「皆さん、予習お願いします」 先生の声が教室に響いた。

と同時に、先生は教室のドアをガラガラをあけてでていった。

ちらほら、クラスメイトが鞄にノートを詰めたり、帰りの支度をしていた。

すぐに教室からでる者もいた。

僕もすぐに鞄に必要なものをいれて、教室からでて、真っ先に学校をでた。

今年、大学にはいって以来、特に親しくなったりした人もいないので、そのまま家に帰る事にした。

バスに乗って、家についた。

空には月がのぼっていた。

あたりまえだ。もう8時近い。空も真っ暗だ。

 

家には、両親はいない。

母は、入院で、父は出張にいっている。

 

手洗いを軽くして、自分の部屋のベッドに倒れた。

 

浴槽へいき、シャワーで頭を洗った。

シャワーの勢いよくでる水しぶきを頭にかけていると、なんというか、良い気分とか、悪い気分、色々な感情が

その時だけ、靄にかかったような感覚になる。

 

ロシュ限界という天体力学の言葉がある。

ある星、たとえば地球と月があり、それらは重力場をもっている。

重力場は近ければ近いほど、大きければ大きいほど、重力によって、影響をうける星は引き伸ばされようとする。

これがたまに聞いたりする潮汐力という。

だから夜に海が満ちるのも、月によって引き伸ばされているのだ。

ロシュ限界とは、ある星の潮汐力が、重力場の弱い星が圧しひきさかれて粉々になってしまう限界線だ。

 

そう、考えているうちに寝てしまっていた。

 

「人間関係もそれに似ているな・・・引き付けるなにかしらがあり、引き伸ばされるものが、その人のアイデンティティや

 信じているものだと、やがて粉々に砕ける…それはやがて粒子となり、土星のリングのようになる…

 強い重力のある天体が、弱い星を粉々にして、最後はその天体にむらがる…」

 

「…あらゆる事象を人間にあてはめて、納得するのは…なにか安い満足感だけが残るだけな気がする」