この日は午前から、リピートのお仕事が一件入りました。
とある印刷工場での日英翻訳のお仕事です。半年あまり前に弊社に依頼してくださったところが、必要があって我々をまた呼んでくださいました。(感謝感謝)

ここでの前回のお仕事は、ヒゲ氏の機械知識と私の英語力(印刷の基礎知識も実は多少アリ)によってその場での特急翻訳が可能だったわけですが、その機械知識のおかげで「これは現状では工場内では解決できない」という問題点を我々が発掘してしまったのです。

翻訳自体はちゃんと仕上げましたから、そのお仕事単体に対してのギャラはクライアントさんはきちんとお支払いしてくれましたが、いちおう日本人のはしくれである私達はそれだとどうも気持ちがよくありません。我々のせいではなくて、機械側の「とある」不備が問題なので、気にしなくとも良いかもしれませんが、でもそれでは何だか納得がいかないので、その現場を離れる前に「トラブルシューティングのフローチャート」を書いて、工場のスタッフさん達にお渡ししておいたのです。「日本側の会社に問い合わせるくらいのことはできますから、必要なら連絡してください」との言葉を添えて。

そこから半年以上が経過していて、時たま思い出しては「あれ、どうなったかなぁ?」と心配していたヒゲ氏と私でしたが、今回呼ばれて行ってみると結局機械は入れ替わっていた、という顛末に。(輸入品の大型備品を入れ替えるのがインドでどれだけ大変なのかを想像して、思わずシンパシーを感じてしまいました。大変だったでしょうに……)
工場側も前回の反省を活かして、通常のインド式に「こことこれだけでいいよ」とするのではなく「手引きにある操作フローをぜんぶ訳してください」との注文を出してきたので、持ち帰らずその場で特急でやる関係上二人とも脳味噌回転させての作業。
それでも元の原稿量がかなり増えたので前回の二倍あまりの時間を費やしました。

とはいえ、お茶菓子もお昼ご飯もきちんと出していただき、(お昼ご飯は人気のレストランでわざわざ買ってきてくれたのでそのお気遣いに恐縮しまくりでしたが)今回は機械が問題なくちゃんと稼働し始めたので、前回のようなことにはならずホッとしました。
工場の皆さんも役員さん含めて全員が「機械が動いたー!」と大喜びしており、その笑顔が「役に立って良かったなぁ」という気持ちにさせてくれました。
原稿量と労力が前回より増えた分、ご馳走になったご飯の分を気持ちわずかに差し引いて、とはいえ割増請求させていただきましたが、社長さんもニッコニコの笑顔で気持ち良くご清算いただきました。

自分達の仕事が役に立つのは日本人として嬉しいし、クライアントさんが喜んでくれると嬉しいし、そのお仕事を評価してくれてこちらの請求を値切らずに清算してくれると、「よし!ここのお仕事があったら、また頑張ろう!」という気持ちになりますから、いいお仕事と言って良かったんじゃないかなぁと思います。
(結構これが難しいんですな。インドに限った話ではありませんが。日本も例外ではありませんし)