皆様,こんばんは。

 

 父の治療は順調に進んでおります。

 

 昨日,内視鏡で治療をしていただいたようです。

 

 父が見ていただいている医師の方は真摯な方のようで,説明も至って丁寧にして下さいます。

 

 昨夜かなりお話を伺っていましたが,説明が非常にわかりやすい・・・。

 

 

 

 

 急に言い出しますが,人が育つ環境を作ることは大事です。

 

 いつも拝見している方のブログに,東京女子医科大学で起きた「医療事故」の話がありました。

 

 ここ数年の経営陣の無茶な振る舞いに耐えかねて,職員の方の離職が相次いでいます。

 

 看護師の方がたくさんお辞めになったという話の次は,集中治療室医師の一斉退職。

 

 大きな手術を受けた後の患者の全身管理をする医師がいなくなったということです。

 

 かつて心臓外科に若い優秀な先生が集まっていたそうですが,いま心臓の大きな手術の後はどうするのでしょう。

 

 実際にはできないでしょう。

 

 怖くて。

 

 

 

 

 

 心臓の手術の後って,もしもの急変の時にすぐに対応できないと取り返しのつかないことになってしまいます。

 

 だから若い心臓外科医は手術後しばらくは「患者の横で寝るしかない」のだそうで。

 

 休み?そんなもんあったけ??それって美味しいの??な世界だと聞いています。

 

 かっこいいと思っている人がいると思いますが,おそらくものすごく地味で大変な仕事。

 

 修行の間はひたすら師匠の背中を追って駆け回っているのでしょう。

 

 

 

 

 

 そこで大事なのは指導者。

 

 集中治療室を管理しているのは大体「麻酔科」です。

 

 医療の世界は江戸時代の身分制度以上に序列に厳しい世界です。

 

 かつて医学生と付き合っていたことがありますが,その彼女から「学年が一年違うと平民と奴隷くらいの差がある」と聞いたことがあります。

 

 これはどういうことなのか?

 

 

 

 

 

 話は簡単で,下の学年の人が「実際に何か手技をした経験がないから」です。

 

 何もできない・あるいは経験が少ない若い医師が勝手に判断して,何か失敗をしてしまったら取り返しがつかないことになります。

 

 

 

 

 

 東京女子医科大学で起きた悲しい「医療事故」もそういう内容でした。

 

 若手医師がお腹が痛いと訴える患者さんを診察する。入院時にCTを撮ったが異常に気づかず。

 ↓

 患者さんは当然お腹が痛い。CTを撮って腸に穴が開いていることが発覚。消化器外科医が緊急手術で腸の修復を行った

 ↓

 その後の全身管理も,手術をした消化器外科医が行なったが,胸水が溜まってしまい呼吸困難に陥る。

 ↓

 本来呼吸器内科医が行うはずの胸水を抜く処置を,腸の手術をした消化器外科医が行った。

 ↓

 胸水を抜くために入れた管が肺を突き破ってしまい,血胸で患者さんが亡くなられた。

 

 こういう顛末だったようです。

 

 

 

 

 

 

 研修医は基本的に自分の判断で医療行為ができません。

 

 上級の医師の許可がないと薬ひとつ出せないこともあります。

 

 負担の大きな検査の指示も然り。

 

 自分より経験のある医師やコメディカルの方と一緒に働く中で体で覚えていくのです。

 

 上の医師に「これ,やってみる?」と言われたときに躊躇なく医療行為ができるように,若い医師はいつも勉強をしているようです。

 

 もしもできなければ「邪魔だ,どいていろ!」と怒鳴られるかも。

 

 言われる前に勉強をしないと何も身につかないまま2年間の初期研修が終わってしまうかも。

 

 おぉ,恐ろしい。

 

 厳しい世界だと思います。

 

 いや,人の命がかかっているのですからそうでないとおかしい。

 

 

 

 

 

 だから研修医や若手の医師はものすごく勉強します。

 

 大半の受験生よりも勉強しているのではないでしょうか。

 

 「給料もらっているのだから当たり前でしょ」と言われるかもしれませんが。

 

 給料をもらっているとは言っても,通常生活している中では遭遇できないレベルの危険と隣り合わせで仕事をしているのです。

 

 昨日は父が救急処置室で寝ていた間に,新型コロナ肺炎の中等症の患者さんが搬送されてきました。

 

 他にもと「ホットライン」で患者さんが搬送されてきます。

 

 対応した医療スタッフの方,ものすごく大変だと思います。

 

 給料をもらっても割に合わないかもしれませんよ。

 

 

 

 

 

 でも,そんなことを言っていたら医療が回りません。

 

 目の前の人の命が消えてしまうかもしれない。

 

 使命感,身につけてきた技術,経験,鍛えた体全てを使って目の前の患者さんに対峙するわけです。

 

 医師から聞いた話ですが,患者のためにかけずり回っていている様子を見た患者の家族が医師を労った時に,医師は「こういう時のために自分は医師になったのです」と言ったそうです。

 

 頭が下がります。

 

 

 

 

 

 私も憧れてなろうと思っていた医師。

 

 ものすごくかっこいいと思います。

 

 表から見える範囲だけで判断することは危険なのですが,受験をしようと思っていた頃はまだまだそういうことがわかっていませんでした。

 

 側から見たらかっこいいと思っていても,実は患者さんのウイルスなり細菌なり体液に触れて,感染のリスクを抱えているのですが。

 

 患者さんの症状が落ち着くまで横について,自分は寝ることもできないことも普通だったり。

 

 どんどん押し寄せてくる患者のカルテを後からまとめて書いていたりもします。

 

 お酒によって怪我をした人の吐瀉物を浴びながら傷の処置をすることも。

 

 患者をどこの病棟に入院させるか交渉したり。

 

 分からないことを上級医に質問して教えてもらったり。

 

 あまりに何度も同じことを質問していると,舌打ちをされることもあるかも。

 

 何遍同じことを聞いているんだよ,いい加減勉強しなさいよ!って。

 

 手術に入って上の先生の介助をするときも,立ちっぱなしで手伝いをしただけとか。

 

 もちろん「こうやって治すのだ」と教えてもらいながらでしょうが。

 

 患者の立場から見るとかっこよく見えても,実はその裏で何倍も地味な仕事をしているものです。

 

 実はその地味な仕事の方が大事だったりもします。

 

 

 

 

 

 若い医師はその地味な仕事の中から一つでもたくさんんことを学ぶのです。

 

 いつしか自分から先回りして勉強しておくようになっていきます。

 

 例えば・・・もうすぐ冬だから脳卒中の人が増えそうだ。心筋梗塞も増えるな。

 

 こういう病気の初期治療の勉強をし直そう,とか。

 

 循環器内科医になりたいなら,カテーテルを使った治療の勉強をさせてもらえるように勉強した上で上の先生に治療に参加させてもらえるようにかけ合ったり。

 

 

 

 

 

 地味な仕事や勉強をする中で,しっかり準備をしないといけません。

 

 でないと何もさせてもらえませんから。

 

 指導医がくれるチャンスを活かして,一つでも自分ができる医療行為を増やさないと。

 

 

 

 

 

 

 指導医も若い医師以上に仕事をして,あるいは勉強をしないといけないのかもしれませんね。

 

 初期研修医が何か医療行為で失敗をした場合,その責任を取るのは研修医自身ではなく指導医なのです。

 

 研修医が何かしようとしているなら,先回りして考えて,色々な場合を考えてそれぞれの場合で何をすればいいのか考えておかないといけません。

 

 そのためには若い頃以上に勉強をしないといけない・・・。

 

 医師になる人は一生勉強を続ける覚悟がいるようです。

 

 

 

 

 

 若い人が育っていく環境を作る。

 

 言うは優しく行うは難し。

 

 お医者さんにしても,受験生にしても。

 

 指導者の器量一つで学び場の環境は大きく変わります。

 

 私も今一度気を引き締めて生徒が大きく成長できる場を提供していかないといけないと思います。

 

 

 

 

 

 一眠りしながら書いたブログですが,意味がわからないところがあればお詫びします。

 

 一応推敲はしてあります・・・。

 

 

 

 

 

 今回父の治療にあたってくださっているスタッフの方に感謝の気持ちを込めて。

 

 

 

 

 

 お読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

ONゼミナール代表 長田 俊将

www.on-semi.jp