X(旧Twitter)に投稿した、ルポルタージュ書籍『絶望の移民史』の自己感想の転載です。
読了日1/11:『絶望の移民史―満州へ送られた「被差別部落」の記録』 不況による日本人の出稼ぎから満州国建国という国策による移民送出、日帝の敗戦により集団自決をはかるまでの、差別被害と苦渋苦難の歴史が、ある集落の目を通して如実に描き出されているルポルタージュ。
2)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 16, 2024
読むにあたっては、ドキュメンタリー『満蒙開拓団』を以前に視聴済みだったので、『絶望の移民史』に名前が出てくる東宮鐵男のこともドキュメンタリーのほうで先に名前を知っていた也。https://t.co/k5pofy8orQ
読むにあたっては、ドキュメンタリー『満蒙開拓団』を以前に視聴済みだったので、『絶望の移民史』に名前が出てくる東宮鐵男のこともドキュメンタリーのほうで先に名前を知っていた也。
3)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 16, 2024
同書で印象的だったことのひとつが「満州移民の計画に消極的な態度を取り続けていた高橋是清が2.26事件で死亡、事件後発足した広田内閣が満州移民を国策のひとつに含めた」というくだり。5.15事件も含めて「本当に軍部だけの暴走だったのか?」と疑いを持たざるを得ない心境になっている。
同書で印象的だったことのひとつが「満州移民の計画に消極的な態度を取り続けていた高橋是清が2.26事件で死亡、事件後発足した広田内閣が満州移民を国策のひとつに含めた」というくだり。5.15事件も含めて「本当に軍部だけの暴走だったのか?」と疑いを持たざるを得ない心境になっている。
4)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 16, 2024
憶測の域を出ない仮説でしかないが、2.26事件も5.15事件も「拓務省と軍部の結託」の可能性を考えてしまう。https://t.co/Jjs1edrjHT
憶測の域を出ない仮説でしかないが、2.26事件も5.15事件も「拓務省と軍部の結託」の可能性を考えてしまう。
5)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 16, 2024
日本の「部落差別の構造」から抜け出した移民は移民先満州で差別からも切り離された側面があるかもしれないが、それが「土地を取り上げられ追い出された満州の中国人」の犠牲の上にできあがる...という構造は追い出された側のことを考えると読んでるこちらもつらい気持ちにさせられる。
日本の「部落差別の構造」から抜け出した移民は移民先満州で差別からも切り離された側面があるかもしれないが、それが「土地を取り上げられ追い出された満州の中国人」の犠牲の上にできあがる...という構造は追い出された側のことを考えると読んでるこちらもつらい気持ちにさせられる。
6)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 17, 2024
満州に送り出された移民達に与えられる土地と住宅の規模に階級的区別を設けず公平性が割と高かったらしいあたりに、国家社会主義者だった岸信介の思想が影響したのか否かが、読みながら個人的にはちょっと気になった次第。
満州に送り出された移民達に与えられる土地と住宅の規模に階級的区別を設けず公平性が割と高かったらしいあたりに、国家社会主義者だった岸信介の思想が影響したのか否かが、読みながら個人的にはちょっと気になった次第。
7)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 19, 2024
内地(日本列島)の差別構造から解放された日本人側が、実は「追い出した中国人を下に敷いている」状況に往往にして気づけていないのが甚だ残念に感じる。人によってはそれを察知し理解するのが悪気がなくとも難しい、という現実は人間として何とも悲しく感じるものがある。https://t.co/c0GwUjfbEz
内地(日本列島)の差別構造から解放された日本人側が、実は「追い出した中国人を下に敷いている」状況に往往にして気づけていないのが甚だ残念に感じる。人によってはそれを察知し理解するのが悪気がなくとも難しい、という現実は人間として何とも悲しく感じるものがある。
8)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) January 19, 2024
「現地中国人に日本語を覚えさせてこき使う」のか、「開拓団の側が積極的に中国語を覚えて現地人と仲良くしようとする」のか、で実は日帝敗戦後の運命の明暗が如実に別れた。身につまされる教訓である。https://t.co/pfOouUoEy0
「現地中国人に日本語を覚えさせてこき使う」のか、「開拓団の側が積極的に中国語を覚えて現地人と仲良くしようとする」のか、で実は日帝敗戦後の運命の明暗が如実に別れた。身につまされる教訓である。
9)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 3, 2024
近代日本の在外移民史は「帰国することが前提の有期出稼ぎ」で始まっていたはずが、帝国主義化による植民地政策が推し進められるにつれて「移住した先に定住して領土拡大していく」日帝政府の政策と結びついていくようになった的な記述。それは日帝が自ら戦局を切り開いたことで強まっていった感。
近代日本の在外移民史は「帰国することが前提の有期出稼ぎ」で始まっていたはずが、帝国主義化による植民地政策が推し進められるにつれて「移住した先に定住して領土拡大していく」日帝政府の政策と結びついていくようになった的な記述。それは日帝が自ら戦局を切り開いたことで強まっていった感。
10)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 4, 2024
本書『絶望の移民史』における主要ロール・来民開拓団は日帝敗戦後の満州で1名を除いて集団自決をはかるのだが、満州での日帝敗戦直後の被害を考えるにあたってはこの”集団自決”のことを忘れてはいけないと思う。日帝の戦陣訓から考えると、集団自決の犠牲のほうが多い可能性が考えられるからだ。
本書『絶望の移民史』における主要ロール・来民開拓団は日帝敗戦後の満州で1名を除いて集団自決をはかるのだが、満州での日帝敗戦直後の被害を考えるにあたってはこの”集団自決”のことを忘れてはいけないと思う。日帝の戦陣訓から考えると、集団自決の犠牲のほうが多い可能性が考えられるからだ。
11)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 6, 2024
戦後の1966年、満州開拓史刊行会によって『満州開拓史』が出版されたが、平川守や加藤完治が寄せた序文が「最後は悲惨な結末」と評し「開拓の実績」と褒めながら、開拓民への謝罪の意思が見えなさそうなのに呆れるより他ない。彼ら自身が進めたプロジェクトで甚大な数の犠牲が出たというのに。
戦後の1966年、満州開拓史刊行会によって『満州開拓史』が出版されたが、平川守や加藤完治が寄せた序文が「最後は悲惨な結末」と評し「開拓の実績」と褒めながら、開拓民への謝罪の意思が見えなさそうなのに呆れるより他ない。彼ら自身が進めたプロジェクトで甚大な数の犠牲が出たというのに。
12)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 6, 2024
満州での日本人の犠牲を他国のせいにしたがる日本人の意見を時々見かけるが、そもそも「墾屯軍」を編成し100万人以上の人間を「開拓」と称して勝手に日本領土外に送り込んだのは日帝の側だった、という前提がすっぽり抜け落ちてる。犠牲の原因を作ったのは日帝側だ。https://t.co/3d32sJNjum
満州での日本人の犠牲を他国のせいにしたがる日本人の意見を時々見かけるが、そもそも「墾屯軍」を編成し100万人以上の人間を「開拓」と称して勝手に日本領土外に送り込んだのは日帝の側だった、という前提がすっぽり抜け落ちてる。犠牲の原因を作ったのは日帝側だ。
13)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 6, 2024
開拓団が集団自決するに至ったのは、はした金で土地建物を売らされるか関東軍に武力で自分の土地を追われ匪賊扱いされた上に開拓団の下で働くより他なかった地元中国人達の報復襲撃によるものが中心で来民開拓団と(離れてはいるが)隣の開拓団の場合も襲撃したのはソ連兵などでは決してない。
開拓団が集団自決するに至ったのは、はした金で土地建物を売らされるか関東軍に武力で自分の土地を追われ匪賊扱いされた上に開拓団の下で働くより他なかった地元中国人達の報復襲撃によるものが中心で来民開拓団と(離れてはいるが)隣の開拓団の場合も襲撃したのはソ連兵などでは決してない。
14)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 6, 2024
関東軍は1945年5月の時点で開拓団達を置き去りにして前線を後退。前線は開拓団自身が防衛を押し付けられていた。敵兵だの何だの言う前に、民間人はもとより日本の公爵家出身だった嵯峨浩さえ置き去りにして逃げ出した関東軍の責任を問うのが先だと思うのだが。https://t.co/uoAO3YJnX9
関東軍は1945年5月の時点で開拓団達を置き去りにして前線を後退。前線は開拓団自身が防衛を押し付けられていた。敵兵だの何だの言う前に、民間人はもとより日本の公爵家出身だった嵯峨浩さえ置き去りにして逃げ出した関東軍の責任を問うのが先だと思うのだが。
15)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 6, 2024
これ↓読むと報復してきた中国人が悪いと言いかねない人も出そうだが、逆の立場になったら...と考えると気持ちはわかる。こんな酷い目にあって、無理やり日本語まで覚えさせられたのではたまったものではない。(それでも襲撃を先に知らせてくれた中国人も複数いたそうだ)https://t.co/As30tJbITL
これ↓読むと報復してきた中国人が悪いと言いかねない人も出そうだが、逆の立場になったら...と考えると気持ちはわかる。こんな酷い目にあって、無理やり日本語まで覚えさせられたのではたまったものではない。(それでも襲撃を先に知らせてくれた中国人も複数いたそうだ)
16)
— 阿香(Axiang) (@qingxiang_wushu) February 7, 2024
送り出される側がいれば当然それを送り出す側の仲介者も存在する。送り出す人数にノルマがあった。敗戦直前まで開拓民を送り続けるという日帝政府の愚行がなければ、犠牲者はもっと少なかったかもと思うといたたまれない。https://t.co/JKkngJFiyr
送り出される側がいれば当然それを送り出す側の仲介者も存在する。送り出す人数にノルマがあった。敗戦直前まで開拓民を送り続けるという日帝政府の愚行がなければ、犠牲者はもっと少なかったかもと思うといたたまれない。