愛媛旅の三日目、地図を見ると、道後温泉のすぐ近くに四国八十八か所霊場の第五十一番札所“石手寺(いしてじ)”があることがわかり、松山へ行く前に参拝することにしました。

 

 道後温泉のホテルから石手寺までは車で約10分の近さ、道路沿いに弘法大師さまの像があるのですぐにわかります。

 

 ガイドブックによると、参道入口に“渡らずの橋”というのがあるので写真を撮ったつもりだったのですが、後で見るとわたしの勘違いで、かんじんの石橋が写っていませんでしたあせる。お地蔵さんが座っているところがその橋だったようです。“渡らずの橋”は別名“弘法大師お道開きの橋”ともいわれ、弘法大師さまがお渡りになった橋なので、以後誰も渡ってはいけないとされているそうです。

 

 参道脇に立つこの高い塔屋は何でしょうかはてなマーク門でもないし、見上げると上には仏さまではなさそうな何かの像が安置されているのですが、よくわかりませんあせる

 

 その足元には遍路旅の祖とされる“衛門三郎(えもんさぶろう)”の石像があります。後で知ったのですが、衛門三郎の逸話が石手寺という寺名の由来にもなっているそうです。

 

 参道は石畳の回廊形式になっていて、古い奉納額がたくさん掲げられています。

 

 参道の途中には仏具店が2~3軒と石手寺名物の“やきもち”を売る店が開店準備中でしたが、その他の店はたまたま休業日なのかもう営業していないのかわかりませんが、ほぼシャッターが下りていました。

 

 参道を抜けると前方に“仁王門”が見えてきます。

 

 パンフレットによると石手寺の仁王門は鎌倉時代後期の1318(文保2)年に建立されたもので、国宝に指定されているそうです。二階に高欄(こうらん)を巡らせた美しい楼門(ろうもん)で、大きな扁額には山号の“熊野山”と書かれています。

 

 仁王門の内側には3mを超すという大草鞋ビックリマーク。大草鞋はお仁王さまの履物で、こんなに大きな草鞋を履くお仁王さまがいらしてはとても勝ち目がない、と魔物が逃げ出すと言われています。大きさは強さの象徴なのですね。

 

 仁王門の脇には茶トラの猫ちゃんが半眼(はんがん)で日向ぼっこ~。

 

 確かに金網越しにも迫力満点の金剛力士像は愛媛県の指定文化財だそうです。

 

 一礼して仁王門をくぐり、伽藍を見渡します。

 

 右手には“三重塔”。青空に映えてとても美しいです。パンフレットによると高さは24.1m、国の重要文化財に指定されているそうです。

 

 仁王門を入ってすぐ左手の鐘楼(しょうろう)。

 

 正面の本堂前に、遠目にもはっきりとわかるくらい大きな“五鈷杵(ごこしょ)”が立てられています。五鈷杵は金剛杵(こんごうしょ)という密教における法具の一種で、その両端の鈷(こ)の数によって独鈷杵(とっこしょ)、三鈷杵(さんこしょ)、五鈷杵などに分かれ、あらゆる煩悩や苦悩を滅するといわれています。

 

 本堂の御本尊は行基作と伝わる薬師如来像(やくしにょらいぞう)だそうです。

 

 と、ここまではよかったのですが、本堂への参拝を終え境内の散策に出ると、いきなり目の前に不思議な木像の掲げられた“韋駄天堂(いだてんどう)”があらわれます。見たところかなりエキゾチックで、札所の雰囲気とはちょっと相容れない気もしますあせる

 

 さらに本堂のすぐ横には“大仙窟(だいせんくつ)”という石碑があり「洞窟入口」という札がかかっています。胎内巡りのようなものかしらはてなマークと思いましたが、手前には韓国・済州島(チェジュド)の守り神といわれるトルハルバンに似た石像もあるし、何ともいえない怪しげな様子に入って行く勇気がなくて、外から眺めただけでした。

 

 大仙窟の横には「お山四国登り口」の石碑が立ち、石段脇に「へんろ道」の標示もあります。歩き遍路の皆さんが上られるところでしょうか。

 

 坂道を少し下ると境内の西側に、中曽根康弘(なかそねやすひろ)書と記された“硫黄島(いおうじま)平和の碑”という慰霊碑もあります。

 

 その先の杜の中には寺の境内には珍しい煉瓦造りのパゴダがあり、“愛媛パゴダ”と記されています。第二次大戦中のビルマ戦線(現在のミャンマー)で亡くなられた愛媛県出身の戦没者の供養塔として建てられたものだそうです。

 

image

 つづいて阿弥陀如来(あみだにょらい)を祀る“阿弥陀堂”。やっとふつうのお堂に会えてホッとしました。

 

image

 本堂の向かって右手には弘法大師を御本尊とする“大師堂”、その手前に“一切経堂(いっさいきょうどう)”、“護摩堂(ごまどう)”と続きます。

 

 最初見たときには気づきませんでしたが、三重塔のぐるりには“お砂撫(な)で”という四国八十八か所霊場の砂の入った袋が並んでいます。これをすべて撫でれば八十八か所を巡ったのと同じ御利益がいただけるそうですが、わたしたちは遠からずお遍路さんに来ることを夢見ているので、今日は撫でずにおきたいと思います。

 

 納経所の隣に、本堂とは別に“本殿”と札の下がったお堂がありました。お参りはしましたが、パンフレットにも特に記載はなく、本堂と本殿の区別がよくわかりませんでした。

 

 仁王門前の鐘楼とは別にもうひとつ、四方に腰袴(こしばかま)をつけた鐘楼がありました。パンフレットによるとこの鐘楼は1333(元弘3)年に建立されたもので、重要文化財に指定されているそうです。国宝の仁王門をはじめ重要文化財が覚えきれないくらいたくさんあり、境内のみどころの多さにも驚きです。

 

 さらに和風庭園のような太鼓橋があったり、

 

 もはや何門と呼んだらいいのかわからない門もあり、伽藍の内の和洋折衷の装飾にしばし頭が混乱しそうになりましたが、駐車場係のおばさんによると「石手寺は八十八か所のなかでも指折りの有名な札所」とのこと、お遍路さんとしての参拝ではありませんが、四国デビューの旅で来ることができたのはとてもありがたいことでした。

 

 境内のあちこちに猫ちゃんが~ラブラブ。この二匹は同じ格好で毛づくろい中。参拝客によく撫でられるのか、どの子もひとに馴れています。

 

 四国第五十一番、石手寺の御朱印。

 

 参拝だけのつもりの石手寺で思いのほか時間を過ごしてしまい、帰りの飛行機の時間が迫っているので、急いで松山城(愛媛県松山市)へ行くことにします。松山城は市内中心部の勝山という標高132mの山の上に築かれた城で、山麓から8合目まではロープウェイで行けるそうです。

 

 ロープウェイ乗り場。

 

 10分間隔で運行のロープウェイとすぐに乗れるリフトがあり、料金は同じ大人往復520円です。行きはちょうど来たロープウェイに乗ります。

 

 8合目の長者ヶ平(ちょうじゃがなる)まで所要時間約3分の空中散歩~音譜

 

 天守をめざして歩きはじめます。

 

 石垣と城とお花のコラボレーションキラキラ

 

 ちょうどガイドさんの説明を受けている一団と一緒になり、聞こえてきた解説によると、このみごとな石垣は本丸で一番の高さを誇り、なんと17mもあるそうですビックリマーク高さだけではなく、末広がりの勾配もほんとうに美しいです。

 

 石垣に沿って歩きます。

 

 大手入口の最初に現れる“戸無門(となしもん)”。もともと門扉がないのでそう呼ばれるそうです。守りの要となる次の“筒井門(つついもん)”と“隠門(かくれもん)”へ、侵入してきた敵を誘い込む役目も果たしているそうです。

 

 戸無門を抜けるとすぐ左手が筒井門。

 

 大手から入ろうとする敵は当然この筒井門を駆け抜けます。と、右の続櫓(つづきやぐら)の奥の見えないところにもうひとつ

 

 “隠門(かくれもん)”があり、味方はここに潜んでいて背後から敵を襲う仕組みです。

 

 正面から見るとこういう配置です。左が筒井門、右が隠門。

 

 筒井門を抜けて左上の太鼓櫓(たいこやぐら)を見ながら右へ。

 

 すると左手に現れるのが太鼓門(たいこもん)。右へ左へと誘われて、まるで迷路に迷い込んだみたいです。

 

 西に太鼓櫓、東に巽櫓(たつみやぐら)を持つ太鼓門。

 

 太鼓門を抜けると“本丸広場”です。

 

 本丸広場は小高い山の上なので、とても見晴らしがいいですラブラブ

 

 広場の端にある“本丸井戸”。本丸広場はもともと南の端と北の端にそれぞれ峰を持つ谷で、その谷間を埋め立てて造成したものだそうです。この井戸はその谷底にあった泉を井戸に仕立てたもので、本丸造成の過程を知る資料としての価値もあるそうです。

 

 松山城のマスコットキャラクター“よしあきくん”が立っているところからは、松山城の特徴でもある“連立式天守”の様子を一望することができます。連立式天守とは天守、小天守、櫓を四方に配置して渡櫓(わたりやぐら)でつなぐ築城方法で、防御に長けているそうです。ちなみにマスコットキャラクターの“よしあきくん”という名前は、松山城の初代城主加藤嘉明公からつけられたそうですよ。

 

 本丸広場から松山市街を眺めます。遠くには瀬戸内海も波

 

 天守の足元にあるきっぷ売場から先が“本壇(ほんだん)”という城の中枢部となり、見学には大人520円の天守観覧券が必要です。

 

 波打つ鱗ような石垣がおもしろいビックリマーク正面には“紫竹門(しちくもん)東塀”があるので、必然的に右折することになります。

 

 虎口(こぐち)をさらに右へ。正面の“大天守”を目指します。
 
image
 本壇最初の“一の門”です。
 
image

 振り返ると、石段の上に一の門からつづく“一の門南櫓”が見えます。

 

image

 一の門をくぐり左折するとすぐに現れる“二の門”。

 

image

 さらに左に折れると“三の門”。

 

 三の門を右折すると現れる“筋鉄門(すじがねもん)”は、天守玄関のある“天守中庭”を守るとても重要な門だそうです。門柱を補強するために鉄板を打ちつけてあるところから筋鉄門と呼ばれ、三の門から駆け上がってくる敵を正面から攻撃できるようになっています。

 

image

 筋鉄門の左手の“小天守(こてんしゅ)”。

 

 筋鉄門の先は小天守からつづく“多聞櫓(たもんやぐら)”“南隅櫓(みなみすみやぐら)”“十間廊下(じゅっけんろうか)”“北隅櫓(きたすみやぐら)”でぐるりと囲まれた“天守中庭”です。ここに入ったら、もはやどこを見回しても四方八方から狙われて逃げ場なしビックリマークの状況です。

 

image

 左の唐破風(からはふ)の屋根のところが松山城の“天守玄関”で、見学者は右手の天守入口から入ります。ロープウエイを下りた長者ヶ平(ちょうじゃがなる)からこの天守入口まで、写真を撮りながら歩いて30分かかっています。

 

image

 見学者入口を入ったところは大天守の地下1階で、靴を脱ぎ階段で1階へ上ります。

 

 玄関多聞櫓、北隅櫓、十間廊下、南隅櫓、小天守と、内部を回れるようになっています。

 

image

 初代藩主加藤嘉明公が着用された鎧兜(よろいかぶと)。「角頭巾形鳥尾飾兜(すみずきんなりとりおかざりかぶと)」「漆塗佛胴六間草摺素懸威鎧(うるしぬりぶつどうろっけんくさずりすがけおどしよろい)」という長~い銘がついていますが、それよりも、兜につけられた鳥の羽根飾りのほうに目がいきます。

 

image

 十間廊下に展示されている総螺鈿(そうらでん)の槍や刀剣も見ごたえがあります。

 

 小天守1階では「松山城収蔵品で楽しむ吉祥図像」という企画展も開催されていました。

 

 小天守の2階へ上がります。

 

 小天守内部。

 

 小天守から見える本丸広場と松山市街。

 

image

 つづいて北隅櫓(きたすみやぐら)の2階へ。階段は急で狭いので、譲りあって上り下りしなければなりません。

 

image

 北隅櫓の内部には歴代城主の家紋がありました。写真が切れていますが、左から蛇の目紋の加藤家、次の左三つ巴紋が加藤氏の後に入府した蒲生家、つづく三つ葉葵の紋は徳川家で、嗣子のなかった蒲生氏に代わり家康の甥の徳川定行が伊勢桑名から移封して来て、以降15代234年にわたって松平氏の治世が続いたそうです。最後の星梅鉢紋は、明治になり当時の城主松平勝成が松平姓を返上し旧姓に戻った久松家の家紋だそうです。

 

image

 北隅櫓からは天守中庭がこのように見えます。

 

 大天守の1階に戻って

 

 天守2階から3階へ上ります。

 

image

 天守の最上階に着きましたラブラブ

 

 360度のパノラマ~~音譜

 

 

 

 

 下りは怖いぞ爆  笑あせる

 

 帰りは入ってきた筋鉄門(すじがねもん)とは反対側の“内門”から出ます。

 

 内門から桝形(ますがた)になってつづく“仕切門(しきりもん)”。城の北側の守りもがっちりと固いです。

 

 仕切門を出ると正面に神社建築のような建物があり、これまで見てきた堅牢な門や櫓とはまったく違う雰囲気にちょっと戸惑うのですが、案内板には“天神櫓(てんじんやぐら)”と書かれています。それによるとここは鎧兜を保管する具足櫓(ぐそくやぐら)だったもので、のちに藩主松平家の遠縁にあたる菅原道真公を祀り天神像を安置したので、天神櫓と呼ばれるようになったそうです。

 

 大急ぎで本壇を一回りして、ふたたび全景を眺めます。昨年(2022)暮れの出雲旅で訪れた松江城(島根県松江市)と同じく、松山城も国内現存12天守のひとつだそうです。

 

 奥につづくのが城の裏手にあたる“搦手(からめて)”を守る“乾門(いぬいもん)”とその続櫓(つづきやぐら)です。

 

 時間が押しているので、下りはすぐに乗れるリフトで帰ります。両方乗ってみましたが、お天気のいい日はロープウエイよりリフトのほうがだんぜん気持ちがいいです晴れ

 

 そして松山城からほど近い“坂の上の雲ミュージアム”と“萬翠荘(ばんすいそう)”にも行きたかったのですが、この日は月曜日でどちらも休館・・・汗。事前に調べもせず行き当たりばったりのわたしたちは、よくこういうヘマをやらかしますあせる。いずれにしても飛行機の時間が迫っていてどちらか一方にしか行けなかったと思うのですが、これでしっかり記憶したので(笑)、再訪のときは必ず月曜日を避けて来ようと思います。

 

 休館日のせいか、坂の上の雲ミュージアムにも萬翠荘にも工事車両が入っていました。

 

 どちらもほんとうに、見たかったなぁ~照れ

 

 ロープウエイ街を歩いていたら、噂には聞いていた「みかんジュースが出てくる蛇口」を発見オレンジニコニコオレンジ!!。ほんとに、あるんですねぇ~。

 

 松山空港にもオレンジど~んとみかんジュースタワーオレンジビックリマーク。たしかにホテルで飲んだみかんジュースも、うちで飲むのとは濃さが全然違ってほんとうに美味しかったですラブラブ

 

クローバー チューリップ黄 クローバー チューリップ赤 クローバー チューリップ紫 クローバー チューリップピンク クローバー チューリップオレンジ クローバー

 

 二泊三日の駆け足旅ではありますが、お天気にも恵まれて、はじめての四国、はじめての愛媛を存分に楽しませていただきました。帰途には早速「四国八十八か所めぐり」のガイドブックを手に入れて、八十八か所から御礼参りの高野山まで、実際にどのように回ろうか、まずはイメージをふくらませてみたいと思っています。

 

 

音譜音譜音譜 yantaro 音譜音譜音譜