高校を卒業して一年間みっちり予備校に通っても,成績が伸びない生徒は多いです。
と言いますか,懺悔でもありますが,成績が下がる生徒も中にはいます。
一年間,受験教科のプロの講義,指導を受けていながらどうしてこんなことになってしまうのでしょう。
そして,きっちりと習ったことを自分のものにしていく人はどういうことをしているのでしょうか。
幼稚園児・保育園児・小学生〜高校生が塾で勉強をする時にも当てはまると思います。
なんとなく塾に通うだけでは成績は伸びません。
それこそ,最近は「キャバクラ塾」なる言葉が出てきているみたいで,親御さまの中には
「なんじゃそれ」
とお思いの方もみえると思います。
うちは女性の講師はいないので悪しからず。
自己主張の強い男性が二人です・・・。
塾でどのような指導を受けているかによりますが,一方通行の授業だけで成績が伸びる生徒は稀です。
そもそも,そういう子は一人で勉強していても成績が伸びます。
じゃあ,どうしてこういう子は塾に通っているのでしょうか。
・・・人それぞれですが,「情報交換」「仲間たちといるサロン」「競争相手がいる場所」だからと,とりあえず並べてみましたが,それこそ十人十色でしょう。
ここで本題に入りましょう。
彼らはどうやって新しいことを習得していくのでしょうか。
おそらく塾の授業の時に覚えて帰るか,その前後に一人で勉強して身につけてしまうのでしょう。
こういう生徒は講師によく質問します。
とにかく自分が納得するまでしつこく質問してきます。
私はこういう生徒が好きです。
こちらに詰め寄るかのような勢いで質問をしてくる生徒のエネルギーを感じることができます。
エネルギーのやり取りをする中で,教える側も教わる側も何かを学べるのだと思います。
さて,再び本題です。
私は高校三年生進級時に理転をして,当たり前のように浪人してしまいました。
何もかもわからない状態で予備校に入り,一年間勉強をすることになりました。
そこでそれなりのことを学んできた自負があります。
そのお話をさせていただこうと思います。
これは私が実際に指導してきた多くの生徒たちに当てはまると思います。
・知らないことと知っていることを分けること。
知っていることは知っているでいいのです。
知らないことが何なのかを把握しましょう。
・何を覚えればいいのか,まとめてしまいましょう。
暗記を想定した形で,一枚にまとめてしまうといいでしょう。
一枚に入らなければ,何枚かに分けて。
英単語なら小さいカード一枚に入ります。
数学の問題ならB6の紙の片面に問題,その裏に解答と解法など解くために必要な情報。
理科の法則なら,覚えるべき言葉,意味,公式などを簡単にメモしておくことです。
もちろん,丸暗記はよくないので,なんらかの方法できっちり理解してください。
その時のポイントをカードに書き込んでおくのもいいかもしれません。
ちなみに,私はノートを使いました。
授業内容から覚えることまで全部まとめてしまいました。
それを見ればその授業で何を習ったかわかるようにしてあります。
問題を解く時にそのノートを見直しました。
場合によってはテキストに覚えるべきことが全てまとめてあることがあります。
その場合はテキストを使い倒しました。
問題を解く時,何かわからないことがあれば,テキストに書いてある要項を見ます。
するとわかりやすい形で,実際の例を交えて説明がされています。
それを見ながら,「何ができればいいのか」を覚えるようにしていました。
化学でモル濃度を計算したければ,「物質量(mol数)」,「水溶液の体積(L)」を求めることです。
この二つの割り算でモル濃度(mol/L )が得られます。
実は単位をよく見るのもポイントです。
光の速度を出す実験のことを学びたければ・・・
「フィゾーの実験」というものがあります。
光をハーフミラーに当てて入射角45度で反射させ,遠く(大抵数キロ先)にある反射鏡に垂直に当てます。
光を反射させるハーフミラー(光源からの光は反射鏡方向に反射し,反射鏡から観測者に行く光は通す特殊な鏡)と,反射鏡の間に歯車を置きます。
観測者から見て,ハーフミラー,歯車,反射鏡の順にあります。
ハーフミラーの真横に光源があります。
観測者は,羽車の歯の間から見える光を観測します。
最初は羽車の歯の間から反射鏡からやってくる光が見えているはずです。
光源からハーフミラーと羽車の歯の間を通って反射鏡で反射し,また羽車の歯の間を通ってハーフミラーを通過して観測者の目に入ります。
すると,光が進む距離は光源から反射する反射鏡までの往復となります。
歯車から反射鏡まで,大体10キロくらいの長い距離の装置になります。
歯車を回してみましょう。
光はものすごい速さですから,最初の頃は羽車の間をすり抜けて光が目に飛び込んでくるはず。
そしてだんだん羽車の速さを大きくしていくと・・・ある瞬間に見えなくなる時があります。
そのときの歯車の回転数を出しましょう。
このときにどうして光が見えなくなっているのかを考えたらいいのです。
最初は羽車の歯の間をすり抜けて,反射鏡まで光が飛んでいきます。
羽車のところに戻る頃にちょうど羽車の歯があるところに光が当たると,羽車の裏にいる観測者には光が見えないわけです。
羽車の歯の間と次の歯に回るまでの時間を計算すると,これが歯車と反射鏡までの距離の往復にかかる所要時間となります。
歯車と鏡の距離を出して2倍すると,その間に光が進んだ距離になります。
距離を時間で割ると光速になります。
あとは小学校で学ぶ「速さと距離」の単元で習うことを使えば,光速を出すことができます。
言葉だけではわかりにくいかも。
でも,高校生諸君,教科書に必ずこの装置のイラストがありますから,見てみましょう。
わからない人が多いと思いますよ・・・。
このときに,何をしているのかを考えようとすること。
羽車の歯がどんな役割をしているか,実現可能な実験装置を用いて,ごく短時間を正確に求めるためにどういう工夫をしているのか。
かなりの苦労が見えてくるのです。
こういったことが実感できると,実験の意味が理解できます。
そしてこの実験を題材にした問題が出題された時に問題を実際に解くことができます。
わからないことを明らかにする。
何ができればいいのかを明らかにする。
知らないといけない知識をまとめる。
これだけ。
これだけのことを手抜きすると,理系教科は苦労します。
今回はこの辺りで。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ONゼミナール代表 長田 俊将
www.on-semi.jp