分数バイオリン選び
はじめまして
オールドヴァイオリン専門店
株式会社ダ・ヴィンチヴァイオリン
社長の山口保行です。
今日からブログを始めました。どうぞよろしくお願いします。本日のテーマは分数バイオリンの選び方です。
先日、小学3年生になる可愛い女の子のSちゃんがご両親と来店しました。現在1/2を使用し、これから3/4のサイズアップです。弊社には9台の在庫がありまして、予算の中で8台ほど用意しました。
私から「ねえ、Sちゃん、ボクにこの楽器好きとか嫌いとか、あと弾きやすいかどうか教えてね。」
Sちゃん 「うん!」
Sちゃん、とりあえず1台ごとに同じ曲のフレーズを弾いて「これ好き!」「これ好きじゃない」「音はいいけど弾きやすくない・・・」など、Sちゃんは自分の意見をちゃんと言って楽器を選んでいきます。こちらは1台ごとの感想をメモしていきます。
1時間くらい弾いたでしょうか。
その中で「やっぱり私、これが好き!」という楽器が見つかりました。
ドイツ製のオールドです。その後は弓の選定です。
弓は5本用意しました。1本ごとに音の違いを確認、お母さんも驚いていました。好きな楽器に合う弓が見つかりましたね。
Sちゃん、「これがいい!」
ただ先生に了解取るため2番目に好きな楽器(フランス製のオールド)と弓のセットも含めて1週間の貸し出しをすることにしました。そして1週間後の今日、ご来店されました。
お母さん(以下母) 「大変申し訳ないのですが、2台ともお返しします」
私 「わかりました、ところで先生は何とおっしゃってました?」
母 「はい、1番のお気に入りはパワーがないと、きっと飽きるのではないかと、もう一台は音量は良いけど音色が・・・とのことでした。」
私 「そうですか、ところで今日はSちゃんは来てませんがどんなご様子でしたか?」
母 「実は、レッスンの時まで家ではずっとこの一番お気に入りの楽器ですっごく楽しそうに弾いてました。」「でも、先生にダメ出しされた時に涙がポロっと出て・・・・」
私 「そうでしたか・・・、Sちゃん泣いちゃいましたか。あの楽器気に入ってましたからね。」
母 「はい、私もあの子があんなに楽しそうに弾いている姿見て先生にこの楽器が良いと言って欲しいと願っていたんですが」
私 「ところで、お母さんは誰の幸せを願っているんですか?」
母 「もちろん、我が子のSです。」
お母さん、いろいろ思うことがあってのでしょう。とうとう泣いてしまいました。
我が子の幸せを願いながら、尊敬する先生の意見を聞かざるを得ないのではと葛藤があるようです。言葉遣いも丁寧でとっても素敵なお母様です。
「本当は、ただあの子が幸せに感じてくれればそれでいいんです」
その言葉が聞けて安心しました。ではどのように考えて親として行動ればこんなことにならないのでしょうか?私は「子供視点」で行動すれば良いと思うのです。
お子様が気に入った楽器が他店や先生紹介したものであればそちらを購入すればいいのです。お子様が気に入ったものであれば、なにも弊社で買わなければならない理由はありません。それよりも「その楽器」を演奏するお子様が納得していることが大切ではないでしょうか。
お子様が気に入った楽器で演奏→幸せな気持ち→また弾きたくなる→上手になってもっと楽しくなる→また上手になる
そういうことが十分予想できるし、自分で選んだという経験が次の楽器選びにまた役に立つと思います。実はプロの演奏家でも自分で楽器を選んだことのない方がいて選べない方が多くいます!
お子様が自分の意見、気持ち、感想、時には感情的を表現をすると思います。まさにその時にお子様の信号をどう受け止めるか、それが大事だと思っています。
指導者の立場からすれば、「上手になるため」に必要なことを伝えたり、どちらが良いか聞かれたらプロの立場で答えるのも仕事でしょう。だから先生もSちゃんに泣かれて「そんなに好きなら私に聞かないでよ」と言ったのも当然でしょう。だから親御様の考え・行動が大事なのです。
指導者の「あの音量ではゆくゆく物足りなくなる、飽きる」・・・と。いいじゃないですか!使っても2~3年です。子供が自分で選んだ楽器です。分数楽器のサイズアップに関わらず、その楽器を使わない大人が判断して良いのでしょうか?
特に3/4という楽器は4/4のひとつ前です。大半の先生、および楽器屋さんは「フルサイズから引き算」で考えてしまいます。「パワーや音量」をその基準とするときは特にその傾向が出ます。いつも「一人」で大ホールで弾くのでしょうか?
フルサイズと3/4では、各部位のサイズ、弦長、など正直まったく違う楽器です。フルサイズを弾く先生から見れば音量は小さいし、弓は軽い。私は
・その子が現在使用している1/2と比べてどうか
・(3/4)を弾いてその子が「今」どう感じるのか。
それが第一だと思います。子供からすれば3/4明らかに大きい楽器なのでまずその音の迫力の違いを認識できるはずです。その反応の違いを子供が「自分の言葉」で表現できたら、それが演奏という表現をする喜びにつながれば、それはとっても素晴らしいことなのではと感じるのです。
おすすめの書籍があります。
- ¥1,260
- Amazon.co.jp
以前木下先生の講演を聞きに行きました。感動で涙が止まりませんでした。子供は元気です。それは「今」を生きてるから・・・・。子供が昔は○○だった・・・とか、先行き不安だ・・・などと心配することはありません。
「今」の自分の考えを言って、大人がそれを受け入れてくれる・・・、子供は自信を持ってどんどん前に進みます。一人でも多くの子が笑顔に・・・・」
Sちゃん、また会えたら嬉しいです!
オールドヴァイオリン専門店
株式会社ダ・ヴィンチ ヴァイオリン
代表取締役 山口保行
------------------------------------------------------------------------
〒104-0045 東京都中央区築地1-2-1 レジデンシア銀座イースト204
電話/ 03-6671-3746
------------------------------------------------------------------------
山口保行のブログ
http://ameblo.jp/davinci-vn/