンふうで、お味も食感も抜群でした。

 

 デザートは“桃のコンポートとピスタチオのアイスクリーム”。

 

 そして“静岡県産クラウンメロン”を一つずつ選んでいただきました。

 

 食後の飲みものにはパティシエ特製のプチ菓子もついてきます。フレンチ・フルコースのお味の良さは言うに及ばず、サーヴィス全般に目配り、こころ配りが行き届き、ほんとうに満ち足りたディナータイムでした。

 

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 メイン・ダイニング前のスペースに展示されている法被(はっぴ)を見ると「五千尺旅館」と記されています。創業時は旅館だったのですね。

 

 その横はライブラリ&ラウンジ。暖簾がいいなぁ~。

 

 中はとても広いラウンジで、 

 

 ライブラリには山関連の漫画や安曇村誌、登山誌などが揃っています。

 

 ほんとうは上高地ネイチャーガイドの中でも宿泊しないと味わえない夜の上高地を歩く“ナイトツアー”に参加したかったのですが、周辺の熊目撃情報により、安全を確保できるまでナイトツアーは一時中止となっていました。

 

 残念ですけれどこればかりは仕方がありません。フロントで履きものをお借りして、ふたりでホテル前を少し歩いてみることにしました。

 

 河童橋から見るホテルも昼間とはまったく趣を変え、

 

 街灯がないのでホテル前を離れると周囲は真の闇・・・。そして見上げれば空には輝く星々が星空。夜ってこんなに暗かったんだなぁと今更ながらに思います。

 

 上高地の夜もほんのちょっぴり垣間見たことだし、ふたりだけではもったいないくらい広いお部屋へ戻って、ゆっくりコーヒーコーヒーでもいただきましょうか。

 

 そして朝。目覚めてすぐバルコニーに出てみると、早朝にも関わらず、河童橋周辺にはもうザックを背負った登山客の姿が見えます。

 

 雲は多めながら今日も青空がのぞいています。

 

 朝食も同じメインダイニングの『GRAND』です。ディナーのときは満席で写真が撮れなかったので、許可をいただいて空席のところだけ撮影させていただきました。

 

 窓の外の梓川の景色を眺めながら朝食をいただきます。頭上に掲げられているのは、秩父宮殿下がご愛用されていたスキーだそうです。 

 

 各種フレッシュジュースや牛乳、五千尺ブレンドコーヒー(しっかりとローストされた濃いめのお味)、飛騨紅茶などの飲みものはフリードリンクです。牛乳がとても美味しい照れ

 

 そしてこちらが旅館時代から伝わる“五千尺ホテル上高地の朝伝統の豚汁”ビックリマーク。セルフサービスでおかわりもできます。

 

 朝食はメイン・ディッシュをプレーンオムレツ、スクランブルエッグ、目玉焼き(そのほかプレミアムとして追加料金でチーズ、からすみ、トリュフのオムレツなどもありました)の中から一品選び、“富成伍郎商店の豆腐のサラダ(上)”とパンかお粥がサイドメニューです。サラダは豆腐がメインみたいなのですが、じつはこの下に大きなローストビーフが隠れていて、それがまた絶品でしたキラキラ

 

 メイン・デッシュのプレーンオムレツ。パンとお粥はおかわりもできるので、結局両方いただきましたてへぺろ。鮑の出汁がきいたお粥も具だくさんの豚汁も、ほんとうに美味しかったです。

 

 デザートは桃のコンポートとフレッシュヨーグルト。牛乳がまろやかでとても美味しいので、カフェオレにしていただきました。

 

 一日目に大正池コースと明神池コースをひと通り歩いたので、二日目は特に予定もなく、

 

 ゆっくりとホテルステイを楽しませていただいたり、隣の売店“上高地のおみやげや”さんで買い物をしたりした後、せっかくなのでもう一度大正池まで歩くことにしました。

 

 小雨模様の天気予報はみごとにはずれ(笑)、二日目も絶好のトレッキング日和音譜。梓川をはさんで両側に遊歩道が整備されているので、昨日とは逆に行きを左岸道、帰りを右岸道にしてみました。暑すぎず寒すぎず、清涼な空気の中を快適に歩きます。

 

 方角が違うだけで見える景色も異なるのがおもしろく、また違う季節に歩いてみたいと思います。

 

 この日も河童橋周辺は登山客、観光客でいっぱいビックリマーク

 

 いったんホテルへ戻り、1階のスイーツカフェ&バー『LOUNGE(ラウンジ)』でランチタイムにしますジュース

 

 お目当ては昨日から目をつけていた“信州産そば粉のガレット”ニコニコ。まるで杏(あんず)のように見えるのは肉厚な信州サーモンのスモークで、ガレットの中にも外にもたっぷりと。さらに濃厚なアボカドとたまごも隠れています。つけあわせは赤キャベツのザウアークラウトのレーズンとナッツ添え、バルサミコソースが味のアクセントです。コーヒーに合う~ラブラブ

 

 デザートは、これも食べずに帰ったらぜったいに後悔する五千尺ホテル伝統の“レア・チーズケーキ、ベリーソース添え”。噂に違わぬ味とヴォリュームでしたクラッカー。ディナーからランチまで、思い残すことはないと言い切れるくらいぜんぶ、美味しくいただきました。

 

 二日間、夢のような時間を過ごさせていただいた五千尺ホテル上高地さん。ほんとうにほんとうにお世話になりました。

 

 今見るとよくわかります。最上階4階の一番奥が“上高地スイート”ハートのバルーン

 

 たった二日滞在しただけですが、どの方面へ行くにも五千尺ホテル上高地の立地は最高100点だというのがよくわかりました。バスターミナルに近いのもありがたいです。

 

 つぎの機会があるならば、明神橋からさらに上流の徳沢(とくさわ)から横尾(よこお)まで、足を伸ばしてみたいです。その折はまたきっと、五千尺ホテル上高地さんにお世話になりたいと思っています。

 

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