マドリッド手稿Ⅱ43v-55v 風力製粉機 | レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍を紹介していきます。

福島の原発事故をきっかけに、自然エネルギーの利用が一気に進みそうな気配である。
自然エネルギーとは主に風力、水力、太陽、波力、地熱、バイオエネルギーなどで、再生可能で石油やウランのように枯渇しないエネルギーを指している。

例えば風力を利用する技術というのは、紀元前36世紀にエジプトで灌漑に使われていたという記録が残っており、以外に歴史が古い。

1世紀にはアレクサンドリアのヘロンが、アネムリオン(風車を動力として風を送るオルガン)を設計している。

10世紀になるとペルシャでウィンドミル(製粉用風車)が発明され、十字軍やモンゴル帝国の遠征により、ヨーロッパと中国に伝えられた。

当時の風車は方位制御機構が不要な垂直軸風車だったらしく、方位制御機構を備えた水平軸風車が北西ヨーロッパに現れたのは12世紀末のことである。


レオナルド・ダ・ヴィンチのノートにも垂直型と水平型の両方のタイプの風力製粉機のスケッチが描かれている。メモの内容は製作費の見積もりについて書かれており、実際にこの風車を製作したのかも知れない。


$レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-マドリッド手稿Ⅱ43v_風力製粉機
マドリッド手稿Ⅱ43v_風力製粉機

この風車は、骨組みを除くと、全部布でできている。風車の羽根は、布幅1つの横幅があり、また高さは25ブラッチョかそれ以上ある。というのも、羽根の高さを高くすればするほど、それだけ多量の風をはらむからである。羽根cdは布幅3つの横幅で、前期の羽根と尾内ほどの高さがあり、全体で布幅32であるから、ブラッチョ当り4ソルドとすると、

各6リラの計算で、27ドゥカート金貨7分の3となる。材料と労賃もほぼ同額となる。機材は8個の部品からできている。この風車は、非常に強力で、この製粉機は、二個の挽き臼を作動するほどの性能があることを承知されたい。それは強力で、どんな風によっても作動する。


こちらは垂直軸風車を備えた風車小屋のスケッチである。このような建物が当時のイタリアにあったのだろうか?


$レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-マドリッド手稿Ⅱ55v_風車
マドリッド手稿Ⅱ55v_風車

風車は、風がそれを転覆させることのないように、その高さの中央において、8つの支脚nmによって支えられている。この風車のファンは、高さ20ブラッチョ、幅はリンネル布の幅一つ、つまり1ブラッチョ2分の1である。また布と心柱は半ブラッチョの太さであるから、ファンのところの直径は併せて5ブラッチョ2分の1となる。脚Smの感覚は10ブラッチョ、建物の高さも10ブラッチョであるから、風車は全体で、丁度30ブラッチョとなる。


環境省が国内で自然エネルギーを導入した場合に、どの程度の発電量が見込めるのかを試算した結果を発表しているが、風力発電を普及できる余地が最も大きく、その低い稼働率を考慮しても最大で原発40基分の発電量が見込める結果となっている。特に風の強い東北地方では、原発3~11基分が風力でまかなえるらしい。

今後の技術革新によって更に自然エネルギーを利用していく知恵が高まっていくことを期待したい。