甲斐善光寺の参拝を終え、地図を見ていた夫が何気なく「一の宮があるよ、行ってみるはてなマーク」。そのひとことで次の行く先が決定ビックリマーク甲斐国の一の宮とあらばやはりここまで来て素通りするわけにはいきますまい・・・と向かったのが、こちらの“甲斐国一宮浅間(あさま)神社”(山梨県笛吹市)です。

 

 “浅間神社”はよく“せんげん神社”と読ませますが、ここはそのまま“あさま”と読むようです。地図には名前が載っているだけで手持ちのガイドブックにも何も記載されていないので、一の宮だけれど小さな神社なのかなはてなマークと思いながら来てみるとなんのなんのビックリマーク。風格漂う明神鳥居の横に立つ寺号標を見ると“国幣中社(こくへいちゅうしゃ)”とあり、一の宮にふさわしい社格の高い神社であることがわかります。小さい神社かもなどと失礼なことを思った自分を恥じるとともに、今日のこの出会いがいっそう有り難く感じられますラブラブ

 

 振り返ると、遠くに一の鳥居となる大鳥居も見えています。

 

 二の鳥居をくぐるとすぐ横に境外摂社の“山宮神社”の遥拝所(ようはいじょ)があります。案内板によると、浅間神社は第十一代垂仁天皇8(前22)年の正月、ここから少し離れた神山(こうやま)という山の麓に創建され、貞観7(865)年当地に遷座されたので、その創建の地を山宮神社としてお祀りしているそうです。

 

 鳥居からつづく参道とはまた別にもう一本並行する小道があり、とてもよい気が感じられるのですが、歩いてみると下には水が流れ、水路の上につくられた道のようでした。

 

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 二の鳥居の先には重厚な“隋神門(ずいじんもん)”。

 

 ふだんから“随神門”と何気なく呼んでいますが、随神とは何だろうと改めて調べてみると、ご社殿や神社社地などを守る神さまのことで、矢大神(やだいしん)、左大神(さだいしん)と俗称されることもあるそうです。

 

 二神ともに弓と矢を携え剣を帯びる姿はその昔、武装して貴人の護衛にあたった近衛府(このえふ)の舎人(とねり)の姿で、彼らが“随身(ずいしん)”と呼ばれていたことから転じて主神を守護する“随神(ずいじん)”となったそうです。上記の解説は、東京都神社庁のホームページの「神社を知る」という項目内の「神社Q&A」より抜粋させていただきました。

 

 参道をすすむと、拝殿は正面ではなく左手に直角に曲がったところにあります。この様式はたしか伊勢神宮や鹿島神宮でも目にしましたが、こちらの浅間神社の場合は富士山の噴火と関係があるようで、その謂れが隋神門脇の案内看板に詳しく記されていました。

 

 それによると、浅間神社が当地へ遷座してきた貞観7(865)年は、富士五湖の西湖と精進湖、また青木ヶ原樹海などを生じさせた富士山の貞観(じょうがん)大噴火が起こった頃で、駿河国側にはすでに一の宮の“富士山本宮(ほんぐう)浅間大社(せんげんたいしゃ)”があったので、甲斐国側にも浅間神社を建立して両方向から富士山をお鎮めするよう朝廷からの命が下りたことを受け、富士山鎮護の神さまである“木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)”をこの地へお遷ししたそうです。さらに噴火の被害を避けるため神社は富士山が見えない場所に位置し、神さまが正面から被害を受けないよう、本殿が富士山に対して90度横を向いているのだそうです。なるほど念には念を入れて建てられているのですね。

 

 ご祭神にあやかり“女神の井戸”と名づけられた井戸から引かれた水で満たされた手水舎(てみずしゃ)。

 

 せっかくなので、拝殿正面の注連柱(しめばしら)側からもう一度入りなおし参拝します。

 

 扁額には社名ではなく“第一宮”と記され、甲斐国の一の宮であることがわかります。ご祭神は富士山鎮護の神さま“木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)”で、平安時代に編纂された「延喜式神名帳(じんみょうちょう)」にもその名を刻む古社です。

 

 隋神門からつづく参道の正面突き当たりには“神楽殿(かぐらでん)”。

 

 神楽殿に大きな“←干支(えと)参り”の横断幕が掛かっているので行ってみると、手前に“護国社”があり、

 

 一宮町の英霊458柱が祀られています。

 

 神輿庫の奥にはひっそりと境内社の“七社”。

 

 そしてこちらの祓門(はらえもん)は珍しい人型にくり抜かれています。

 

 祓門をくぐった先に並ぶ“十二支石像”。自身の干支にお参りするとご利益があるそうです。

 

 富士山を模(かたど)った“富士石”も。

 

 こちらは“成就石(じょうじゅいし)”といい、奥の木陰に見えているご本殿に向かって祈りを捧げた後、作法に則(のっと)り願いごとをすると叶うそうです。千年以上の歴史を誇る浅間神社の中では、祓門からのこのエリアは境内巡り用に新設されたもののように思われます。

 

 境内社の“稲荷神社”。神輿庫奥の七社の稲荷大神を御分霊し、ここにお祀りしたそうです。稲荷社らしい朱塗りの鳥居がとても美しいです。

 

 本殿の真裏には同じく境内社の“神明社”と

 

 “真貞社(まさだしゃ)”。読み方がわからず帰宅後調べたところ、“真貞”は“伴直真貞(とものあたいまさだ)”という人物の名前で、富士山大噴火を鎮めるための“鎮祭(ちんさい)”を執り行った“祝(はふり)”という神職の方だそうです。

 

 境内の北側にも注連柱(しめばしら)と、

 

 屋根つきの立派な両部(りょうぶ)鳥居があります。

 

 案内板によると、通常御神酒(おみき)として奉納されるのは日本酒ですが、昭和40年頃から浅間神社では、峡東地域(山梨市・笛吹市・甲州市)のワイナリーから奉納された新酒のワイン赤ワインを御神酒としてお供えしているそうです。桃や葡萄、すももなどを産するフルーツ王国山梨県、そして日本のワイン発祥の地白ワインならではの風習がいいなぁラブラブと思います。

 

 社務所前のみごとな松の大木。

 

 桃の絵馬に、ころんと可愛い桃みくじ。

 

 甲斐国一宮浅間神社の御朱印と期間限定桃まつりの御朱印です。

 

 ところで山梨といえば忘れてはいけないのが桔梗(ききょう)信玄餅ビックリマークいつ食べても美味しい安定の和菓子ですが、笛吹市に“桔梗信玄餅工場テーマパーク”があるので、ランチも兼ねて行ってみることにしました。

 

 大型観光バスが何台も到着し、平日にもかかわらずテーマパーク内はどこも大混雑の大盛況。皆さんのお目当ては“信玄餅の詰め放題”スターのようです。ひとり220円で消費期限の近い信玄餅をビニール袋いっぱいに詰めただけ持ち帰ることのできる、このテーマパーク一番の人気スポットに興味津々なのですが、がんばって詰めたところでじーとばーの二人暮らしでは絶対に消費しきれないので、ここは泣く泣く断念するしかありませんあせる

 

 おや、赤い鳥居につられて小道に入ってみると、小さなお社があります。“餅もちの社(やしろ)”といい、餅は粘り強く「持ち」にも通じて縁起がよいことから祀られているそうです。

 

 お昼をいただいたのは園内の食事処“水琴茶堂(すいきんちゃどう)”さん。名前のとおり、入口に涼やかな音を響かせる水琴窟(すいきんくつ)があります。

 

 “しゃりしゃりうどん”というネーミングにつられて頼んでみたら、うどんの下のぶっかけつゆとは別に、シャーベット状に凍らせたつゆ(茶色いかたまり)が載っていて、それを崩しながら食べるという味も見た目も触感も楽しい一品でした。美味ビックリマーク

 

 また食事を注文するとバイキング形式のおかずとけんちん汁が食べ放題というサービスのよさ合格。具たっぷりのけんちん汁もサラダも手づくり惣菜も、どれもとても美味しくて、つい食べ過ぎてしまいそうです。

 

 お腹がいっぱいになったところで工場見学に行きます。ガイドブックには案内時間が載っていたのですが、この日は一日自由見学になっていました。

 

 一日に約12万個も作られるという信玄餅の生産ラインを上から見学させていただきます。

 

 何といっても圧巻は最後のこの包装作業です。あの独特のビニールの風呂敷で丁寧に包まれた桔梗信玄餅は、こうしてすべてひとつひとつ、人の手で包装されていたことを初めて知りました。工場へいらしたら必見ビックリマークの職人技です。

 

 最後はランチに行くときから目をつけていた目お土産処“桔梗屋東治郎”の一画にある“テーマパークカフェ”で桔梗信玄ソフトミックスをいただきますウインク。できたての信玄餅に信玄棒、そして濃厚な抹茶ソフトソフトクリームが絶妙です~音譜

 

 じぶんへのお土産は、以前から一度食べたいと思っていた“桔梗信玄餅極(きわみ)”です。

 

 どこが“極”かというとこの信玄餅、お餅の入っているカップもふたもすべて最中(もなか)でできているんですビックリマーク。つまりぜんぶ、食べられる!!

 

 最中のふたを開けるとこんな感じで中にはみっちりきなこが詰まっています。正しい食べ方があるのかどうかわかりませんが、わたしはお餅を一個取り出してその隙間に黒蜜を流し、軽くかきまぜてからふたを戻して豪快にかぶりついていただきました。きなこはどうしてもこぼれますが、今まで容器の底に残る黒蜜のまぶったきなこがもったいないなぁと思っていたのがぜんぶ食べられるのがいいですねラブラブ。この信玄餅も、さっき見てきた包装ラインでひとつひとつ包んでくださっているんだ・・・と思うと、開けるときにも捨てるときも自然と手が止まり、より味わい深く感じられるのでした。

 

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