東北関東大震災(東日本大震災)を発端に起こった東京電力福島第一原子力発電所事故。

事故発生当初から「チェルノブイリほどひどくない」だの何だのいろいろと意見が錯綜し、チェルノブイリが位置づけられている「レベル7」にも結局到達してしまい、もうすぐ3か月になろうというのに収束の気配なし、もとい収束のめどが「まったく立っていない」のが実情なわけですが......。

『ENE NEWS(Energy News\エネルギーニュース)』というサイトの6月2日(木)付けのニュースにてこのような記事を発見。

「Nuclear engineers urging IAEA to create “Level 8″ on INES scale for Fukushima」

http://enenews.com/nuclear-engineers-urging-iaea-to-create-level-8-on-ines-scale-for-fukushima

要するに「原子力技術者たちがIAEA(International Atomic Energy Agency/国際原子力機関)に対し、国際原子力事象評価尺度の「レベル8」を(福島の事故に対して)設定するべきだと勧告した」という記事。
※国際原子力事象評価尺度(こくさいげんしりょくじしょうひょうかしゃくど、INES、International Nuclear Event Scale)とは、原子力事故・故障の評価の尺度。

私はこの6月2日(木)の夜10時過ぎに今月から短期就業での派遣ワークの研修(コールセンター研修)の帰り道でぼんやりと「レベル8になりそうな気がするんだよなぁ...」と「生まれてこのかた外れたことがない」予感を感じていたわけですが...。

またしても当たってしまって大変に嬉しくないのであります。
だって、悪い話題なのですから、当たらないに越したことはありません。
そりゃあ、悪いことを察知できればあらかじめリスクを避けられる可能性が出てくるわけですが、悪いことが現実化してほしいわけではないので、気持ちとしては「当たった」と喜べるはずもありません。

いまだにマスクひとつせず内部被曝に留意ひとつ払わない周囲に戦々恐々しつつマスク&雨濡れ厳禁だけでも最低限注意している私ですが、事故が発生してまもなく「これはチェルノブイリを超えるぞ」と思っていました。

なぜならば。

原発事故で日本でもよく知られているのは米国スリーマイル島と旧ソ連・現ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所事故のふたつ。
(調べてみたら、事故発生当時の報道が隠されていた事故が日本を含め世界のあちこちで出てきてゾッとしたわけですが)
単純な事故の比較はできないのですが、

<事故発生から収束までの期間>
スリーマイル島原発:2時間20分
チェルノブイリ原発:9日間
東電福島第一原発:すでに3か月近く収束せず。収束のめどは現時点で立っていない。

<事故を起こした炉の数>
スリーマイル島&チェルノブイリ:1基
東電福島第一:4基、うち1基はプルサーマル(プルトニウム使用)

という、単純に並べてみてもダントツのひどさ。
(と少なくとも感じます)

しかも、給水回復できたスリーマイル島や、大量の犠牲者を出しながらも石棺化できたチェルノブイリと違い、東電福島第一は冷温停止もできず、石棺化もできず、じりじりと事態が悪化していくような状態です。
これでレベルが新設されないほうがおかしい、とある意味思ったりもしていました。

小学生の頃から、サリドマイド児が主人公の映画や『はだしのゲン』の劇場版アニメやコミックスなどを読みシンパシーを強く覚えつつも、行動でしっかりとコミットしてこなかった自分を今般の事故で猛反省し、自分へのリスクを少しでも把握しようと原発や被曝についてのべ400時間余り費やして本・ドキュメンタリー・体験者の講演・論文などを調べまくったわけですが......。

原爆製造や原子力エネルギーなどの核開発によって発生する被曝に「安全な被曝などない」ということだけが導き出されてくるだけでした。
政府などが安全と思わせるために外部被曝と内部被曝を一緒にして「だから安全です」などと論じていますが、利権や利害関係がない、在野の良心的(と思われる)被曝研究の専門家や医師たちは誰ひとりとして「安全ですよ」と明言してはおりません。
設定されている「閾値(しきい値)」は、「大丈夫という値ではなくて、“社会的な尺度で我慢できる値”です」ということなのだそうです。

<参考:関西テレビの報道より>


みずからも広島の原爆投下で間接的に内部被曝をし、それ以来60年間ずっと被曝者支援に自分の人生をささげ続けてきた肥田舜太郎先生も、4月の時点で福島県在住者に被曝の初期症状が出ている人がいることを、実際に診察されて確認しておられます。
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チェルノブイリ原発事故での犠牲者数も、WHOやICRP(International Commission on Radiological Protection/国際放射線防護委員会)は原発推進派と何らかの利害関係や取決めがある様子なので、閾値の設定の甘さとともに実態よりも相当少ない発表と見受けられるのですが、事故現場の風下に位置しているベラルーシ共和国での晩発生障害と見られる癌や白血病発症の実態はドキュメンタリーを第三者として観るだけでも絶望感しか湧いてこないような状態です。

こういうことは、ベラルーシやウクライナだけではなく、チェルノブイリ事故の影響はヨーロッパ全体でも「ドイツは野生のイノシシを食用してはならない→今でも放射性物質が検出されるため」など広範にわたったため、東電福島第一の事故にも「汚染の恐怖やリスクにかかわった経験があるからこそ海外が大騒ぎ」したわけですが......。
イラクの劣化ウラン弾や、米国ハンフォード核処理施設、また国内外の原発の通常運転でも近郊住民に癌や白血病や流産などが多発していることも調べて知ってしまうと、
「大丈夫だよ~」
と安全安心と思い込んでしまうことこそが、自分自身にとって最大最悪のリスク、に思えてしまって仕方ないのです。
それを知ったうえでどのような対応や行動を起こすのか、また起こさないのか、は各人各様なのですが、危機感がない人だらけに見えてしまうのが私としてはとっても怖くて心配です。

あまり大きく報道されてはいませんが、東電福島第一事故発生以降、事故そのものを隠しにくい雰囲気になっているらしく、「敦賀で億ベクレル漏れた」「もんじゅの引き上げで配管爆発」とか、日本のあっちこっちで「おいおい!」と思うようなことも頻発しているわけですし。
私が小さい子供の頃はこんなに癌で死ぬ人いなかったのに......という記憶とともに、今後の日本の人口構成比がどうなっていくのかを考えると、とてもじゃないけど明るい気持ちにはなれません。

かといって、そこから目をそらして見ないふりをしていればますます危険なわけで......。
しんどいこと自体には、人生でブチ当たりすぎて慣れている(苦笑)ので、「大丈夫大丈夫♪」という方向へ流されていかないように、だと自分自身に対してはずっと思っているし、それを忘れてはいけないと思う次第です。

広島長崎の原爆に始まり、第五福竜丸のビキニ環礁被曝、水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく、スモン病、サリドマイド、薬害エイズ、ダイオキシン、アスベストなどなど、などなど......過去をおさらいしてみても「日本政府は人命軽視の歴史を塗り重ねている」のが、私には痛いほど感じられるので、政府が「安全」を強調しても、どう安全なのかを調べて自分の受け取り方を決めていく所存です。


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