東映特撮YouTube Officialにて『仮面ライダービルド』最終話が現在配信中ですが、この作品は本放送の時にも、「財界の巨大企業が戦争勃発に絡んでくるってリアリティあるなあ」と感心したのを記憶しています。
今般の配信、『仮面ライダードライブ』の配信が満了して放送順で『仮面ライダーゴースト』にいくのかな?と思っていたら、あいだの作品をすっ飛ばして『ビルド』配信が開始されたので、私個人としては「ああ、現在の世界情勢を鑑みて...だと仮定したらなんだか納得がいく」と感じてたりしたんですよね、今般の『ビルド』配信を知ったときに。
『仮面ライダービルド』、改めて視聴してみると、
・財界人にとっては戦争はビジネス対象
・紛争当事国の首脳も往往にして財界・軍産複合体や第三勢力の手のひらで踊らされてる
・科学技術の軍事兵器転用と平和利用は常に紙一重
・戦争とメディア操作
・明らかな侵略行動と、その解釈を免れ得る行動の各レイヤーの違い
・世論はプロパガンダに誘導されやすい
...等々、現実で実際に起こっている「戦争というものを形作る要素」をしっかり織り込んでいた力作だと思います。
我々庶民は基本的に「平和な世界にある日突然侵略者がやってきた」という触れ込みを信じてしまいがちなのですが、現実に起こった過去の紛争・戦争における個々の開戦への経緯を改めて掘り起こしてみると「実は財界人の金儲けのためだった」とか「背後には決まって西側エスタブリッシュメントの影が」みたいなことが近現代戦争・紛争には実はゴロゴロしており、メディアが垂れ流し世論が同調してしまいがちな「どこそこが悪だ!その悪が侵略の根源だ!」というたぐいのシュプレヒコールに安易に乗ってしまってはいろいろ見間違えてしまうな......という危機感を持つに至りました。
そういうわけで、多方面多分野に調べの手を伸ばさないといけなくなってしまうわけで、少しずつ確認や調べ物を継続しているわけです。いろいろ調べることで、一見関連なさそうな別分野や別行動の中に互いに重複して「浮き彫りになってくる」ものが立ち上ってきて、そこに人間にあまねく共通する心理的な動機や行動原理を当てはめてさらに考察を深めていくわけですが......。
そういう深読みをしていくとより一層魅力を味わえる『仮面ライダービルド』の東映特撮YouTube Official公式配信、やっぱり昨今の国際情勢を鑑みて...だと個人的には思ったりします(勝手な想像です)。
誰が正しくて誰が正しくないのか、という単純な対立構造の中におそらく真実など存在せず、現実の世の中はもっと物事や関係者が複雑に入り乱れており、『ビルド』もそういったことを描き出しているので、せっかくだから現実の世の中も『ビルド』世界を解剖して解釈していくような目で見ていくと、もっといろいろなものが見えてくるのだと思います。
世間では陰謀論として片付けられがちな「軍産複合体」という言葉にしたって、アメリカ合州国第34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワー(連合国遠征軍司令官、米国陸軍参謀総長、NATO軍参考司令官を歴任)が自身の大統領退任演説において軍産複合体の存在に言及し、その拡大に注意するよう警告していたわけですから、私としては陰謀論として片付けてよい話でもないと考えています。
『ビルド』世界においては難波重工が軍産複合体に相当するポジションを占めるわけですが、そういう「ビジネス、お金の流れ」を以って世界を観察してみることはとても大事なのだと思います。
こういう複雑な要素が絡む命題を描こうと『ビルド』は頑張っていたように感じます。
改めて高く再評価したい所存です。