講義形式の授業を受けるときに。
予備校の授業が始まったばかりのいま,わかりやすい授業を聞いて安心している人が多いと思います。
このご時世に大手予備校にいる講師ですから,ある一定以上のレベルにいる方々ばかり。
わかりやすいのは当たり前です。
そうでない講師はとうの昔の淘汰されています。
つきましては,講義がわかりやすいからといって安心しないでくださいね。
わかりやすくて当たり前ですからね。
これは「わかる」と「できる」の違いの話にもなりますが,勉強は授業を受けることだけではありません。
むしろ,その前と後の方が本番。
疑問点をはっきりさせておくために予習をしておく。
理想は問題を解いておくこと。
英語ならば問題を解くのはもちろん,短い文章なら和訳・英訳しておくこと。
数学なら,問題を一問20分を目処に解いて見ること・・・解答を作るのにどれくらいかかるかわからないのが普通なので,ある程度の時間で区切っておくのが賢い。
理科も一問20分で問題を解いておくこと。
もちろん,全部解けないといけないわけではありません。
解けるのなら,予備校にはいないはずです。
一番上のクラスのそのまた上を除けば。
「何で落ちたの」レベルの人,のことですね。
受験界の「超サイヤ人」の類。
普通は解けない問題があるはずです。
解けない問題を見つけておきましょう。
ここで一つ。
解けない問題が全体の8割以上ある場合,あなたはそのテキストを使いこなせない可能性があります。
最初は「7割」にしようと思ったのですが,ちょっと厳しいかなと思い,8割にした次第。
でも,復習のやり方によっては,とてもいい勉強ができると思っています。
さて,授業を受けに行きましょう。
ノート,色ペン,鉛筆かシャープペンシル,消しゴムと修正テープ,定規,もちろんテキストと受講証(学生証)を忘れずに。
とにかく集中して聞いてください。
右利きの方なら,左手にはペンをスタンバイさせておきます。
手元に修正テープや消しゴム,定規。
ノートとテキストを置いて受講します。
ペンは四色くらい使います。
赤は重要事項,青は宿題ややっておかないといけないと思ったことをメモするため,緑は何か参考書を見たり,類題がある場合にメモをするため,黒は講義内容をメモするためにあります。
シャープペンは,先生が話すダジャレをメモするために使います。
え?先生が喋ることを全部書くの???
ええ。それくらいの集中力で聞かないといけませんよ。
高校生だった頃の勉強が甘くて,現役の時は不合格だったのですから。
謙虚な気持ちで受講しましょう。
何一つ聞き逃さないぞ,という気持ちで受講しましょう。
動画受講をしている方に言いたいのですが,スローモーションや巻き戻しは使わないつもりで受講した方がいいです。
そうしないと,90分の講義を聞くのに3時間以上かかってしまうことも。
コロナ禍の時の予備校のオンライン授業の時がそうでした。
1学期の授業の半分くらいがオンライン授業になりましたが,その分の授業をすべて視聴していない状態でライブ授業に突入した子がとても多かったのです。
いや,あるクラスではほとんどの子が半分くらいしか受講できなかったとか。
なんでやねん,と思いますが,皆さんは何でだと思いますか。
巻き戻しができる,なんなら再生速度を遅くもできる。
この安心感がいけない。
聞き逃してもいいや,という気の緩みが出て来ます。
そして小さな画面を見つめている時に起こりがちなのが,寝落ち。
校舎の職員さんから,タブレットを見つめながらこっくりこっくりと寝ている生徒がたくさんいたと伺っています。
動画授業の弱点です・・・。
目の前にリアルの講師がいない。
寝ていても叱られない。
受講生も講師に気を使わなくてもいい。
こんなのだから気が抜けます・・・。
集中して聞くどころの話ではなく,寝ている間に授業が終わっていました・・・ということに。
まぁいいや,また巻き戻して見るから!ってなるかも。
そんなことをしているから浪人するのですが。
ある程度の緊張感はあってもいいと思います。
聞き逃したらいけない,とあなたなりに必死に授業を受けてください。
ノートの字が達筆である必要はありません。
あなたが読めればそれで十分。
板書に書いてあることは最低限書き,それ以外の先生が喋ったこともメモしましょう。
どこどこの問題集のあのページをしておこうね,どこの大学の何番に類題があって・・・といったことをメモしておきましょう。
講義は受験勉強をするための「情報収集」の場だと思いましょう。
わからないことを解決するための場でもあるのですが,それよりも情報収集。
効率よく勉強するためにはどうすればいいのか,先生がヒントをくれるはず。
逆にそれがないのなら,わざわざ授業を受ける必要はないのかも。
授業が終わった後で何をするのかを決めるのが,授業を受けている時にとても大事なことです。
問題の解答を写すだけでは全然意味がありませんからね。
授業を終えた後,復習をするわけです。
どうやってすればいいのか。
もしあなたが解けなかった問題なら,とにかく解答を覚えてしまいましょう。
そして何回でもなぞって解答を頭の中で作ってしまうのです。
この時は講義ノートを見ながらでいいです。
中途半端に自己流の方法を思いつかなくてもいいです。
きちんとした方法を覚えた方が,得るものが多いと思います。
そして,覚えたらその場で解答が書いてあるところを閉じて,自力で問題を解きましょう。
おそらくできないと思います。
特に開講当初は,できないことが多いと思いますし,本気の勉強をしたことがない子が多いと思いますので,それは仕方がないです。
この一問が解けるまでに,何週間かかかるかもしれません。
それでも,その何週間かを耐えて過ごしてください。
なぞって覚えて,自力で解いて,覚え直して,また解いて,まだ解けない・・・なんてことは当たり前です。
一ヶ月くらい,最初の一問が解けなかったという方がいるくらいです。
二問目以降は,進めていくにつれて,解ける問題が増えるスピードがどんどん上がっていきますから,安心してください。
おそらく,勉強をするための「筋肉」がつくのだと思います。
筋力トレーニングで一番きついのは始めた時。
なかなかつかない筋力,起き上がれないくらいの筋肉痛。
でもそれを耐えていると,それまでしんどかったことが楽にできるようになります。
勉強もそうだと思います。
とにかく,復習では,予習時に解けなかった問題を完全攻略してください。
自力で解けるように。
・・・時間はかかります。
夏休みは一学期の復習に当てられると思います。
夏期講習を受けている時間って,実はそれほどないはずです。
一学期のテキストの問題を一つでも解けるようにしてください。
愚直に続けていれば,秋以降に効き目が出て来ます。
この文章を書いているのは,開講間もない4月中旬です。
半年間頑張ってみましょう。
最後に。
テキストの8割以上が解けない場合,あなたはかなり覚悟をするか,テキストのレベルを下げるべきです。
解けない問題が多いということは,それだけたくさんの問題を解けるようにしないといけないのですが,そのためには膨大な時間が必要です。
ですから,受講時点で全部解けない・・・では困ります。
一番標準的なレベルのテキストでも解ける問題がない・・・のならば,覚悟を決めてそのテキストと「心中」するのがいいでしょう。
一問でも多く解けるように,予習・受講・そして復習に力を入れましょう。
時間が一番かかるのは「復習」です。
できなかったことをできるようにするわけですから。
何回も何回も解き直して覚え直して理解し直して。
何回やってもできないものはできない・・・自分がどれだけできない人間か,と思わず自分を卑下したくなる時もあるかも。
大丈夫,みんなもそうです。
たぶん。
講義はあなたの日常学習の方針をもらう場です。
できればその場で解答を理解して覚えましょう。
解けていれば,何か別のアプローチがないか,ルーツになっている問題がないか,類題がないかを調べる場にしましょう。
みなさん,類題の情報をメモしてくださいね!
自力では集められない情報ですから。
そして,これからどんなことを勉強すればいいのか。
どういうアプローチで問題を解いたらいいのか。
次回の予習はどうすればいいのか。
こういうことについて情報を集める場所です。
今はできないことが多くても当たり前です。
あせらないで,伸び代がたくさんあるのですから。
せっかくの予備校という学び場,十分に利用しましょう。
お読みいただきありがとうございました。
ONゼミナール代表 長田 俊将
www.on-semi.jp