大人のアトピーの脱ステロイドを

何人かサポートしたことがあります。


かなり大変です。


全身から

汁がでて、

臭いがします。


毎日、寝具が、カサブタと汁と血で汚れるので、

家族が愚痴りながら、それを洗います。


耐えきれない痒みが全身にでて、

夜は痒みで寝れない。


顔に湿疹がでると、

マスクが顔にくっついて取れなくなります。

そもそも、外出したときの人の視線が気になり、

引きこもります。


関節は亀裂ができて、

痛みで曲げることができなくなり、

膝や足首がひどいと、

動かすことが困難になり、

変な歩き方しかできなくなります。


指がひどいと、

指の曲げ伸ばしができなくなり、

ペンも持てず、

パソコンを扱うのも非常に厳しい。


職場に、休職願いをだして、

しばらく休むことになります。


全身が赤くなる(紅皮症)と、

40度前後の発熱、

オシッコも出づらくなり、

脚は浮腫んで、

寒くてブルブル震えます。

「このあと、どうなるのだろうか。良くなるのだろうか」という不安でいっぱいになります。


それをみている家族も、

大変心配して、

標準治療をしている病院で治療を受けるように、

色々と介入してきます。


痒みと痛みと自分の見た目にブルーになり、

ダルさもあり、1日中寝ていて、不機嫌になり、

家族に怒鳴ったり、

泣きわめいたり、

精神的におかしくなります。



汁が乾いて、カサブタになると、

それも痒くて、

むしり取ってはいけない、と分かっていても、

気がつくと、ムシってしまいます。

ムシったあと、

罪悪感でいっぱいになります。

カサブタも、臭います。



そのうち、

搔くと、キズから出血するようになり、

黄色いカサブタから、

赤黒いカサブタにかわり、

見た目が、さらにひどくなります。



搔いたキズからの出血で

寝具が、血だらけになり、

自分も家族も、

湿疹が前よりひどくなったように感じ、

ガッカリします。


そのうち、

赤黒いカサブタがとれる度に、

少しずつ少しずつ

肌色の肌が見えてきます。



脱ステロイドのリバウンドのあと、

カサつきや茶色い色素沈着、痒み、

軽い湿疹が残ることもあります。


中には、

びっくりするくらい湿疹がよくなる人もいます。

しかし、

ちょっとしたことがスイッチとなり、

リバウンドを繰り返します。



脱ステロイドを開始すると、

上に書いたような

リバウンドによる湿疹の悪化で、

休学、

失恋、

休職、

失業、

離婚なども起こることがあり、

QOL(生活の質)を下げます。



覚悟を持ってはじめないと、

苦しいだけで、挫折してしまいます。



しかし、

ステロイド外用薬を使っても、

湿疹がおさまらない方、

ステロイド外用薬を毎日塗りつづけなければ

湿疹を抑えられない状態の方もおり、


ステロイド外用薬の副作用で、

皮膚萎縮、

結節性痒疹や苔癬化

(痒い盛り上がりやゴワゴワした皮膚)、

赤ら顔の方などで、


脱ステロイドに追い込まれる方は、

少なくないです。


そこで、

選択肢のひとつとして、

今は、

デュピクセント(アトピーを悪化させるサイトカインの働きをブロックする注射)があります。

発売から6年たちますが、

重症の副作用もなく、使用されてます。



デュピクセントは、

中等度から重度のアトピーに適応なので、

脱ステロイドを開始したいのであれば、

デュピクセントを検討してみたら

いかがでしょうか。



ドクターゆきのクリニックで

デュピクセントを開始した大人アトピーの方は、

湿疹が消え、

ステロイド外用薬を使わずに

過ごしている方がほとんどです。



中には、

脱ステロイドのリバウンドによる湿疹の辛さに耐えられず、

デュピクセントを開始した方もいらっしゃいます。



デュピクセントの問題は、

●まだ、発売6年なので、

数十年後の副作用があるのか分からない点。


●顔の湿疹への効果がでるのに、数ヶ月かかること。(そのうち、顔の湿疹もおさまります。)


●結膜炎が起こることがあり、点眼薬などで対応し、そのうち、おさまること。


●皮膚科学会のガイドラインでは、

「デュピクセントを開始しても、保湿剤とステロイド外用薬が必要」ということになってること。(そのため、デュピクセントを使用しても湿疹が治らなくなってる方もいます)


●値段が高く、

経済的に使用が難しい患者さんもおられること。


●デュピクセントに対する抗体ができやすく、そのうち効果が下がる可能性があること(今のところ、抗体ができても効果は下がってないようです)


●顔のニキビダニに対する免疫低下があるため、まれに、毛包虫性ざそうが悪化する方もいること。


●乾癬様皮疹がでてくることがあること。


●癌に対する免疫低下が起こるかどうか、まだ、不明なこと。


●デュピクセントを中止すると、そのうち、再び湿疹がでてくること。


●「止め時」の決まりがないこと。


などでしょうか。



現在、全国で、大勢のアトピーにデュピクセントが使用されています。

ステロイド外用薬で湿疹がコントロールできない方が大勢いる、ということです。


小児科医や皮膚科医がいう

「アトピーは、外用薬で上手くコントロールできる」というのは幻想です。


ステロイド外用薬を使うと、

難治性の湿疹を繰り返すようになり、

ゆくゆく

「脱ステロイドしたい」と悩むことがほとんどです。


そうならないように、


「赤ちゃんに

ステロイド外用薬を塗らない」

ということが、

本当に大事なのです。


1回2回のステロイド外用薬の使用から、

「ステロイド依存」が始まりますので、

1回や2回位塗っても大丈夫、

ということはありません。


「1回2回の麻薬の使用は問題ない」

と言えないのと同じです。



「ステロイド依存」を甘くみないように、

お願いいたします。