北京のとある医学系の大学で、中医学(日本の漢方医学に相当)、西洋医学のそれぞれの教員たちについて、病気の有無、大学を退職した年齢、健康寿命、死亡年齢、死因を調査・分析を行っているそうです。
そして最近、その研究過程である傾向が浮かび上がってきました。それは…
中医学の教員たちは抜群に元気で、しかも長命だったという事実です。ここで重要なのは長寿であったばかりか、健康寿命も長かったということです。しかもほとんどの教員が他界する前日まで仕事をしていたということです。
中には不幸にして、膵臓がんを患った教員がおりましたが、なんと発症から15年以上生き続け、やはり他界する前日まで学会で講義を行なっていたとのことです。
晩年は確かに「健康」ではなかったかもしれませんが、少なくとも病院のベッドの上で長い闘病生活を強いられることにはならなかったのです。
これに対して、西洋医学の教員たちは、中医学の教員より短命であったうえに、健康寿命も短く、認知症の発症率も高かったという結果が出ています。
この差異はどこに由来しているのかと言えば、中医学の教員たちは日常生活において「養生」を実践していたということです。
中医学の理念(?)は不老長寿であり、それが現実に如実に顕れているということです。
では、こうした研究結果からも、我々庶民も西洋医学一辺倒であれば、ほぼ同様な末路を辿るであろうということは推測に難くありません。
否、そんなことはないと頑なに否定する人は、日本人高齢者の現状を見れば一目瞭然でしょう。
西洋医が提唱する「俄か健康法」(例えば、糖質制限)など、一面的な見方でしかなく、盲目的に実践した結果がどうなるのか、最終責任は自分が負わねばなりません。
一方、中医学で肝要なのは、どんな中医薬を服用すれば病気が治るかではなく、日頃の「養生」こそが要なのです。
西洋医学はある意味、救急医療でしょう。急に胃が、頭が痛くなったら痛み止めという化学薬剤を服用します。熱が出たら解熱剤。咳がどうにも止まらなくなれば咳止め等々。
それは、急場凌ぎとしては必要かもしれません。しかし、急場を凌げたら、原因を究明してきちんと根本治療することが求められます。
ところが、急場を凌げた人たちは、その後何をしているでしょうか?「喉元過ぎれば熱さ忘れる」が如く、おそらく大半の人がケロッとして不快な症状に見舞われたことなどどこへやらでしょう。
それくらいならまだしも、中には今夜飲み会があるので、予め胃薬を飲んでおくという人までいる始末です。薬の飲み方そのものが、最早、本末転倒も言うべきでしょう。「養生」とは対角線上にいる人たちです。
養生などどこ吹く風で、不快な症状に見舞われたら、医者や薬局を頼って、薬でその場凌ぎをする。幸いに症状が消えたら、また不養生な生活に逆戻り。身体は不養生な生活と、不自然な化学薬剤の繰り返しで、いつしか自然治癒力が衰えていき、その集大成で身体がガン化することになります。
でも、人によっては、俺は太く短く生きるんだ、養生なんて辛気臭いことなんかやってられるか!という人もいるでしょう。
それはそれでいいでしょう。本人の自由ですから… ただ、本人が考えているようにある日コロリと死ねるとという保証はどこにもありません。不養生が祟った末、長く苦しい闘病生活を余儀なくされることもあるでしょう。
若いうちは深く考えないかもしれませんが、高齢になると、長生きもいいけど、やはり自由に活動できる健康寿命を望むと思います。
前出の中医学の教員たちが、他界する前日まで仕事をしていたということは、ほぼ健康なまま死を迎えることができたということです。
この事実が物語る重みは、高齢になって初めて実感できることでしょう。