偏差値70に行くまでは,勉強は「質より量」とおっしゃる方がいます。
その方のおっしゃることに全く同意です。
ある程度できるようになるまでは,「目を瞑ってできるように」(これは比喩です)なるまで練習を重ねる必要があります。
数学の定理を証明するのだって,共通テストの問題を手早く解くのだって,慣れるまで時間と回数が必要です。
今回本腰を入れて研究してみて,つくづく思ったことです。
ある程度勉強している大人は,
「共通テストなんて基本しか出ない」
「ある程度できて当たり前」
などと・・・もういう人はいないと信じたいです。
いかに時間がかかる試験か,実際に教えておられる方ならわかるでしょう。
意外と中学校や小学校で学ぶことが出てくる試験でもあります。
高校で学ぶ内容だけで突撃しても,あまりいい結果になりません。
基本的な幾何や,計算をきっちり練習して臨むことをお勧めします。
計算や幾何の問題こそ,経験が生きるところです。
補助線を引こうにも,どこにどれだけ引いたらいいのかなんて,どんな問題にも通じるコツはなかなか出てきません。
やったことがある人が「ここに決まってるじゃん」と言ってさっと引けるくらいです。
「ヒラメキの図形」という名前の冬期講習の講座を河合塾が開いてくれた33年前,とても楽しんで受講したことを覚えています。
毎日毎日の問題を解いて授業に臨むことで,経験を積むことができました。
普段通っていた塾でも大量の問題演習を積ませてくださいました。
迷わないで問題が解けるようになった気持ちよさ。
大量の問題を解かなければ到達できない境地ですが,そこまでいけば「無双」できる。
東大に行った子には勝てませんでしたが,その子の問題演習量には追いつかなかったのかもしれません。
彼は中学一年,いやそれ以前から陰で相当な勉強をしていたわけで。
中学三年から集団指導の塾に通い始めた私には到底敵わないのです。
この子は私が知らないことを当然のように知っていました。
私も社会科の問題で誰も答えられない問題に答えられることを自慢していましたが,正直この子の知識量には到底敵いませんでした。
これが学年一桁と本当の一位の差です。
それでも,それなりにやればその境地に行けるのです。
私なりにコツをお話ししようと思います。
あのころはスマホやタブレットがなかった時代ですが,コンピューターゲームはありました。
代表的なところで言いますと,「スーパーファミコン」。
ドラゴンクエストⅢまでは自分自身もやっていました。
誘惑はこの頃もあったわけで。
誘惑に引っかかる時期もあっていいと思います。
自分である程度コントロールできる人は,上手に使えばいい気分転換になります。
頭でコントロールできるくらい制御できる人ならば,スマホもタブレットも使えばいいです。
ただ,まだまだ頭の中がお子様な方の場合・・・私もそちらに入りますが。
あなたがたはその誘惑を断ち切らないといけません。
すぐであることはありません。
近いうちに必ず誘惑を断ち切りましょう。
あるいは自分の頭をコントロールする術を身につけましょう。
私はこちらの方向性でうまくいきつつあります。
タブレットやスマホも上手に使えば便利な文具になりますから。
使える人はどんどん使ったらいいと思います。
自分で積極的に利用できる人はどんどん使いましょう。
問題なのは,スマホやタブレットに「こき使われている」人が多いこと。
だからタブレットやスマホにうるさい大人が多いのです。
自分自身が「依存症」に近い状態の方ほど,危機感があるものですからお子様がしていることに神経質になるのです。
自分で自分の制御をする訓練もいずれは必要です。
自分で自分の感情や欲望をコントロールできない人間を「ガキンチョ」と言います。
「ガキンチョ」には行動の自由を与えてはいけません。
大人がしっかり手綱を握っておかないと,社会に出てとんでもないことをしでかす恐れがあります。
よしんば大学に進学できても,何も身につけられずに学位記だけもらって終わり。
そのまま就職しても何年も会社にいられず,たちまちフリーター化。
そこで上手にフリーランスに転生できればそれでもいいのです。
おそらく大半の「ガキンチョ」ではフリーターで終わります。
そうなったら人生で「詰み」。
勉強で無双をしようと思ったり,仕事で周りを圧倒するパフォーマンスを発揮しようと思ったら,自分自身がとてつもない量の基礎トレーニングを積む必要があります。
最初はうまくいかないことが多いと思います。
もどかしい思いをすることでしょう。
なんでこんなにしんどい思いをしてまで・・・と思うことがあるのかもしれません。
でもね,勉強は自分のためにすることなのだということを思い出しましょう。
退屈な世の中で楽しむための道具の一つなのです。
一番無難な,そしてある程度身につけるのが難しい「遊び」でもあります。
この「遊び」,趣味にするだけでなく,食えますからね。
現にここでこれで食べている人がいるわけで。
もちろん,「こんな問題解けるかい!」と言いつつ頭を抱えて問題を解いている時がありますが。
・・・誰しもそうだと思います。
予備校講師が何人かかっても解けない問題というのも存在します。
1998年の東大後期試験の問題がその極端な例です。
共通テストの問題は一見単純そうに見えます。
それを見て,こんなの簡単だろという大人はたくさんいます。
実際に解いたことがない人なので放っておきましょう。
親御様でそういう方がいらしたら,ぜひおやめください。
学力に覚えがある方ならば一度解いてみてください。
今私が申し上げていることの意味をお分かりいただけると思います・・・多分。
この分量の問題を彼らは短時間で解かなければいけないのです。
医学部に行くならば90%を目指さないといけません。
理科ならば満点が必須。
どうせ他の教科で点数を削られますから,稼げるところで稼がないといけません。
国語や英語には「罠」にしか見えない問題がゴロゴロしています。
英語はそれでも90%を目指したいのですが・・・。
国語はなんとか75%程度で踏みとどまってほしい・・・。
理系の子にとって社会科は「片手間」で勉強するものです。
80%取れれば御の字でしょう。
これらで高得点を取るのは例外的な生徒だけ。
たいていの理系は数学と理科で稼げる分だけ取るわけです。
初めの話に戻りますが,たくさんある問題を無駄なく得点しようと思ったら,共通テストのような問題こそしっかり練習しないといけません。
時によっては解答欄の形に合わせて答えを作る練習が必要です。
またあるときは,小問の順番にとらわれないで解いてしまうのがいい時もあります。
そんなのどうすればわかるんだ??
経験ですよ!!!
中学校のうちから「完成ノート」やチャート式の問題を自力で解けるようにしてください。
宿題を出さなければと,解答を丸写ししながら問題集をしている子は,今はそれでもいいから試験までには自力でできるようにしてください。
塾では自力でできるところまで持っていきます。
自力でできるようになるまで補習に呼ぶことがあります。
自習に来てもらうこともあります。
自習とは言っても,生徒をほったらかしにしません。
何か話をふりますし,勉強の状況を見ています。
自分で解けないようならば,こちらで対策をとります。
代表的な問題の解法を教えた上で,類題を解いてもらうことが多いと思います。
とにかく自力で問題が解けたという感覚を味わわないと!
数学や理科はなかなかできるようになりません。
そこまで我慢できるかどうかが「才能」だと思っています。
当たり前のことをさらっと間違いなくできることって,ものすごいことだと思います。
そういうことができる人ってかっこいいと思います。
そういう人がその勉強に関して「才能」を持っている人なのだと思います。
もともと兼ね備えているものより,もとあるものを生かしてマスターするところまで頑張れる根気,気持ちの強さも,紛れも無く「才能」だと思います。
皆様はいかがお考えでしょうか。
塾ではひたすら問題を解いて,その才能を身につけられるように努めます。
生徒に頑張ってもらうわけですが・・・そのきっかけをあげたいと思っています。
ゆっくりマイペースで問題を解く段階を少しでも早く脱してください。
勝手に手が動いて問題がどんどん解けるところまで,自分を鍛えましょう。
中学生のうちなら十分可能です。
ある程度の時間をかければ。
きちんとメモを取れるように訓練すれば。
協力は惜しみません。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ONゼミナール代表 長田 俊将
www.on-semi.jp