武術教室指導の最中に携帯に問い合わせの電話がかかってきました。と言っても、教室への問い合わせではありません。
「ある物品を売却するお手伝い=物品売却情報を発信して見込み客を獲得する、いわば営業代行」のお手伝いをしておりまして(当然、弊社定款に含まれている業務です)、その発信情報へのレスポンスです。
電話の主は未見の某インド人男性。

インド人「売却情報見たんだけど、品物はまだあるの?」
私「実は、現品自体にはすでにダブル・トリプルブッキング状態になっていて、お問い合わせいただいた皆様にはキャンセル待ちをお願いしています」
インド人「即金でお金払うから頂戴よ」

出ました、「即金でお金払えばいいんでしょ攻撃」。
ヒゲ氏とワタシ的に言えば、時系列でひとまず仮受付をして、先着順とその見込み客が実際に購入するかどうかとの兼ね合いで、できる限り「我々なりに公平に処理する」ことを心がけているわけですが、思ったよりも多い人数からの問い合わせがポツポツ寄せられる経緯となり、このインド人男性のようなセリフを何度となく聞くこととあいなりました。

はっきりと「在庫あるだけ全部購入します」と明確な回答を寄せてきて、実際に売却する会社への取次を粛々と進めつつも、何せインドですからリスクヘッジのためにキャンセル待ちの問い合わせは受け付けていたため、「大変恐れ入りますが、現在キャンセル待ちをお願いしてる状態です」と伝えると……
「僕同じ街にいるんだけど、すぐ行って即金で払えばいいんでしょ」
「今から行ってお金払うから僕に売って」
などのセリフが複数の人からポンポン飛び出してきます。

「いえ、ですからお問い合わせいただいた皆様に公平に対応したいので、先着順で売約意思を最初に表明された方を優先しております。もしキャンセルが出た場合にはご連絡させていただきますので…」
と説明しても、聞いてくれないったらありゃしない。
(^^;;

「だから、いいじゃんお金払えば(順番なんて)」

いえ、あの、ですからねー…
(^^;;
と最初は思っていたわけですが、問い合わせ電話を複数受けているうちに、そういう発言が一人や二人ではないことを発見。
ヒゲ氏に業務連絡で「また来た……「お金払えば」発言(^^;;」と何回報告したことか。
(^^;;

んで。

この日のこの見込み客氏にも、同様のキャンセル待ち状況を説明したのですが、
「Which country?(どこの国の人?)」
と訊かれ、
「Japan. I'm Japanese. (日本です。私は日本人です)」
と答えると、次の瞬間電話の向こうから聞こえてきたのは、
「Negro?(黒人か?)」

…………………………え??????
(O_O)

我々日本人は現存の人種構成からみて基本的には「黄色人種」のカテゴリーに入りますから、どうしてここで「黒人」という単語が返ってくるのか単純にわかりません。
なので訊き返します。

ワタシ「Negro means?(黒人、ってどういう意味ですか?)」
インド人「Negro, N-E-G-R-O. Are you Negro, right?(二グロ(黒人)だよ。二・グ・ロ!あなた黒人でしょ?)」

……………ますます持って理解不能に陥る私。
(O_O)
いやワタシ黄色なんですけど……
(^^;;

ワタシ「Excuse me, I don't get the point. Negro means what? (すみませんが、要点が掴めないのですが。黒人、とはどういう意味ですか?)」
ともう一度確認しようとすると、
インド人「Ah, Negro cheat. Then, OK, fine. (あー、二グロ人種は騙すから、もういいや)」
と電話はあっさり切られてしまいました。

日本という国の実態や日本人の生活実態などを知らないまでも、インドでは日本人とわかるとやたらめったら妙にペコペコし出したり馴れ馴れしくする人にたくさん遭遇(しかもほぼ決まって男性)してきたので、この反応は何というか………
斬新でした。

どうして黒人?
(^^;;
と苦笑いしつつ指導に戻り、(その時点のクラスの生徒が全員成人だったため)
「日本人って言ったら、「Negroか?」って言われちゃった(^^;;」
と反応を求めてみると、全員ブブッと失笑。
「何故???」
「さあ………」
「何故日本人=黒人?(笑)」
私「ねぇ、私達(日本人は)黄色なのに」
「ですよね」
「ウガンダ人とかがインドへ来て騙すから、それじゃないのかなぁ。」
(インド人を騙すなんてウガンダ人スゲー!上を行ってるじゃん!などと失礼なことが頭をよぎったのは公然の秘密です)

そりゃまぁ、黒人さんといえどもオスマン・サンコン氏やボビー・オロゴン氏らは日本人といって差し支えないわけですが、それにしても単純に「日本人=二グロ、という発想における脈絡がつかめない」ために、出てくるのは苦笑いだけでした。

練習終了後帰宅してこのことをヒゲ氏に報告すると、
「なんで?」
とこれまたキョトーンな反応。
「さぁ……? でも面白いよね、そういう反応も」
とコメントしていると、ふとヒゲ氏が
「ジャマイカとかと聞き間違えたかもな」

ああ、JAPANESEとJAMAICAね。インド人早とちり多いから絶対無いとは言い切れないかも。
「まぁ…ジャマイカと聞き間違えたのもあるだろうけど、バガルコットの子供達と一緒なんだろうねぇ。日本という名前は知ってても、日本が世界のどこにあって、日本人がどういう人種か世界の大半は知らないしねぇ
(『2013/10/28(月) アメリカ人じゃないってば』 参照) 」
そうです、黄色人種といえば世界のあちこちで存在感あるのは日本人じゃなくて中国人ですし(キリッ

とまぁ、ワタシ的には面白かったから何もイヤな思いはしていないのですが、ヒゲ氏曰く
「でも、相手をすぐ二グロよばわりするような差別心強いヤツは無理にかまわなくていいと思うぞ」
とのこと。
相手方の早とちりからくる勘違いとはいえ、相手方サイドも「もういいや」と購入意思を自ら撤回したのでキャンセル待ちに無理に入れる必要もありませんから、確かにその通りです。
同じ黒人でも、「どこの国の人?アフリカ大陸のどこかですか?」という訊き方ならまだ角も立ちませんから、その方自身が無駄に機会損失しなくて済む、とは思うのですが、インドでは黄色人種を十把一絡げで中国人呼ばわりし、相手が中国人だと思い込むとやたらめったら見下して不遜な態度を取る男性にかなり遭遇してるので、たぶんそういうタイプのかただったのだろう……と推測しています。あくまで推測ですけど。
で、もし近場の人だとすれば、たぶん我々も行くたびに中国人扱いされて嘲笑される、お隣さんの州の人じゃないかなーとこれまた勝手に憶測しています。
私の知る限り、マンガロールがあるカルナータカ州出自の人間は、一般肉体労働者レベルでも教育教養レベルが高いとはいえない階層でも、「中国人だからと差別したり嘲笑したり」というのは基本的にはあまりしない傾向にあるように感じます。
(逆にお隣さんは凄いw 知らないというのは機会損失につながるなぁ…とお隣さんに行くたびに学ばせていただいておりまする)

何にせよ、何気ない一言だったり対応から、いろいろと感じたり考えさせてもらったり学ばせてもらったり…は、世の中いろいろと多いですね。
学ばせてもらって、何かに気づく、何かを感じ取る、ということをいつまでも忘れずにいられるようにありたいものだな、と思う次第です。